問17 作業環境測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)管理区分の決定に際しては、測定対象物の濃度が定量下限の値に満たない測定点がある単位作業場所では、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなす。
(2)測定値が管理濃度の10分の1に満たない測定点がある単位作業場所では、管理濃度の
(3)A測定及びB測定を実施した場合において、第1評価値が管理濃度を超え、B測定値が管理濃度未満のときは、第1管理区分となる。
(4)第1管理区分とは、当該単位作業場所のほとんど(95%以上)の場所で気中有害物質の濃度が管理濃度を超えない状態であり、作業環境管理が適切であると判断される状態をいう。
(5)第2管理区分とは、当該単位作業場所の気中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えない状態であるが、第1管理区分に比べ、作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態をいう。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問17 | 難易度 | 作業環境測定の結果の評価に関するごく初歩的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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作業環境測定結果の評価 | 1 |
問17 作業環境測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)管理区分の決定に際しては、測定対象物の濃度が定量下限の値に満たない測定点がある単位作業場所では、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなす。
(2)測定値が管理濃度の10分の1に満たない測定点がある単位作業場所では、管理濃度の
(3)A測定及びB測定を実施した場合において、第1評価値が管理濃度を超え、B測定値が管理濃度未満のときは、第1管理区分となる。
(4)第1管理区分とは、当該単位作業場所のほとんど(95%以上)の場所で気中有害物質の濃度が管理濃度を超えない状態であり、作業環境管理が適切であると判断される状態をいう。
(5)第2管理区分とは、当該単位作業場所の気中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えない状態であるが、第1管理区分に比べ、作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態をいう。
正答(3)
【解説】
本問は一部の肢を除き、「作業環境評価基準」(昭和63年9月1日労働省告示第79号:最終改正令和2年4月22日厚生労働省告示第192号)(以下「評価基準」という。)からの出題である。
なお、正答である(3)は過去問で繰り返し同じ問題が出ている。こんな問題を落としてはならない。
(1)正しい。評価基準第2条第2項により、管理区分の決定に際しては、測定対象物の濃度が定量下限の値に満たない測定点がある単位作業場所では、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなす。
【作業環境評価基準】
(測定結果の評価)
第2条 (第1項 略)
2 測定対象物の濃度が当該測定で採用した試料採取方法及び分析方法によって求められる定量下限の値に満たない測定点がある単位作業場所にあっては、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなして、前項の区分を行うものとする。
3及び4 (略)
(2)正しい。評価基準第2条第3項により、測定値が管理濃度の10分の1に満たない測定点がある単位作業場所では、管理濃度の10分の1を当該測定点における測定値とみなして、管理区分を決定することができる。
【作業環境評価基準】
(測定結果の評価)
第2条 (第1項及び第2項 略)
3 測定値が管理濃度の十分の一に満たない測定点がある単位作業場所にあっては、管理濃度の十分の一を当該測定点における測定値とみなして、第一項の区分を行うことができる。
4 (略)
(3)誤り。作業環境測定の結果は、評価基準第2条第1項により、次のように定めることとされている。ここで、A測定及びB測定を実施した場合において、A測定による評価とB測定による評価が異なる場合は、悪い方を採用する。
従って、A測定及びB測定を実施した場合において、第1評価値が管理濃度を超えていれば、B測定値の結果にかかわらず第1管理区分となることはない。
【A測定】
管理区分 | 評価値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果 |
---|---|
第一管理区分 | 第一評価値が管理濃度に満たない場合 |
第二管理区分 | 第一評価値が管理濃度以上であり、かつ、第二評価値が管理濃度以下である場合 |
第三管理区分 | 第二評価値が管理濃度を超える場合 |
【B測定】
管理区分 | 評価値又はB測定の測定値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果 |
---|---|
第一管理区分 | 第一評価値及びB測定の測定値(二以上の測定点においてB測定を実施した場合には、そのうちの最大値。以下同じ。)が管理濃度に満たない場合 |
第二管理区分 | 第二評価値が管理濃度以下であり、かつ、B測定の測定値が管理濃度の一・五倍以下である場合(第一管理区分に該当する場合を除く。) |
第三管理区分 | 第二評価値が管理濃度を超える場合又はB測定の測定値が管理濃度の一・五倍を超える場合 |
【総合判定】
A測定 | X<A2 | ①第3管理区分 | ④第3管理区分 | ⑦第3管理区分 |
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A2≦X≦A1 | ②第2管理区分 | ⑤第2管理区分 | ⑧第3管理区分 | |
A1<X | ③第1管理区分 | ⑥第2管理区分 | ⑨第3管理区分 | |
A1:第1評価値、A2第2評価値 B:B測定結果、X:管理濃度 |
B<X | X≦B≦1.5X | 1.5X<B | |
B測定 |
(4)正しい。昭和63年9月16日基発第605号「作業環境評価基準の適用について」の「第二 細部関係の」の一の(一)に「『第一管理区分』とは、当該単位作業場所のほとんど(九五%以上)の場所で気中有害物質の濃度が管理濃度を超えない状態であり、作業環境管理が適切であると判断される状態をいうものであること
」とされている。
要は、「第一評価値」とは、単位作業場所において考え得るすべての測定点の作業時間における気中有害物質の濃度の実現値のうち、高濃度側から5%に相当する濃度の推定値なのである。
(5)正しい。(4)で示した通達の「第二 細部関係の」の一の(二)に「『第二管理区分』とは、当該単位作業場所の気中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えない状態であるが、第一管理区分に比べ、作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態をいうものであること
」とされている。
「第二評価値」とは、単位作業場所における気中有害物質の算術平均濃度の推定値なのである。