労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生一般 問17

作業環境測定のデザイン




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問17 難易度 作業環境測定のデザインに関する問題はいくつかのパターンがある。本問は比較的易しい問題である。
作業環境測定のデザイン

問17 作業環境測定のデザインに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)「単位作業場所が著しく狭い場合」とは、単位作業場所の広さがおおむね30m2以下の場合をいう。

(2)「粉じんの濃度が均一であることが明らかなとき」とは、過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね2.0以下の場合をいう。

(3)測定点は、単位作業場所の床面上に6m以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の位置とし、単位作業場所について5以上とする。

(4)単位作業場所において測定点を決定するとき、縦の線の間隔と横の線の間隔は必ずしも同一でなくてもよい。

(5)単位作業場所の粉じんの濃度が、ほほ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、6mを超える等間隔で引いた縦横の線の交点とすることができる。

正答(2)

【解説】

作業環境のデザインに関する問題は「作業環境測定基準」(昭和51年4月22日労働省告示第46号:最終改正令和2年4月22日厚生労働省告示第192号)からの出題であることが多い。

作業環境のデザインは、ほぼ必出なので「作業環境測定基準」には目を通しておく必要がある。

(1)正しい。昭和57年6月14日基発第412号「作業環境測定基準の一部改正について」の記の「1 第二条関係」の(2)に「第一項第一号ただし書の『単位作業場所が著しく狭い場合』とは、単位作業場所の広さがおおむね30m2以下の場合をいうもの」であるとされている。

なお、第2条は粉じんに関するものであるが、この第1項第一号は特定化学物質、石綿、鉛及び有機溶剤の測定について準用されている。

(2)誤り。(1)で示した通達の同じ場所に「『粉じんの濃度が均一であることが明らかなとき』には、過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね1.2以下であることが明らかなときがある」とされている。測定値の幾何標準偏差がおおむね2.0以下の場合をいうのではない。

(3)正しい。粉じん、騒音、特定化学物質、石綿、鉛及び有機溶剤の測定について、作業環境測定基準に測定点は、単位作業場所の床面上に6m以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の位置とし、単位作業場所について5以上とするとされている。

作業環境測定基準の条文は、粉じんについてのみ示したが、他の測定項目については各自確認人して欲しい。

【作業環境測定基準】

(粉じんの濃度等の測定)

第2条 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)第二十一条第一号の屋内作業場における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度の測定は、次に定めるところによらなければならない。

 測定点は、単位作業場所(当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう。以下同じ。)の床面上に六メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上五十センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置(設備等があって測定が著しく困難な位置を除く。)とすること。ただし、単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる。

一の二 前号の規定にかかわらず、同号の規定により測定点が五に満たないこととなる場合にあっても、測定点は、単位作業場所について五以上とすること。ただし、単位作業場所が著しく狭い場合であって、当該単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、この限りでない。

二~四 (略)

2及び3 (略)

(4)正しい。昭和63年9月16日基発第604号「作業環境測定基準の一部改正について」の「第2 細部事項」の「1 第二条第一項第一号関係」の(2)に「縦の線の間隔と横の線の間隔とは、必ずしも同一である必要はないが、縦方向及び横方向のそれぞれの間隔は同一としなければならないものであること」とされている。

繰り返しになるが(1)の解説で述べたように、第2条は粉じんに関するものであるが、この号は特定化学物質、石綿、鉛及び有機溶剤の測定について準用されている。

(5)正しい。(4)で示した通達の第2の1の(4)に「本号ただし書(第2条第1項第一の2号:引用者注)の趣旨は、単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一である場合には、必ずしも六メートル以下の等間隔で測定点をとらなくても作業環境の実態を把握することが可能であることから、測定点の間隔を広げても差し支えないこととしたものであること」とされている。

2021年02月23日執筆