労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生一般 問23

人間工学的観点からみた作業改善




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合格

 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問23 難易度 人間工学に関する設問はあまり類例がなく、やや難問だっただろうか。
作業改善と人間工学

問23 作業の改善に関する次のイ~ニの記述のうち、人間工学的観点からみて適切なもののみの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 時間的な変化量に注意する必要があったので、デジタル表示ではなく、文字盤の上を針が動くアナログ表示の測定器を採用した。

ロ 足でペダル操作を繰り返す必要があったので、座って行えるように椅子を準備した。

ハ 座位姿勢が継続するように、いくつかの座位作業を組み合わせた。

ニ 高さの調節できる共用の作業台が導入できなかったので、やむを得ず背の低い作業者に適した高さのものを選んだ。

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)イ   ニ

(4)ロ   ハ

(5)ハ   ニ

正答(1)

【解説】

イ 適切である。文字盤の上を針が動くアナログ表示は感覚的に時間的な変化量が分かりやすい(※)。一方、正確な数値を読み取る必要がある場合はデジタル表示の方が優れている。

※ 谷島一嘉「最近の車の前面パネルの人間工学的検討」(人間工学 vol.21,No.1,1985年)

ロ 適切である。これは常識で考えるしかない。このようなことを解説している参考書はかなり専門的なものであり、受験者が知識として知っているようなことは多くないと思われる。

片方の足で立って、もう一方の足でペダルを操作する場合、体重を片方の足にかけるより椅子の座面にかける方が足に加わる力を軽減できる。また、椅子に座っている方が、体を不自然にひねるおそれも少なくなる。

ハ 適切ではない。適切ではない。「職場における腰痛予防対策指針」においても「立位、椅座位等において、同一姿勢を長時間取らないようにすること。具体的には、長時間の立位作業では、片足を乗せておくことのできる足台や立位のまま腰部を乗せておくことのできる座面の高い椅子等を利用し、長時間の座位作業では、適宜、立位姿勢を取るように心がける」とされている。

ニ 適切ではない。「職場における腰痛予防対策指針」の「4 作業姿勢、動作」の(4)に「腰をかがめて行う作業を排除するため、適切な高さの作業台等を利用すること」とあることからも分かるように、作業台が低すぎることは好ましくない。「やむを得ず背の低い作業者に適した高さのものを選んだ」ことは不適切である。

なお、本肢は「背の低い作業者に適した高さのものを選」んだことを不適切としているのであろうが、そもそも「高さの調節できる共用の作業台が導入できなかった」という理由で、安易に調整のできないものを選んだということ自体が不適切というべきであろう。

2022年01月11日執筆