労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生一般 問13

寒冷作業と関連のある病態




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ポジティブな人のイラスト(女性)

 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問13 難易度 過去問にもあまり類例のない問題である。かなりの難問だっただろう。
寒冷作業と病態

問13 寒冷作業と関連の低い病態は次のうちどれか。

(1)レイノー現象

(2)脱水

(3)血圧上昇

(4)精子減少

(5)じんましん

正答(4)

【解説】

(1)関連が高い。レイノー現象とは、振動へのばく露、寒冷刺激、精神的緊張等による小動脈の発作的な収縮のため、指やその他の先端部分の皮膚の色が蒼白、チアノーゼ、発赤に変化し、痛み、冷感、しびれ感を感じる病態である。

(2)関連が高い。脱水症状と温度との関係では、気温が高い場合にリスクが高くなる。しかし、寒冷作業でも、水分摂取量が減る一方で利尿が促進され、また、湿度が低いことから不感蒸泄が増加する。また、ウイルス感染等による「冬脱水」と呼ばれるリスクもあり、寒冷作業での脱水症状のリスクは高いと考えるべきである。

(3)関連が高い。これは説明するまでもないであろう。作業者が、寒冷作業で急激な寒さに晒されると、寒冷刺激によって血管が収縮するため血圧が上昇する。一般の生活においても、冬場に血圧が上昇することは、よく知られている。

(4)関連が高いとは言えない。寒冷作業によって精子減少が起きるという報告はない。

(5)関連が高い。寒冷じんましんという疾病は、体が冷やされることによって、冷やされた部位や全身にじんましんが出現するものである。澤田(※)によると、寒冷ストレスによって「まれに、寒冷蕁麻疹、クリオグロブリン血症、寒冷凝集素症などの寒冷アレルギーがみられることもある」とされている。

※ 澤田晋一「暑熱、寒冷環境下での作業に伴う健康リスクと予防方策」(安全工学 Vol.50 No.6 2011年)

2021年02月20日執筆