問19 騒音測定に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)現場でデータレコーダを用いて録音する方法をとる場合には、騒音の録音前後に騒音計の校正信号又は音響校正器の信号を記録しておき、かつ、測定中に入カボリュームを動かさないように注意する。
(2)騒音測定における単位作業場所は、常時作業するために人が立ち入る場所で、おおむね
(3)騒音測定における単位作業場所は、過去の騒音レベルの測定データを活用する、又は耳で聞きながら騒音の状況を調べる等により決定する。
(4)騒音計に使用するマイクロホンは、圧力型で指向性マイクロホンとされており、エレクトレットコンデンサ型マイクロホンが多用されている。
(5)騒音測定は、作業が定常的に行われている時間帯に、1測定点について10分間以上継続して行う。
※ 本問出題後に、JISが改正されるなど、状況が異なっているが、あえて元の文章のままとしている。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問19 | 難易度 | 一般に知られていない通達等の内容等を問う問題。作業環境測定士以外の受験者は捨て問としてよい。 |
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騒音の作業環境測定 | 5 |
問19 騒音測定に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)現場でデータレコーダを用いて録音する方法をとる場合には、騒音の録音前後に騒音計の校正信号又は音響校正器の信号を記録しておき、かつ、測定中に入カボリュームを動かさないように注意する。
(2)騒音測定における単位作業場所は、常時作業するために人が立ち入る場所で、おおむね
(3)騒音測定における単位作業場所は、過去の騒音レベルの測定データを活用する、又は耳で聞きながら騒音の状況を調べる等により決定する。
(4)騒音計に使用するマイクロホンは、圧力型で指向性マイクロホンとされており、エレクトレットコンデンサ型マイクロホンが多用されている。
(5)騒音測定は、作業が定常的に行われている時間帯に、1測定点について10分間以上継続して行う。
※ 本問出題後に、JISが改正されるなど、状況が異なっているが、あえて元の文章のままとしている。
正答(4)
【解説】
(1)やや内容が古いが、正しいとしておく。騒音計は測定の前に校正をする必要がある。騒音計のうち、2015年(平成27年)10月31日以前に型式承認を受けたものは内部校正信号により、同年11月1日以降に型式承認を受けたものは取扱説明書に記載されている音響校正器(キャリブレータ)の信号により、レベル指示値を調整(※)して、騒音計が正確な値を示すように校正する必要がある。
※ 本問出題後に改正されたJIS C 1509-1:2017は、JIS C 1515:2020 に適合した音響校正器を使用した調整しか認めていないことに留意すること。
そして、かなり古い機種のデータレコーダ(レベルレコーダ)を用いて録音する方法をとる場合は、騒音の録音前後に騒音計の校正信号又は音響校正器の信号を記録(※)しておく必要がある。この場合は、測定中に入カボリュームを動かしてはならない。
※ 最近の騒音計では、音響校正器の信号を記録するまでもなく、付属の調整用ドライバーで騒音計の校正用ゲイン調整ボリューム(CAL)を調整することにより、指示値をその場で校正することが可能である。
(2)正しい。騒音の作業環境測定における単位作業場所は、常時作業するために人が立ち入る場所で、「単位作業場の設定に当たっては、おおむね80デシベル以上の区域に限定しても差し支えない」(※)とされている。
※ 平成4年10月1日基発第545号「作業環境測定基準の一部改正について」による(この通達はWEB上に公開されていない。厚労省や中災防のサイトには、特定の機関=作業環境測定機関など=にのみ必要な通達はWEBでは公開しないのである。)
(3)正しい。騒音測定における単位作業場所は、過去の騒音レベルの測定データを活用する、又は耳で聞きながら騒音の状況を調べる等により決定する。なお、作業者の移動範囲を考慮する必要はあろう。
(4)誤り。騒音計に使用するマイクロホンは、圧力型で無指向性(全指向性)(※)のものであり、指向性マイクロホンは用いられない。なお、エレクトレットコンデンサ型マイクロホンは、広い周波数帯域に渡ってフラットな周波数特性を持ち、安定性がきわめて高く、小型軽量化できるため、多用されていることは正しい。
※ マイクには、圧力型、音圧傾度型、波動型などがあり、圧力型は全指向性、音圧傾度型は両指向性、波動型は指向性と分類できる。圧力型で指向性のマイクというものは存在していない。
(5)正しい。作業環境測定基準第4条第五号により、騒音測定は1測定点について10分間以上継続して行う。また、騒音測定に限らず、作業環境測定のA測定は、作業が定常的に行われている時間帯に行うべきことは当然である。なお、騒音が「定常騒音」で、そのレベルが一定であれば、騒音計の指示値あるいはレベルレコーダの記録値がそのまま等価騒音レベルになる。
【作業環境測定基準】
(騒音の測定)
第4条 令第二十一条第三号の屋内作業場(労働安全衛生規則第五百八十八条各号に掲げる屋内作業場に限る。)における等価騒音レベルの測定は、次に定めるところによらなければならない。
一~四 (略)
五 一の測定点における等価騒音レベルの測定時間は、十分間以上の継続した時間とすること。