問11 虚血性心疾患の発生に最も寄与の低いものは、次のうちどれか。
(1)喫煙習慣
(2)高血圧
(3)耐糖能異常
(4)飲酒習慣
(5)肥満
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問11 | 難易度 | やや些末なレベルの知識問題というべきか。医師や保健師にとっても難問だったのではないだろうか。 |
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虚血性心疾患 | 5 |
問11 虚血性心疾患の発生に最も寄与の低いものは、次のうちどれか。
(1)喫煙習慣
(2)高血圧
(3)耐糖能異常
(4)飲酒習慣
(5)肥満
正答(4)
【解説】
虚血とは、血管の狭窄や閉塞により、血流が不足することである。虚血性心疾患の具体的な疾患には、狭心症や心筋梗塞がある。
本問のすべての肢が危険因子となり得るが、問題はそのレベルである。これについて、「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン」の文献調査(※)の「表1 コホート研究における虚血性心疾患の危険因子」を参照してみよう。
※ 「血圧値、喫煙、血清総コレステロールの3大危険因子は、年齢とともに共通の要因として取り上げられている。一方、耐糖能異常、肥満、飲酒(予防的)はハワイ日系人および米国人では有意な危険因子となるが、我が国では必ずしも共通の因子とはなっていない
」とされている。
これによると、「喫煙」と「血圧」はすべての文献の研究が「正の有意な危険因子」としている。(3)の耐糖能異常は、「正の有意な危険因子」とするものが8研究(※)、「有意でない」とするものが4研究である。(4)の飲酒は「負の有意な危険因子」が4研究、「有意でない」が3研究である。(5)の肥満は「正の有意な危険因子」とするものが6研究、「有意でない」とするものが3研究である。
※ 男女に分けた研究については、それぞれを別個の研究として数えた。
このようにみると、(4)の飲酒が最も寄与度が低いと考えられる。ただし、過度の飲酒習慣が危険因子となることはもちろんであり、飲酒によって虚血性心疾患のリスクが減じるなどとは考えるべきではない。
なお、虚血性心疾患の危険因子には、この他、加齢、冠動脈疾患の家族歴、脂質異常症、高血圧、糖尿病、飽和脂肪酸の過剰摂取、塩分の過剰摂取、運動不足、ストレスなどが挙げられる。