問02 有害物質の空気中での性状等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)金属の蒸気などが空気中で、凝固、化学変化を起こし、固体の粒子として空気中に浮遊しているものをヒュームという。
(2)一般に、ミストはヒュームの一次粒子に比べて粒径が大きい。
(3)常温・常圧(25℃、1気圧)で液体又は固体の物質が、その蒸気圧に応じて蒸発又は昇華して気体となっているものを蒸気という。
(4)コールタールなどの液体の微細な粒子が、空気中で固化し、固体の粒子として空気中に浮遊しているものをミストという。
(5)固体に研磨、粉砕等の機械的な作用を加えて発生した固体の粒子が空気中に浮遊しているものは粉じんである。
このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2013年度(平成25年度) | 問02 | 難易度 | 有害物質の空気中での性状に関する知識問題。合否を分けるレベルだろう。確実に正答したいところ。 |
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有害物質の空気中の性状 | 4 |
問02 有害物質の空気中での性状等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)金属の蒸気などが空気中で、凝固、化学変化を起こし、固体の粒子として空気中に浮遊しているものをヒュームという。
(2)一般に、ミストはヒュームの一次粒子に比べて粒径が大きい。
(3)常温・常圧(25℃、1気圧)で液体又は固体の物質が、その蒸気圧に応じて蒸発又は昇華して気体となっているものを蒸気という。
(4)コールタールなどの液体の微細な粒子が、空気中で固化し、固体の粒子として空気中に浮遊しているものをミストという。
(5)固体に研磨、粉砕等の機械的な作用を加えて発生した固体の粒子が空気中に浮遊しているものは粉じんである。
正答(4)
【解説】
(1)正しい。アーク溶接作業を観察すると、白い煙のようなものが上がっている。これがヒュームである。アーク中の温度は金属の沸点よりもかなり高いため、金属が気化して気体となって作業環境中に放出されるが、この気体が作業空間中で冷やされて固体になる。
なお、ヒュームはきわめて微細で、かなり正確な球形や結晶状など整った形をしたものが連なっている。粉じんに比較すると粒径が小さいので沈降しにくい。
(2)正しい。ヒュームは気体が空気中で凝固して個体になったもので、一般に粒径が小さく0.1~1µm程度である。ミストはスプレー作業やバブリングによって空気中に出てくる液体の粒子で5~150µm程度である。
(3)正しい。常温・常圧(25℃、1気圧)で液体又は固体の物質が、その蒸気圧に応じて蒸発又は昇華して気体となっているものを蒸気(vapor)という。常温・常圧で気体として分子が安定に存在できれば、その気体は蒸気ではなくガス(gas)である。
(4)誤り。ミストとは、蒸発した気体が空気中で液化したり、スプレー作業などによって作業空間中に浮遊する液体の微細な粒子(飛沫)のことである。あくまでもミストとは液体の微細な粒子であり、固体の粒子はミストとは呼ばない。
(5)正しい。固体の微細な粒子を粉じんと呼ぶ。産業保健の分野の英語ではパウダー又はダストと呼ぶ。
なお、明確な大きさの定義があるわけではないが、空気中に浮遊するようなものを粉じんと呼び、0.5~150µm程度のものを指すことが多い。これは、空気中に浮遊しておらず堆積していても粉じんと呼ぶ。球形とは限らず、様々な形状をしている。