問13 鉛中毒の予防に関する次の記述のうち、鉛中毒予防規則上、誤っているものはどれか。
(1)鉛ライニングを施した物の溶接、溶断、加熱又は圧延を行う屋内の作業場所には局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
(2)鉛装置の内部における業務に労働者を従事させるときは、有効な呼吸用保護具及び労働衛生保護衣類を使用させなければならない。
(3)鉛作業主任者の職務には、局所排気装置、プッシユプル型換気装置、全体換気装置、排気筒及び除じん装置を毎週1回以上点検することが含まれる。
(4)鉛業務に労働者を従事させるときは、洗たくのための設備を設ける等作業衣等の鉛等又は焼結鉱等による汚染を除去するための措置を講じなければならない。
(5)鉛業務に従事している期間又は鉛業務に従事しなくなってから4週間以内に、腹部の癌痛、四肢の伸筋麻痺の症状を訴える労働者には、すみやかに、医師による診断を受けさせる必要がある。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問13 | 難易度 | 鉛則に関するかなり詳細な知識問題である。かなりの難問である。合否を分けるレベルだろうか。 |
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鉛中毒の予防 | 4 |
問13 鉛中毒の予防に関する次の記述のうち、鉛中毒予防規則上、誤っているものはどれか。
(1)鉛ライニングを施した物の溶接、溶断、加熱又は圧延を行う屋内の作業場所には局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
(2)鉛装置の内部における業務に労働者を従事させるときは、有効な呼吸用保護具及び労働衛生保護衣類を使用させなければならない。
(3)鉛作業主任者の職務には、局所排気装置、プッシユプル型換気装置、全体換気装置、排気筒及び除じん装置を毎週1回以上点検することが含まれる。
(4)鉛業務に労働者を従事させるときは、洗たくのための設備を設ける等作業衣等の鉛等又は焼結鉱等による汚染を除去するための措置を講じなければならない。
(5)鉛業務に従事している期間又は鉛業務に従事しなくなってから4週間以内に、腹部の癌痛、四肢の伸筋麻痺の症状を訴える労働者には、すみやかに、医師による診断を受けさせる必要がある。
(1)
【解説】
(1)誤り。鉛則第12条(第一号)の規定により、鉛ライニングを施した物の溶接、溶断、加熱又は圧延を行う屋内の作業場所には局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。全体換気装置は認められていない。
【鉛中毒予防規則】
(鉛ライニングを施した物の溶接等に係る設備)
第12条 事業者は、令別表第四第八号に掲げる鉛業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
一 鉛ライニングを施し、又は鉛化合物を含有する塗料(以下「含鉛塗料」という。)を塗布した物の溶接、溶断、加熱又は圧延を行なう屋内の作業場所に、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けること。
二 (略)
(2)正しい。鉛則第 58 条第1項の規定により、鉛装置の内部における業務に労働者を従事させるときは、有効な呼吸用保護具及び労働衛生保護衣類を使用させなければならない。
なお、同規則第 42 条の規定により、鉛装置の内部における業務に労働者を従事させるときは、作業場所の遮蔽、十分な換気、粉じんの発散の防止及び作業後の洗身の措置をとらなければならない。
すなわち、鉛則第 42 条の条件を整えた上で、さらに保護具等を着用させる必要がある。
【労働安全衛生法施行令】
別表第4 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)
一~八 (略)
九 鉛装置の内部における業務
十~十八 (略)
備考 (略)
【鉛中毒予防規則】
(鉛装置の内部における業務)
第42条 事業者は、令別表第四第九号に掲げる鉛業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
一 作業開始前に、当該鉛装置とそれ以外の装置で稼働させるものとの接続箇所を確実に遮断すること。
二 作業開始前に、当該鉛装置の内部を十分に換気すること。
三 当該鉛装置の内部に付着し、又はたい積している粉状の鉛等又は焼結鉱等を湿らせる等によりこれらの粉じんの発散を防止すること。
四 作業終了後、すみやかに、当該労働者に洗身をさせること。
(呼吸用保護具等)
第58条 事業者は、令別表第四第九号に掲げる鉛業務に労働者を従事させるときは、当該労働者に有効な呼吸用保護具及び労働衛生保護衣類を使用させなければならない。
2~5 (略)
(3)正しい。鉛則第34条(第三号)の規定により、鉛作業主任者の職務には、局所排気装置、プッシユプル型換気装置、全体換気装置、排気筒及び除じん装置を毎週1回以上点検することが含まれる。
【鉛中毒予防規則】
(作業主任者の職務)
第34条 事業者は、鉛作業主任者に次の事項を行なわせなければならない。
一 鉛業務に従事する労働者の身体ができるだけ鉛等又は焼結鉱等により汚染されないように労働者を指揮すること。
二 鉛業務に従事する労働者の身体が鉛等又は焼結鉱等によつて著しく汚染されたことを発見したときは、すみやかに、汚染を除去させること。
三 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、全体換気装置、排気筒及び除じん装置を毎週一回以上点検すること。
四 労働衛生保護具等の使用状況を監視すること。
五 令別表第四第九号に掲げる鉛業務に労働者が従事するときは、第四十二条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。
(4)正しい。鉛則第50条の規定により、鉛業務に労働者を従事させるときは、洗たくのための設備を設ける等作業衣等の鉛等又は焼結鉱等による汚染を除去するための措置を講じなければならない。
【鉛中毒予防規則】
(作業衣等の汚染の除去)
第50条 事業者は、鉛業務に労働者を従事させるときは、洗たくのための設備を設ける等作業衣等の鉛等又は焼結鉱等による汚染を除去するための措置を講じなければならない。
(5)正しい。鉛則第56条の規定により、鉛業務に従事している期間又は鉛業務に従事しなくなってから4週間以内に、腹部の癌痛、四肢の伸筋麻痺の症状を訴える労働者には、すみやかに、医師による診断を受けさせる必要がある。
【鉛中毒予防規則】
(診断)
第56条 事業者は、労働者を鉛業務に従事させている期間又は鉛業務に従事させなくなつてから四週間以内に、腹部の疝痛、四肢の伸筋麻痺若しくは知覚異常、蒼白、関節痛若しくは筋肉痛が認められ、又はこれらの病状を訴える労働者に、すみやかに、医師による診断を受けさせなければならない。