問9 衛生基準に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上、誤っているものはどれか。
(1)皮膚に障害を与える物を取り扱う業務に従事する労働者に使用させるため、不浸透性の保護衣、保護手袋等適切な保護具を、同時に就業する労働者の人数と同数以上備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。
(2)労働者を常時就業させる屋内作業場において、換気が十分行われる性能を有する設備がないときは、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、床及び周壁の総面積に対して20分の1以上になるようにしなければならない。
(3)多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。
(4)坑、井筒、船倉の内部その他の場所で、自然換気が不十分なところにおいては、当該場所を換気するときを除き、内燃機関を有する機械を使用してはならない。
(5)持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。

このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
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2012年度(平成24年度) | 問09 | 難易度 | 安衛則の衛生基準に関する基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。 |
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衛生基準 | 1 |
問9 衛生基準に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上、誤っているものはどれか。
(1)皮膚に障害を与える物を取り扱う業務に従事する労働者に使用させるため、不浸透性の保護衣、保護手袋等適切な保護具を、同時に就業する労働者の人数と同数以上備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。
(2)労働者を常時就業させる屋内作業場において、換気が十分行われる性能を有する設備がないときは、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、床及び周壁の総面積に対して20分の1以上になるようにしなければならない。
(3)多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。
(4)坑、井筒、船倉の内部その他の場所で、自然換気が不十分なところにおいては、当該場所を換気するときを除き、内燃機関を有する機械を使用してはならない。
(5)持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。
(2)
【解説】
本問で誤っている要素があるとすれば(2)のみである。他の肢は、いずれも誤りと考える余地がないものである。正答率は高かったのではないだろうか。
(1)正しい。安衛則第 594 条により、皮膚に障害を与える物を取り扱う業務に従事する労働者に使用させるため、不浸透性の保護衣、保護手袋等適切な保護具を備えなければならない。また、同規則第 596 条により、同時に就業する労働者の人数と同数以上備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。
そもそも本肢の規定は、皮膚障害を防止するために必要なものである。もし、本肢が誤りの肢だとすると、それは法令の欠陥(欠缺)であろう。そのような問題を厚生労働省の試験に出すわけがないのである。
【労働安全衛生規則】
(皮膚障害等防止用の保護具)
第594条 事業者は、皮膚若しくは眼に障害を与える物を取り扱う業務又は有害物が皮膚から吸収され、若しくは侵入して、健康障害若しくは感染をおこすおそれのある業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を備えなければならない。
2 (略)
(保護具の数等)
第596条 事業者は、第593条第1項、第594条第1項、第594条の2第1項及び前条第1項に規定する保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。
※ 第 594 条には、出題当時は以下のように「保護眼鏡等」は含まれていなかった。また、第 596 条も形式的な改正が行われている。
(皮膚障害等防止用の保護具)
第594条 事業者は、皮膚に障害を与える物を取り扱う業務又は有害物が皮膚から吸収され、若しくは侵入して、健康障害若しくは感染をおこすおそれのある業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋又は履はき物等適切な保護具を備えなければならない。
(保護具の数等)
第596条 事業者は、前3条に規定する保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。
(2)誤り。安衛則第 601 条により、労働者を常時就業させる屋内作業場において、換気が十分行われる性能を有する設備がないときは、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、床面積に対して 20 分の1以上になるようにしなければならない。床及び周壁の総面積に対して 20 分の1以上ではない。
※ なお、試験合格後の実務において、昭和 35 年 10 月 31 日基発第 929 号「有機溶剤中毒予防規則の施行について」が、「「通風が不十分な屋内作業場」とは、天井、床及び周壁の総表面積に対する窓その他の直接外気に向って開放しうる開口部の面積の比率が3パーセント以下の屋内作業場をいうこと
」(記の第2の2の(2))としていることに留意すること。
そして、有機則第2条が、通風が不十分な屋内作業場は「タンク等の内部」としているのである。「タンク等の内部」という言葉のイメージから、一般の工場や事務所などに有機則のタンク等の内部についての規制がかかるとは思えないことが多いが、一般の工場、倉庫、事務所などでもタンク等の内部に該当することは多い。むしろ、開口部が天井、床及び周壁の総表面積の3%を超えるケースの方が少ないくらいである。
【労働安全衛生規則】
(換気)
第601条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場においては、窓その他の開口部の直接外気に向つて開放することができる部分の面積が、常時床面積の20分の1以上になるようにしなければならない。ただし、換気が十分行なわれる性能を有する設備を設けたときは、この限りでない。
2 (略)
(3)正しい。安衛則第 617 条により、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。
【労働安全衛生規則】
(発汗作業に関する措置)
第617条 事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。
(4)正しい。安衛則第 578 条により、坑、井筒、船倉の内部その他の場所で、自然換気が不十分なところにおいては、当該場所を換気するときを除き、内燃機関を有する機械を使用してはならない。
※ 本問とは関係がないが、試験合格後の実務においては、昭和 42 年3月 31 日基発第 442 号「鉛中毒予防規則の施行について」に「「自然換気が不十分な場所」には、開放された窓面積が床面積の 20 分の1未満又は無窓の屋内作業場を含むものであること
」とされていることに留意すること。
【労働安全衛生規則】
(内燃機関の使用禁止)
第578条 事業者は、坑、井筒、潜函、タンク又は船倉の内部その他の場所で、自然換気が不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械を使用してはならない。ただし、当該内燃機関の排気ガスによる健康障害を防止するため当該場所を換気するときは、この限りでない。
(5)正しい。安衛則第 615 条により、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。
【労働安全衛生規則】
(立業のためのいす)
第615条 事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。