問24 腰痛予防に関する次の記述のうち、人間工学的観点からみて適切でないものはどれか。
(1)長時間の自動車運転をした後、軽い運動をしてから荷物の取扱い作業を行った。
(2)腰をおろして床面の荷物を抱えたのち、膝を伸ばしながら持ち上げた。
(3)昼間と同一作業を夜勤時に行うに当たり、作業量を昼間の作業量よりも少なく設定した。
(4)腰椎にかかる荷重が小さくなるよう、標準体型を目指して減量した。
(5)新規に棚を導入した際、腰程度の高さの段を軽量物用、膝程度の高さの段を重量物用とした。
このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2013年度(平成25年度) | 問24 | 難易度 | 腰痛予防に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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腰痛の予防 | 2 |
問24 腰痛予防に関する次の記述のうち、人間工学的観点からみて適切でないものはどれか。
(1)長時間の自動車運転をした後、軽い運動をしてから荷物の取扱い作業を行った。
(2)腰をおろして床面の荷物を抱えたのち、膝を伸ばしながら持ち上げた。
(3)昼間と同一作業を夜勤時に行うに当たり、作業量を昼間の作業量よりも少なく設定した。
(4)腰椎にかかる荷重が小さくなるよう、標準体型を目指して減量した。
(5)新規に棚を導入した際、腰程度の高さの段を軽量物用、膝程度の高さの段を重量物用とした。
正答(5)
【解説】
本問は厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針及び解説」についての設問である。
(1)適切である。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」の別紙「作業態様別の対策」の「Ⅰ重量物取扱い作業」には、「小休止・休息を取り、下肢の屈伸運動等を行うことは、下肢の血液循環を改善するために有効である」とされている。
(2)適切である。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」の別紙「作業態様別の対策」の「Ⅰ重量物取扱い作業」の4の(3)には、「床面等から荷物を持ち上げる場合には、片足を少し前に出し、膝を曲げ、腰を十分に降ろして当該荷物をかかえ、膝を伸ばすことによって立ち上がるようにすること」とされている。
(3)適切である。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」の「2 作業管理」の「(5)休憩・作業量、作業の組合せ等」のハには、「夜勤、交代勤務及び不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業の作業量を下回るよう配慮し、適宜、休憩や仮眠が取れるようにすること」とされている。
(4)適切である。肥満多型の作業者が、標準体型を目指して減量すれば腰椎にかかる荷重が小さくなる(※)ことは正しい。従って、「人間工学的な観点」からとは言い難いが、適切でないとはいえない。なお、極端に体重を減らすことは、かえって腰痛のリスクを高めることとなる。
※ ただし、過重な体重が腰痛の原因になるという、疫学的なエビデンスがあるわけではない。また、生体力学研究でも、体重増加によって脊椎に病的ストレスがかかるという確実なエビデンスはない。
(5)不適切である。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」の【解説】の「『3 作業環境管理』について」の「(4)作業空間や設備の配置等」に「倉庫等では、搬出入が頻繁な荷物を戸口に近いところや運搬する際に抱えるのと同じ高さに配置して、歩行距離をできるだけ短くしたり、腰を伸ばしたり、かがめたりする動作を避ける等の配慮をする」とされている。
従って、作業者が、重量物を棚に納めるのであれば、腰程度の高さの段にするべきである。