労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生一般 問22

安衛法によるラベル及びSDS




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 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問22 難易度 ラベル及びSDSに関する基本的な知識問題である。難問ではあるが確実に正答しておきたい。
ラベル及びSDS

問22 労働安全衛生法で定める化学物質の危険有害性に関するラベル表示や文書(安全データシート)交付制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)危険有害性に関するラベル表示や安全データシートは、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」を踏まえている。

(2)通知対象物質の安全データシートには、国が実施した有害性分類の結果にしたがって、当該物質の有害性区分を記載する。

(3)安全データシートの記載内容は、流出等の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置に関する事項を含む。

(4)安全データシートの記載内容は、適用される法令に関する事項を含む。

(5)ラベル表示には、有害性を表すための標章として、発がん性と呼吸器感作性で同一の絵表示が使用される。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。安衛法令の危険有害性に関するラベル表示や安全データシートの制度は、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」を踏まえている。

そのため、GHSに基づくJIS規格(JIS Z 7252/JIS Z 7253)に準拠して作成されたラベル及びSDSであれば、安衛法の表示およびSDSの規定を遵守したものとなる(※)

※ 平成18年10月20日基安化発第1020001号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行等(化学物質等に係る表示及び文書交付制度の改善関係)に係る留意事項について」参照。なお、この通達に記載されているJIS Z 7251は平成24年にJIS Z7253 に移行している。

(2)誤り。通知対象物質の安全データシートに記載するGHS分類は、事業者の責任において行うものであり、モデルSDSの分類結果を採用するか、他の情報をもとに別の分類を行うかは、事業者が判断することになる(※)

※ 厚労省のサイト「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)」のQ6を参照されたい。

(3)正しい。安衛法第57条の2第1項(第六号)の規定により、安全データシートの記載内容は、流出等の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置に関する事項を含む。

【労働安全衛生法】

(文書の交付等)

第57条の2 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物(以下この条及び次条第一項において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

一~五 (略)

 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置

 (略)

2及び3 (略)

(4)正しい。安衛法第57条の2第1項(第七号)及び安衛則第34条の2の4(第四号)の規定により、安全データシートの記載内容は、適用される法令に関する事項を含む。

【労働安全衛生法】

(文書の交付等)

第57条の2 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物(以下この条及び次条第一項において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

一~六 (略)

 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

2及び3 (略)

【労働安全衛生規則】

第34条の2の4 法第五十七条の二第一項第七号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

一~三 (略)

 適用される法令

 (略)

健康有害性

(5)正しい。ラベル表示には、有害性を表すための標章として、発がん性と呼吸器感作性で同一の「健康有害性」の絵表示が使用される。

なお、この絵表示は、呼吸器感作性、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)(区分1~2)、特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)、吸引性呼吸器有害性で共通に用いられる。

※ 厚労省のサイト「GHSのシンボルと名称」の「危険有害性を表す絵表示」を参照されたい。

2022年01月11日執筆