労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生関係法令 問15

有機溶剤中毒予防規則(全般)




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 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問15 難易度 有機則に関する広範だが基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
有機溶剤

問15 有機溶剤中毒予防規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)第二種有機溶剤等を使用して、屋内作業場で洗浄の業務を行う場合は、発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシユプル型換気装置を設けなければならない。

(2)地下室の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合、当該作業が短時間であり、かつ、送気マスクを備えたときは、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、ブッシユプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。

(3)作業環境測定の結果、3年以上第1管理区分が継続している作業環境管理が良好な屋内作業場で有機溶剤業務に従事する労働者については、所轄労働基準監督署長の許可を受けて定期の有機溶剤健康診断の一部を省略することができる。

(4)第二種有機溶剤等を用いて吹付け塗装をする屋内作業場に設ける外付け式側方吸引型フードを有する局所排気装置は、0.5メートル/秒の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。

(5)船倉の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合、設置した局所排気装置の機能が故障により低下し、有機溶剤中毒の発生のおそれがあるときは、直ちに作業を中止し、労働者を当該船倉の内部から退避させなければならない。

(3)

【解説】

(1)正しい。有機則第1条第1項第六号チにより、第二種有機溶剤等を使用して、洗浄の業務を行う場合は、有機溶剤業務に当たる。

従って、屋内作業場で洗浄の業務を行う場合には、有機則第5条により、発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシユプル型換気装置を設けなければならない。

【有機溶剤中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。

イ~ト (略)

 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務

リ~ル (略)

 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務

 (略)

(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)

第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(2)正しい。有機則第2条第1項第一号により、「地下室の内部」は同規則の「タンク等の内部」に含まれる。

従って、同規則第9条第2項により、地下室の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合、当該作業が短時間であり、かつ、送気マスクを備えたときは、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、ブッシユプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。

【有機溶剤中毒予防規則】

(適用の除外)

第2条 (柱書 略)

 屋内作業場等(屋内作業場又は前条第二項各号に掲げる場所をいう。以下同じ。)のうちタンク等の内部地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部、保冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部又は前条第二項第三号から第十一号までに掲げる場所をいう。以下同じ。)以外の場所において(以下略)

 (表 略)

 (略)

 (略)

(短時間有機溶剤業務を行う場合の設備の特例)

第9条 (第1項 略)

 事業者は、タンク等の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、かつ、送気マスクを備えたときは、第五条又は第六条の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。

(3)誤り。有機則第31条に、健康診断を3年以上行い、その間、新たに有機溶剤による異常所見があると認められる労働者が発見されなかつたときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その後における有機溶剤等健康診断個人票の作成及び保存並びに医師からの意見聴取を行わないことができる。

しかし、作業環境測定の結果、3年以上第1管理区分が継続している作業環境管理が良好な屋内作業場で有機溶剤業務に従事する労働者については、所轄労働基準監督署長の許可を受けて定期の有機溶剤健康診断の一部を省略することができるなどという規定は存在していない。

なお、実務においては、健康診断の結果、3年以上新たな有所見者がいなかったとしても、個人票を作成しなかったり保存しなかったりすることは避けるべきである。将来、労働者に健康障害が発症して問題となった場合に、健康診断の記録は貴重な資料となるからである。

【有機溶剤中毒予防規則】

(健康診断の特例)

第31条 事業者は、第二十九条第二項、第三項又は第五項の健康診断を三年以上行い、その間、当該健康診断の結果、新たに有機溶剤による異常所見があると認められる労働者が発見されなかつたときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その後における第二十九条第二項、第三項又は第五項の健康診断、第三十条の有機溶剤等健康診断個人票の作成及び保存並びに第三十条の二の医師からの意見聴取を行わないことができる。

2~5 (略)

(4)正しい。第二種有機溶剤等を用いて吹付け塗装をする業務は、有機則第1条第六号リにより、有機溶剤業務である。従って、吹付塗装を行う屋内作業場に設ける局所排気装置は、同規則第5条による局所排気装置である。従って、同規則第16条の規定を満たす必要がある(同第14条第1項参照)。

従って、同規則第16条第1項により、外付け式側方吸引型フードを有する局所排気装置は、0.5メートル/秒の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。

【有機溶剤中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。

イ~チ (略)

 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務(ヲに掲げる業務に該当する塗装の業務を除く。)

ヌ及びル (略)

 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務

 (略)

(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)

第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(局所排気装置のフード等)

第14条 事業者は、局所排気装置(第二章の規定により設ける局所排気装置をいう。以下この章及び第十九条の二第二号において同じ。)(以下略)

 (略)

(局所排気装置の性能)

第16条 局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。

型式 制御風速(メートル/秒)
囲い式フード 〇・四
外付け式フード 側方吸引型 〇・五
下方吸引型 〇・五
上方吸引型 一・〇
備考 (略)

 (略)

(5)正しい。船倉の内部は、有機則第2条第1項第一号により、有機則の「タンク等の内部」に含まれる。

従って、船倉の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合、同規則第27条第1項(第一号)の規定により、設置した局所排気装置の機能が故障により低下し、有機溶剤中毒の発生のおそれがあるときは、直ちに作業を中止し、労働者を当該船倉の内部から退避させなければならない。

【有機溶剤中毒予防規則】

(適用の除外)

第2条 (柱書 略)

 屋内作業場等(屋内作業場又は前条第二項各号に掲げる場所をいう。以下同じ。)のうちタンク等の内部(地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部

 (表 略)

 (略)

 (略)

(事故の場合の退避等)

第27条 事業者は、タンク等の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当する事故が発生し、有機溶剤による中毒の発生のおそれのあるときは、直ちに作業を中止し、労働者を当該事故現場から退避させなければならない。

 当該有機溶剤業務を行う場所を換気するために設置した局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置の機能が故障等により低下し、又は失われたとき。

 (略)

 (略)

2022年01月07日執筆

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