問7 危険物又は有害物、機械等について講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある一定の危険物又は有害物を譲渡し、又は提供する者は、主として一般消費者の生活の用に供される場合を除き、文書の交付その他の方法により当該物の名称、成分及び含有量、人体に及ぼす作用等の所定の事項を、譲渡提供先に通知しなければならない。
(2)特定化学物質の第3類物質を取り扱う特定化学設備及びその付属設備の改造、修理、清掃等で当該設備を分解する作業に係る仕事を、他の者から請け負わないで注文している者は、当該第3類物質の危険性及び有害性その他所定の事項について記載した文書(電磁的記録を含む。)を作成し、これをその請負人に交付しなければならない。
(3)新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ当該新規化学物質について変異原性試験及びがん原性試験による有害性の調査を行わなければならない。
(4)型式検定に合格した型式の使い捨て式防じんマスクを本邦において製造し、又は本邦に輸入した者は、当該マスクの面体ごとの見やすい箇所に、型式検定に合格した型式の使い捨て式防じんマスクである旨の表示を付さなければならない。
(5)ベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の健康障害を生ずるおそれのある一定の有害物を容器に入れて、譲渡し、又は提供する者は、主として一般消費者の生活の用に供される場合を除き、その名称、人体に及ぼす作用等の所定の事項のほか、厚生労働大臣が定める標章をその容器に表示しなければならない。
※ 2016年(平成28年)6月施行の法令改正に伴い、問題文を一部修正した。

このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問07 | 難易度 | 化学物質、機械等への規制に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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化学物質、機械等の規制 | 3 |
問7 危険物又は有害物、機械等について講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある一定の危険物又は有害物を譲渡し、又は提供する者は、主として一般消費者の生活の用に供される場合を除き、文書の交付その他の方法により当該物の名称、成分及び含有量、人体に及ぼす作用等の所定の事項を、譲渡提供先に通知しなければならない。
(2)特定化学物質の第3類物質を取り扱う特定化学設備及びその付属設備の改造、修理、清掃等で当該設備を分解する作業に係る仕事を、他の者から請け負わないで注文している者は、当該第3類物質の危険性及び有害性その他所定の事項について記載した文書(電磁的記録を含む。)を作成し、これをその請負人に交付しなければならない。
(3)新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ当該新規化学物質について変異原性試験及びがん原性試験による有害性の調査を行わなければならない。
(4)型式検定に合格した型式の使い捨て式防じんマスクを本邦において製造し、又は本邦に輸入した者は、当該マスクの面体ごとの見やすい箇所に、型式検定に合格した型式の使い捨て式防じんマスクである旨の表示を付さなければならない。
(5)ベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の健康障害を生ずるおそれのある一定の有害物を容器に入れて、譲渡し、又は提供する者は、主として一般消費者の生活の用に供される場合を除き、その名称、人体に及ぼす作用等の所定の事項のほか、厚生労働大臣が定める標章をその容器に表示しなければならない。
※ 2016年(平成28年)6月施行の法令改正に伴い、問題文を一部修正した。
(3)
【解説】
(1)正しい。安衛法第 57 条の2により、危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある一定の危険物又は有害物を譲渡し、又は提供する者は、主として一般消費者の生活の用に供される場合を除き、文書の交付その他の方法により当該物の名称、成分及び含有量、人体に及ぼす作用等の所定の事項を、譲渡提供先に通知しなければならない。
【労働安全衛生法】
(文書の交付等)
第57条の2 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第56条第1項の物(以下この条及び次条第1項において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第2項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。
一 名称
二 成分及びその含有量
三 物理的及び化学的性質
四 人体に及ぼす作用
五 貯蔵又は取扱い上の注意
六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2及び3 (略)
(2)正しい。安衛法第 31 条の2の対象となるものには、安衛令第9条の3(第二号)により、特定化学物質の第3類物質を取り扱う特定化学設備及びその付属設備が含まれる(出題当時とは同号の範囲は拡大している)。
また、安衛法第 31 条の「改造その他の厚生労働省令で定める作業」には、安衛則第 662 条の3により、本肢の「改造、修理、清掃等で当該設備を分解する作業に係る仕事」が含まれる。
従って、この仕事を他の者から請け負わないで注文している者は、安衛則第 662 条の3により、その第3類物質の危険性及び有害性その他所定の事項について記載した文書(電磁的記録を含む。)を作成し、これをその請負人に交付しなければならない。
【労働安全衛生法】
第31条の2 化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物を製造し、又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
【労働安全衛生法施行令】
(法第三十一条の二の政令で定める設備)
第9条の3 法第31条の2の政令で定める設備は、次のとおりとする。
一 (略)
二 前号に掲げるもののほか、法第57条の2第1項に規定する通知対象物を製造し、又は取り扱う設備(移動式以外のものに限る。)及びその附属設備
【労働安全衛生規則】
(法第三十一条の二の厚生労働省令で定める作業)
第662条の3 法第31条の2の厚生労働省令で定める作業は、同条に規定する設備の改造、修理、清掃等で、当該設備を分解する作業又は当該設備の内部に立ち入る作業とする。
(文書の交付等)
第662条の4 法第31条の2の注文者(その仕事を他の者から請け負わないで注文している者に限る。)は、次の事項を記載した文書(その作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項において同じ。)を作成し、これをその請負人に交付しなければならない。
一 法第31条の2に規定する物の危険性及び有害性
二 当該仕事の作業において注意すべき安全又は衛生に関する事項
三 当該仕事の作業について講じた安全又は衛生を確保するための措置
四 当該物の流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
2及び3 (略)
※ 出題当時は安衛令第9条の3第2号は、下記のようになっていた。現在は改正により上記のように修正されている。現行の第二号には、出題当時の第二号のもの(特定化学設備及びその附属設備)はすべて含まれるので、本肢の正誤には影響がない。
(法第三十一条の二の政令で定める設備)
第9条の3 法第31条の2の政令で定める設備は、次のとおりとする。
一 (略)
二 特定化学設備(別表第三第二号に掲げる第二類物質のうち厚生労働省令で定めるもの又は同表第三号に掲げる第三類物質を製造し、又は取り扱う設備で、移動式以外のものをいう。第15条第1項第十号において同じ。)及びその附属設備
(3)誤り。新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ当該新規化学物質について有害性の調査を行わなければならないことは、安衛法第 57 条の4第1項により正しい。
しかしながら、有害性の調査は、安衛則第 34 条の3第1項(第一号)により、「変異原性試験、化学物質のがん原性に関し変異原性試験と同等以上の知見を得ることができる試験又はがん原性試験のうちいずれかの試験」であればよい。
変異原性試験及びがん原性試験による有害性の調査を行わなければならないわけではない。そのそもがん原性試験には、多額のコストを要するためすべての新規化学物質について行わせることは現実的ではない。
また、新規化学物質の有害性の調査は、安衛法第 57 条の4第1項但書により、一定の場合は除かれており、その意味でも誤りとなる。
【労働安全衛生法】
(化学物質の有害性の調査)
第57条の4 化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質(第三項の規定によりその名称が公表された化学物質を含む。)以外の化学物質(以下この条において「新規化学物質」という。)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従つて有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう。以下この条において同じ。)を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときその他政令で定める場合は、この限りでない。
一~四 (略)
2~5 (略)
【労働安全衛生規則】
(有害性の調査)
第34条の3 法第57条の4第1項の規定による有害性の調査は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 変異原性試験、化学物質のがん原性に関し変異原性試験と同等以上の知見を得ることができる試験又はがん原性試験のうちいずれかの試験を行うこと。
二 (略)
2 (略)
※ 本問出題当時、安衛法第 57 条の4は、第 57 条の3として定められていた。
(4)正しい。使い捨て式防じんマスクはろ過材及び面体を有する防じんマスクであり(※)、安衛法別表第四第五号に掲げる防じんマスクであって、安衛令第 14 条の2第五号の防じんマスクである。従って、安衛法第 44 条の2第1項の規定により、型式検定を受けなければならない。
※ 使い捨て式防じんマスクは、ろ過材そのものが面体となっている。ろ過材を有しないマスクには給気式のマスクがあり、面体を有しないマスクにはフード形エアラインマスクなどがあるが、これらは通常は防じんマスクとは呼ばない。
なお、「防じんマスクの規格」には、ろ過材及び面体を有する防じんマスクのみ定めている。
従って、安衛法第 44 条の2第5項により、型式検定に合格した型式の使い捨て式防じんマスクを本邦において製造し、又は本邦に輸入した者は、当該マスクの面体ごとの見やすい箇所に、型式検定に合格した型式の使い捨て式防じんマスクである旨の表示を付さなければならない。
【労働安全衛生法】
(化学物質の有害性の調査)
第44条の2 第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。
2~4 (略)
5 型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。型式検定に合格した型式の機械等を本邦に輸入した者(当該型式検定を受けた者以外の者に限る。)についても、同様とする。
6及び7 (略)
別表第四 (第四十四条の二関係)
一~四 (略)
五 防じんマスク
六~十三 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(型式検定を受けるべき機械等)
第14条の2 法第44条の2第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
一~四 (略)
五 防じんマスク(ろ過材及び面体を有するものに限る。)
六~十四 (略)
(5)正しい。安衛法第 57 条第1項により、ベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の健康障害を生ずるおそれのある一定の有害物を容器に入れて、譲渡し、又は提供する者は、主として一般消費者の生活の用に供される場合を除き、その名称、成分、人体に及ぼす作用等の所定の事項のほか、厚生労働大臣が定める標章をその容器に表示しなければならない。
なお、オリジナルの問題文は、「その名称、成分、人体に及ぼす作用等」となっていたが、法令改正(※)により 2016 年(平成 28 年)6月1日以降、「成分」の表示義務はなくなったため、問題文から削除した。
※ 詳細は、平成 27 年8月3日基発 0803 第2号「労働安全衛生法施行令及び厚生労働省組織令の一部を改正する政令等の施行について(化学物質等の表示及び危険性又は有害性等の調査に係る規定等関係)」を参照されたい。
表示義務を外したのは、法令改正により表示対象物質数が大きく増加したため、全ての成分名を表示すると、表示事項が増えて縮尺が小さくなって読みにくくなることを考慮したものである。なお、行政は、改正直後のこの通達において「施行日以後、各事業者の判断において、適切と考えられる「成分」に係る表示事項を表示することは望ましいこと
」としていた。しかし、その後、さらに対象物質が増加したため、現在ではこの通達のこの記述も削除されている(安全衛生情報センターのサイトに掲示されているこの通達では削除されていないようだが)。
【労働安全衛生法】
(表示等)
第57条 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第1項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあつては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 人体に及ぼす作用
ハ 貯蔵又は取扱い上の注意
ニ イからハまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
二 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの
2 (略)
【労働安全衛生規則】
第33条 法第57条第1項第一号ニの厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 法第57条第1項の規定による表示をする者の氏名(法人にあつては、その名称)、住所及び電話番号
二 注意喚起語
三 安定性及び反応性
※ 出題当時の安衛法第 57 条第1項第1号ロには、成分が定められていた。現在は改正により削除されている。
(表示等)
第57条 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第1項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあつては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 成分
ハ 人体に及ぼす作用
ニ 貯蔵又は取扱い上の注意
ホ イからハまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
二 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの
2 (略)