労働衛生コンサルタント試験 健康管理 2012年 問2

VDT作業のガイドライン




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 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「健康管理(記述式)」問題の解説と解答例を示しています。

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 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問 2 情報機器ガイドラインは、択一でも出題されるので、内容をきちんと理解しておきたい問題である。
VDT作業ガイドライン
2022年01月13日執筆

問2 近年のIT技術の進展に伴い、職場においてVDT作業が広く行われている。こうした背景の下、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が策定され、VDT作業者の衛生管理が推進されているところである。
 このことに関し、以下の設問に答えよ。

  • (1)VDT作業の労働衛生上の特徴について50字程度で述べよ。

    • 【解説】
      いわゆるVDTガイドラインは、平成2002年4月5日に「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(以下「VDTガイドライン」という。)によって公表された。本問出題時にはVDTガイドラインが有効であった。
      その後、2019年7月12日には「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(以下「情報機器ガイドライン」という。)(通達)が公開されて、VDTガイドラインは廃止されている。本問の解説は現行ガイドラインである情報機器ガイドラインによって行っている。
      情報機器ガイドラインの「解説」の「『2 対象となる作業』について」によると、次のように記載されていr。
      情報機器作業における身体的な特徴は「拘束性」という言葉で表される。これは情報機器作業においては、画面からの情報を正確に得るために頭(眼)の位置が限定されること、さらに、特にキーボードからの入力においては、手の位置も限定されることから、身体の動きが極端に制限されることによる。
      「拘束性」が強いかどうかの判断は容易ではない場合が少なからずある。作業者自身が気付かないことも多く、また個人差も大きいことから、衛生管理者や産業医等の客観的な観察も必要である。
      「拘束性」が強いかどうかの判断は容易ではない場合が少なからずある。作業者自身が気付かないことも多く、また個人差も大きいことから、衛生管理者や産業医等の客観的な観察も必要である。
       情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン[解説]
      すなわち、「拘束性」という観点からまとめればよい。
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    • 【解答例】
      情報機器作業における身体的な特徴は「拘束性」という言葉で表される。
      これは情報機器作業においては、画面からの情報を正確に得るために頭(眼)の位置が限定されること、さらに、特にキーボードからの入力においては、手の位置も限定されることから、身体の動きが極端に制限されることによる。
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  • (2)VDT作業が健康に及ぼす影響について述べよ。

    • 【解説】
      情報機器作業が健康に及ぼす影響といえば、情報機器ガイドラインに示された検診項目を確認すればよい。ここには、眼疲労を主とする視器に関する症状、上肢、頸肩腕部及び腰背部を主とする筋骨格系の症状、ストレスに関する症状(※)などが挙げられている。
      ※ また、「情報機器作業に係る労働衛生教育の推進について」(昭和61年3月31日基発第187号)の「別添2 情報機器作業に係る労働衛生教育実施要領」に「情報機器作業の健康への影響(疲労、視覚への影響、筋骨格系への影響、メンタルヘルスなど)」という表現がある。
      おそらく、これを答えておけばよいと思う。
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    • 【解答例】
      情報機器作業の健康への影響としては、疲労、視覚への影響、筋骨格系への影響、メンタルヘルスへの影響等がある。
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  • (3)コールセンターにおいて、1日8時間の勤務時間のほぼすべての時間、予約の入力作業を行っているVDT作業者の作業管理について、作業時間管理の面から配慮すべき事項を四つ挙げよ。

    • 【解説】
      本小問の「コールセンターにおいて、1日8時間の勤務時間のほぼすべての時間、予約の入力作業を行っているVDT作業者」は、出題当時のVDTガイドラインの「別紙 VDT作業の作業区分」ではA区分の拘束型とされていた。
      現在の情報機器ガイドラインでは、このような作業区分の考え方は排除されており、本小問の作業者は「別紙 情報機器作業の作業区分」において、「全ての者を検診対象とする」とされているに過ぎない。
      情報機器ガイドラインでは、本小問の作業者は、作業時間について以下の規定が適用される。
      5 作業管理
      (1)作業時間等
      イ 一日の作業時間
        情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。
      ロ 一連続作業時間及び作業休止時間
        一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10 分~15 分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けるよう指導すること。
      9 情報機器作業の作業区分に応じて実施する事項
      (1)「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの(全ての者が健診対象)」に該当する者の場合
        以下の対策を1~8に加えて実施すること。
      イ 一日の連続作業時間への配慮
        視覚負担をはじめとする心身の負担を軽減するため、他の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施することなどにより、一日の連続情報機器作業時間が短くなるように配慮すること。
       情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
      解答欄に記したように書けばよい。なお、ガイドラインが修正されているので、あまり意味はないが、問題文に合わせて(無理に)4項目としている。
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    • 【解答例】
      以下の対応を図るべきである。
      ① 1日の作業時間について、情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないようにすること。
      ② 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10 分~15 分の作業休止時間を設けるようにすること。
      ③ 一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けるようにすること。
      ④ 視覚負担をはじめとする心身の負担を軽減するため、他の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施することなどにより、一日の連続情報機器作業時間が短くなるように配慮すること。
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  • (4)上記(3)のVDT作業者の配置前健康診断で行うべき眼科学的検査の種類を三つ挙げよ。

    • 【解説】
      情報機器ガイドラインでは、情報機器作業者の配置前健康診断で行うべき眼科学的検査を次のように定めている。
       眼科的検査
      (a)視力検査
       遠見視力の検査
       近見視力の検査
      (a)屈折検査
      (a)自覚症状により目の疲労を訴える者に対しては、眼位検査、調節機能検査
       情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
      これに従って答えればよい。
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    • 【解答例】
      VDT作業者の配置前健康診断で行うべき眼科学的検査の種類には以下のものがある。
      ① 視力検査
      ② 屈折検査
      ③ 眼位検査、調節機能検査
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  • (5)VDT作業の作業環境管理について、照明及び採光の面から配慮すべき事項を四つ挙げよ。

    • 【解説】
      情報機器ガイドラインでは、情報機器作業の作業環境管理について、照明及び採光の面から配慮すべき事項を次のように定めている。
      4 作業環境管理
        作業者の心身の負担を軽減し、作業者が支障なく作業を行うことができるよう、次により情報機器作業に適した作業環境管理を行うこと。
      (1)照明及び採光
       室内は、できる限り明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
       ディスプレイを用いる場合の書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とし、作業しやすい照度とすること。
        また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
       ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。
       間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること。
       その他グレアを防止するための有効な措置を講じること。
       情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
      これに従って答えればよい。
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    • 【解答例】
      情報機器作業の作業環境管理について、照明及び採光の面から配慮すべき事項としては、以下のことが考えられる。
      ① 室内は、できる限り明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
      ② ディスプレイを用いる場合の書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とし、作業しやすい照度とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
      ③ ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。
      ④ 間接照明等のグレア防止用照明器具を用いることその他グレアを防止するための有効な措置を講じること。
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  • (6)労働人口に占める高年齢労働者の割合が増加してきている。高年齢労働者のVDT作業について、配慮すべき事項を二つ挙げよ。

    • 【解説】
      情報機器ガイドラインでは、高齢者に対する配慮事項等について、以下のように定めている。
      10 配慮事項等
      (1)高齢者に対する配慮事項等
        高年齢の作業者については、照明条件やディスプレイに表示する文字の大きさ等を作業者ごとに見やすいように設定するとともに、過度の負担にならないように作業時間や作業密度に対する配慮を行うことが望ましい。
        また、作業の習熟の速度が遅い作業者については、それに合わせて追加の教育、訓練を実施する等により、配慮を行うことが望ましい。
       情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
      これに従って答えればよい。
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    • 【解答例】
      高年齢労働者の情報機器作業について、配慮すべき事項としては、以下のことが考えられる。
      ① 高年齢の作業者については、照明条件やディスプレイに表示する文字の大きさ等を作業者ごとに見やすいように設定するとともに、過度の負担にならないように作業時間や作業密度に対する配慮を行うことが望ましい。
      ② 作業の習熟の速度が遅い作業者については、それに合わせて追加の教育、訓練を実施する等により、配慮を行うことが望ましい。
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