労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生一般 問20

情報機器作業労働衛生管理ガイドライン




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合格

 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問20 難易度 情報機器作業に関する基本的な内容の知識問題である。類問も多く、正答できなければならない。
情報機器作業

問20 VDT作業による姿勢や動作に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする。

(2)机上で作業する場合、デスクトップ型パソコンよりもノート型パソコンのほうが、姿勢の拘束性が弱い。

(3)遠近両用メガネ使用時は、単焦点メガネ使用時よりも大きな首の上下動を引き起こしやすい。

(4)椅子と大たい部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにする。

(5)椅子は、傾きを調整できる適当な背もたれを有するものを使用する。

正答(2)

【解説】

この問題の出題当時は、平成2002年4月5日の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(以下「VDTガイドライン」という。)(通達)が有効であった。その後、2019年7月12日に「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(以下「情報機器ガイドライン」という。)(通達)が公開されて、VDTガイドラインは廃止されている。

この解説は、情報機器ガイドラインによっている。

(1)適切である。情報機器ガイドラインの5の(2)により、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする。

【情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン】

 作業管理

(2)調整

 作業姿勢

(イ)椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること。また、十分な広さを有し、かつ、すべりにくい足台を必要に応じて備えること。

(2)適切ではない。机上で作業する場合、デスクトップ型パソコンのほうがノート型パソコンよりも、作業姿勢が拘束されにくい。

【情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(解説)】

「4 作業環境管理」について

(2)情報機器等

 情報機器の選択

  (略)

一般に、デスクトップ型は、一定の作業面の広さが必要であるが、キーボードが大きく、自由に移動させることができるため、作業姿勢も拘束されにくく、長時間にわたり作業を行う場合等に適している。

  また、ノート型は、キーボードが小さく、自由に移動させることができないため、作業姿勢も拘束され易いが、作業面の広さは少なくて済むため、作業面の広さが限られている場合等に適している。

  (略)

(3)適切である。情報機器ガイドラインやVDTガイドライン記述はないが、遠近両用メガネ使用時は、単焦点メガネ使用時よりも大きな首の上下動を引き起こしやすい。

※ なお、日本産業衛生学会産業疲労研究会編集委員会編「[新版]産業疲労ハンドブック」(労働基準調査会 1995年 362頁)に、「高齢者がしばしば使用する遠近両用の多重焦点レンズは、高い位置にある表示装置を注視することの多い VDT 作業には適さないことが多い」とされていることを参考までに紹介しておく。

(4)適切である。情報機器ガイドラインの5の(2)により、椅子と大たい部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにする。

【情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン】

 作業管理

(2)調整

 作業姿勢

(ロ)椅子と大腿部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。

(5)適切である。情報機器ガイドラインの4の(2)により、椅子は、傾きを調整できる適当な背もたれを有するものを使用することが望ましい。

【情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン】

 作業環境管理

(2)情報機器等

 椅子

(ニ)適当な背もたれを有していること。また、背もたれは、傾きを調整できることが望ましい。

2022年01月11日執筆