問18 局所排気装置等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)囲い式フードにあっては発生源をできるだけ囲うように、キャノピー型フードにあっては熱上昇気流の直上に当たる位置に設置することが重要である。
(2)外付け式フードの場合、吸引される気流の速度は、フードからの距離が大きくなると急激に低下する。
(3)外付け式フードの開口部外周にフランジを付けることにより、より少ない排風量で同の排気効果が得られる。
(4)制御風速とは、有害物質の発生点において、当該有害物質又はこれにより汚染された空気を捕捉し、これらをフードの開口部に入れるために必要な最小風速をいう。
(5)抑制濃度とは、作業者の呼吸域の濃度を安全な範囲にとどめるために設けられた値であり、局所排気装置等には、性能要件の一つとしてこの値を超えない性能が求められている。
このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2013年度(平成25年度) | 問18 | 難易度 | 局所排気装置の性能等の基準等に関する基礎的な知識問題。確実に正答できなければならない。 |
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局所排気装置等 | 2 |
問18 局所排気装置等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)囲い式フードにあっては発生源をできるだけ囲うように、キャノピー型フードにあっては熱上昇気流の直上に当たる位置に設置することが重要である。
(2)外付け式フードの場合、吸引される気流の速度は、フードからの距離が大きくなると急激に低下する。
(3)外付け式フードの開口部外周にフランジを付けることにより、より少ない排風量で同の排気効果が得られる。
(4)制御風速とは、有害物質の発生点において、当該有害物質又はこれにより汚染された空気を捕捉し、これらをフードの開口部に入れるために必要な最小風速をいう。
(5)抑制濃度とは、作業者の呼吸域の濃度を安全な範囲にとどめるために設けられた値であり、局所排気装置等には、性能要件の一つとしてこの値を超えない性能が求められている。
正答(4)
【解説】
(1)正しい。当然のことであって、誤っていると考える余地がない。囲い式フードとは、発生源を囲うフードから有害物を漏らさないように排気する装置であるから、できるだけ囲うようにする必要がある。
また、キャノピー型フードとは、有害物が発生源の熱による上昇気流によって上昇してきたものを捕捉する仕組みである。熱上昇気流の直上に当たる位置に設置することが重要なことは言うまでもない。
(2)正しい。ある開口部から空気を吹出すときと吸い込むときで比較すると、吹き出すときはかなりの距離まで気流が伝わるが、吸い込むときはわずかでも距離が離れると急速に気流の速度は低下する。これは、扇風機の前側にいると、かなりの気流が感じられるが、後ろ側では全くと言ってよいほど気流が感じられないことからも分かるだろう。
外付け式フードの場合、例えば側方吸引型外付け式フードの吸引風速は距離の二乗に反比例して急激に減衰すると言われている(※)。
※ 名古屋俊士「粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入への基礎的研究報告書」(2014年)に、外付けフードの無次元風速の減衰曲線が記されているので、関心がある方は参照されたい。
(3)正しい。外付け式フードの開口部外周にフランジを付けることにより、気流が補足されやすくなるので、より少ない排風量で同一の排気効果が得られる。橋爪によると、フランジを取り付けることで20~25%程度の風量の改善が図れるとされる(※)。
※ 橋爪稔「表面処理プロセスに対する局所排気技術」(金属表面技術 Vol.22,No.12 1971年)
(4)誤り。制御風速とは、「有害物をフードに全て捕捉吸引するに必要な気流の最低風速」のことである。外付け式やレシーバー式フードでは、有害物を吸引する範囲内のフードの開口面から最も離れた作業位置の最小風速である。囲い式やブース式の場合は、有害物がフードの開口面から漏れなければよいので、開口面における最小風速である。有害物質の発生点において必要な最小風速ではない。
(5)正しい。局所排気装置の性能の基準として、鉛則、特化則の一部の物質及び石綿則に、抑制濃度による方式が定められている。抑制濃度とは、作業者の呼吸域の濃度を安全な範囲にとどめるために設けられた値であり、局所排気装置等には、性能要件の一つとしてこの値を超えない性能が求められている。