問3 陶磁器製品を製造する工場の室内で、鉱物を据付式の動力機械により水または油の中以外で粉砕する箇所に設置する局所排気装置に関する次の記述のうち、粉じん障害防止規則上、誤っているものはどれか。
ただし、局所排気装置は移動式以外のものとする。
(1)局所排気装置のフードは粉じんの発生源ごとに設け、かつ、外付け式フードは発生源にできるだけ近い位置に設けなければならない。
(2)除じん装置を付設する局所排気装置の排風機は、原則として除じんをした後の空気が通る位置に設けなければならないが、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないときは、除じんをする前の空気が通る位置に設けてもよい。
(3)局所排気装置の排出口は、原則として屋外に設けなければならないが、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものは屋外に設けなくてもよい。
(4)局所排気装置に付設する除じん装置は、粉じんの種類がヒューム以外の粉じんであるときは、サイクロンによる除じん方式、スクラバによる除じん方式、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置とすることができる。
(5)局所排気装置及び付設する除じん装置については、これらの装置を初めて使用するとき、又は分解して改造若しくは修理を行ったときに所定の事項について点検を行うほか、原則として1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問03 | 難易度 | 粉じん則は例年、細かい知識を問う問題が出題される。本問もかなり難問であろう。 |
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粉じん則 | 5 |
問3 陶磁器製品を製造する工場の室内で、鉱物を据付式の動力機械により水または油の中以外で粉砕する箇所に設置する局所排気装置に関する次の記述のうち、粉じん障害防止規則上、誤っているものはどれか。
ただし、局所排気装置は移動式以外のものとする。
(1)局所排気装置のフードは粉じんの発生源ごとに設け、かつ、外付け式フードは発生源にできるだけ近い位置に設けなければならない。
(2)除じん装置を付設する局所排気装置の排風機は、原則として除じんをした後の空気が通る位置に設けなければならないが、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないときは、除じんをする前の空気が通る位置に設けてもよい。
(3)局所排気装置の排出口は、原則として屋外に設けなければならないが、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものは屋外に設けなくてもよい。
(4)局所排気装置に付設する除じん装置は、粉じんの種類がヒューム以外の粉じんであるときは、サイクロンによる除じん方式、スクラバによる除じん方式、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置とすることができる。
(5)局所排気装置及び付設する除じん装置については、これらの装置を初めて使用するとき、又は分解して改造若しくは修理を行ったときに所定の事項について点検を行うほか、原則として1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
(3)
【解説】
本問を解くに当たっての前提条件として、本問の局所排気装置が法定のものかどうかを検討する必要がある。
本問の作業箇所は、粉じん則別表第2第八号に該当する。従って、本問の局所排気装置は、同規則第4条表第七号による局所排気装置であると考えられる。
従って、本問の局所排気装置は、同規則「第3章 設備の性能等」(第11条~第16条)の規定を満足するものでなければならない。
【粉じん障害防止規則】
(特定粉じん発生源に係る措置)
第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。
特定粉じん発生源 | 措置 |
---|---|
(略) | (略) |
七 別表第二第八号に掲げる箇所(アルミニウムはくを破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所を除く。) |
一 密閉する設備を設置すること。 二 局所排気装置を設置すること。 三 湿潤な状態に保つための設備を設置すること。 |
(略) | (略) |
別表第1 (第二条、第三条関係)
一~七 (略)
八 鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業(第三号、第十五号又は第十九号に掲げる作業を除く。)。ただし、水又は油の中で動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業を除く。
九~二十三 (略)
別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)
一~七 (略)
八 別表第一第八号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力(手持式動力工具によるものを除く。)により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所
九~十五
(1)正しい。粉じん則第11条第1項(第一号)の規定により、局所排気装置のフードは粉じんの発生源ごとに設け、かつ、外付け式フードは発生源にできるだけ近い位置に設けなければならない。
【粉じん障害防止規則】
(特定粉じん発生源に係る措置)
第11条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。
一 フードは、粉じんの発生源ごとに設けられ、かつ、外付け式フードにあつては、当該発生源にできるだけ近い位置に設けられていること。
二~五 (略)
2 (略)
(2)正しい。粉じん則第11条第1項(第三号)の規定により、除じん装置を付設する局所排気装置の排風機は、原則として除じんをした後の空気が通る位置に設けなければならないが、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないときは、除じんをする前の空気が通る位置に設けてもよい。
【粉じん障害防止規則】
(特定粉じん発生源に係る措置)
第11条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。
一及び二 (略)
三 前条第一項の規定により除じん装置を付設する局所排気装置の排風機は、除じんをした後の空気が通る位置に設けられていること。ただし、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないときは、この限りでない。
四及び五 (略)
2 (略)
(3)誤り。粉じん則第11条第1項(第三号)の規定により、局所排気装置の排出口は、原則として屋外に設けなければならないことは正しい。
一方、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものは屋外に設けなくてもよいのは、同規則別表第二第七号に掲げる特定粉じん発生源に設ける局所排気装置に限られる。しかし、本問の作業箇所は、別表第二第八号に掲げる特定粉じん発生源であり、かつ移動式でもない。
【粉じん障害防止規則】
(特定粉じん発生源に係る措置)
第11条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。
一~三 (略)
四 排出口は、屋外に設けられていること。ただし、移動式の局所排気装置又は別表第二第七号に掲げる特定粉じん発生源に設ける局所排気装置であつて、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものにあつては、この限りでない。
五 (略)
2 (略)
(4)正しい。粉じん則第13条第1項の規定により、局所排気装置に付設する除じん装置は、粉じんの種類がヒューム以外の粉じんであるときは、サイクロンによる除じん方式、スクラバによる除じん方式、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置とすることができる。
【粉じん障害防止規則】
(除じん)
第13条 事業者は、第十条の規定により設ける除じん装置については、次の表の上欄に掲げる粉じんの種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの除じん方式又はこれらと同等以上の性能を有する除じん方式による除じん装置としなければならない。
粉じんの種類 | 除じん方式 |
---|---|
ヒューム |
ろ過除じん方式 電気除じん方式 |
ヒューム以外の粉じん |
サイクロンによる除じん方式 スクラバによる除じん方式 ろ過除じん方式 電気除じん方式 |
2 (略)
なお、参考までにこれらの除じん方式について簡単に説明しておくが、一言で言えば、次のようなものである(※)。
- 「ろ過除じん方式」とは、ろ層に粉じんを含有する気体を通して、粉じんをろ過捕集する原理によるものをいい、バグフィルタ(ろ布の袋)によるものとスクリーンフィルタ(ろ布の幕)によるものとがある。
- 「電気除じん方式」とは、高電圧の直流のコロナ放電を利用して、粉じんを荷電し、電気的引力により捕集する原理によるものをいう
- 「スクラバによる除じん方式」とは、水等の液体を噴射又は起泡し、粉じんを含有する気体中の粉じんを加湿凝集させて捕集する原理によるものをいい、一般に湿式又は洗浄式除じん方式といわれているものである
- 「サイクロンによる除じん方式」とは、粉じんを含有する気体を円筒内で旋回させ、その遠心力で外方に分離される粉じんを落下させるものをいう
※ 昭和四六年五月二四日基発第三九九号「特定化学物質等障害予防規則の施行について」による。なお、詳細は、福田正則「除じん・集じん技術」(生活衛生 Vol.17 No.5)を参照されたい。
(5)正しい。粉じん則第19条の規定により、局所排気装置及び付設する除じん装置については、これらの装置を初めて使用するとき、又は分解して改造若しくは修理を行ったときに所定の事項について点検を行わなければならない。
また、安衛法第45条(同施行令第15条第九号及び粉じん則第17条)の規定により、原則として1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
【労働安全衛生法】
(定期自主検査)
第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(定期に自主検査を行うべき機械等)
第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。
一~八 (略)
九 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの
十及び十一 (略)
2 (略)
【粉じん障害防止規則】
(局所排気装置等の定期自主検査)
第17条 労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置(粉じん作業に係るものに限る。)は、第四条及び第二十七条第一項ただし書の規定により設ける局所排気装置及びプッシュプル型換気装置並びに第十条の規定により設ける除じん装置とする。
2 事業者は、前項の局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~三 (略)
3 事業者は、前項ただし書の装置については、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。
(点検)
第19条 事業者は、第十七条第一項の局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は除じん装置を初めて使用するとき、又は分解して改造若しくは修理を行つたときは、同条第二項各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について点検を行わなければならない。