問7 騒音に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)音の大きさは振幅によって決まり、音の高低は周波数によって決まる。
(2)等価騒音レベルは、変動騒音に対する人間の生理・心理的反応とよく対応する。
(3)騒音による聴力低下は会話音域から始まり、高音域に及ぶ。
(4)健康診断結果の評価では、聴カレベルが高音域で50dB以上、かつ会話音域で40dB以上の場合は要管理者と区分される。
(5)騒音発生源対策としてラギング、制振材の装着がある。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問07 | 難易度 | 騒音に関する基本的な知識問題。同種問題が繰り返し問われている。正答できなければならない。 |
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騒音対策 | 1 |
問7 騒音に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)音の大きさは振幅によって決まり、音の高低は周波数によって決まる。
(2)等価騒音レベルは、変動騒音に対する人間の生理・心理的反応とよく対応する。
(3)騒音による聴力低下は会話音域から始まり、高音域に及ぶ。
(4)健康診断結果の評価では、聴カレベルが高音域で50dB以上、かつ会話音域で40dB以上の場合は要管理者と区分される。
(5)騒音発生源対策としてラギング、制振材の装着がある。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。音の大きさは振幅によって決まり、音の高低は周波数によって決まる。
(2)正しい。等価騒音レベルとは、ある時間範囲 T について、変動する騒音レベルをエネルギー的な平均値として表したものである。時間的に変動する騒音のある時間範囲 T における等価騒音レベルはその騒音の時間範囲 T における平均二乗音圧と等しい平均二乗音圧をもつ定常音の騒音レベルに相当する。単位はデシベル(dB)で表す。
人が騒音から受ける影響の程度は騒音のエネルギー量に比例するといわれている。等価騒音レベルはエネルギー的な平均値であるから、騒音に対する人の反応とよく対応する(※)。睡眠影響やアノイアンス(人に感じられる感覚的なうるささ)との対応にも優れているとされている。
※ 詳しくは、公害等調整委員会事務局編集「騒音に関わる苦情とその解決方法」の第3回 加来治郎「音響の基礎:騒音の影響と評価・規制方法」の4の「(2)等価騒音レベル」(p29)などを参照されたい。
(3)誤り。日常会話の音域の周波数は、ほぼ500Hz~2,000Hzである。一方、騒音による聴力低下は4,000Hz付近から始まり、騒音性難聴が進むと2,000~8,000 Hzの高音域に広がってゆく。
このため、騒音性難聴の初期には、日常会話の聞き取りにあまり影響がないので、本人が気付かないということも多い。
(4)正しい。聴力レベルに基づく管理区分によれば、健康診断結果の評価では、聴カレベルが高音域で50dB以上、かつ会話音域で40dB以上の場合は要管理者と区分されている。
※ 令和5年4月20日基発0420第2号「騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について」による「騒音障害防止のためのガイドライン」の「騒音障害防止のためのガイドラインの解説」の表2参照。
なお、出題当時は「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について」(平成4年10月1日基発第546号)(※)が有効であった。その「騒音障害防止のためのガイドラインの解説」表2にもほぼ同様な記述がある。その後、2021年度に「騒音障害防止のためのガイドライン見直し検討会」が開催され、2022年3月22日に「騒音障害防止のためのガイドライン見直し方針」が作成されて本文の通達により改訂されているが、結論は変わらない。
(5)正しい。騒音発生源対策としてラギング、制振材の装着がある。
厚生労働省の、「騒音障害防止のためのガイドライン」(「騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について」(令和5年4月20日基発0420第2号))の「騒音障害防止のためのガイドラインの解説」の「表1 代表的な騒音対策の方法」参照。
※ なお、出題当時は「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について」(平成4年10月1日基発第546号)(※)が有効であった。その「騒音障害防止のためのガイドラインの解説」表1にもほぼ同様な記述がある。