※ イメージ図(©photoAC)
WEBサイトのアクセス分析には、Googleアナリティクスを使用することが一般的だと思います。しかし、各レンタルサーバー提供企業も、通常はアクセス解析ツールを提供しています。
エックスサーバーは Webalizer を独自に改良したツールを提供しており、Googleアクセスにはない機能も数多く有しています。また、測定結果もWebalizer とは異なっており、ボットのアクセスは含んでいないようです。
本稿ではエックスサーバーのアクセス解析の使用方法を、当サイトの分析結果を例に挙げて解説します。
- 1.エックスサーバーのアクセス解析ツールとは
- (1)Googleアナリティクスとレンタルサーバーのアクセス解析ツール
- (2)エックスサーバー解析ツール
- 2.エックスサーバー解析ツールによる分析
- (1)訪問数
- (2)各月ごとの基本画面
- (3)時間別・曜日別
- (4)IP アドレス別
- (5)滞在時間別
- (6)エラーコードその他
- 3.最後に
1.エックスサーバーのアクセス解析ツールとは
執筆日時:
(1)Googleアナリティクスとレンタルサーバーのアクセス解析ツール
※ イメージ図(©photoAC)
WEB サイトを運営する場合、どの程度のアクセスがあるのかを分析することが必要になろう。そして、アクセス分析には、一般に用いられる標準的な手法で行わなければならない。自サイトのアクセス数が多いのか少ないのかを知るには、他と比較しなければならず、そのためには、分析の手法が同じでなければならないからだ。
そして、最も標準的(一般的)なアクセス分析のツールが、Google アナリティクスであることは言うまでもない。しかし、その他にもレンタルサーバー各社が様々なアクセス解析ツールを提供しており、これらも様ざまな役に立つのである。
Google とサーバーの運用会社は異なるので、Google アナリティクスは、サーバへのアクセス情報を直接入手することはできない。そこで、ユーザーがブラウザでサイトを閲覧したときに、ブラウザと Google アナリティクスとの間で cookie の送受信を行うことによってアクセスの解析を行うようにしている(※)。これを「Webビーコン型」又は「タグ型」と呼び、WEB サイトには、そのための小さなプログラム(スクリプト)を組み込む必要がある。
※ このシステムでは、ボットによるアクセスを除外することができるし、サイトの管理者によるアクセスを除外することも可能となる。
これに対して、各レンタルサーバーは、WEB サイトが置いてあるサーバーへのアクセスを直接知ることができる。そのため、サーバへのアクセスの解析は、直接、サーバーのログを分析する。これを「サーバーログ型」と呼び、ログの分析という意味では正確なものになるが、一般に、ボットによるアクセスデータも計測してしまうので、サーバーへの負荷を知るには適しているが、人によるアクセス数だけを知るのが困難になる。
多くのレンタルサーバー会社は Webalizer というツールを用いており、これによって解析したアクセス数は、Googleアナリティクスによるものに比して、10 倍程度、多くなることが知られている。
(2)エックスサーバー解析ツール
エックスサーバーも、アクセス解析のツールは、基本的に Webalizer を用いているが、エックスサーバで独自に改良したものを用いており、アクセス数はほぼ Google アナリティクスの結果に一致する。当サイトの2023年1年間(※1)のエックスサーバーによるページ閲覧数(※2)は次図のようになっており、1年間の合計で5,284,185 PV である。
※1 当サイトは 2023 年1月7日にさくらのレンタルサーバーからエックスサーバーに移行した。そのため、それ以前のアクセス数は含まれていない。
※2 ページ閲覧数は、Webalizer の Pages を利用しているものと思われる。なお、Webalizer の分析項目には、Hits、Files、Pages、Visits、Sites 及び KBytes がある。これらの簡単な説明は本コンテンツの末尾の表「Webalizerの各項目の意味」にまとめてあるが、Pages はページ(HTMLファイル、CGIファイル)の閲覧数を表している。
同一 IP の場合であっても、表示された回数をカウントするので、ブラウザの戻るのボタンで前にみていたページに戻れば、そのページはダブルカウントされてしまう。
一方、Googleアナリティクス(※)による2023年1年間のページビュー数は、5,527,617 PVとなっている。
※ Googleアナリティクスによる解析結果の詳細は当サイトの「Googleアナリティクスの使用方法」を参照して頂きたい。
筆者は、以前、さくらのレンタルサーバーを使用していたが、同社のアクセス解析は Webalizer をそのまま使用していた。同社によるWebalizer のPV 数は Google アドセンスの解析数の 10 倍程度になっていた(※)。エックスサーバーの PV 数が、Google アナリティクスとほぼ同様な(やや少ない)数値が出るということは、エックスサーバーでもボットによる閲覧を除いているとしか思えないのである。
※ Webalizer は、先述したように、本来はボットによるアクセス数をカウントするものである。このため、Googleアナリティスクの 10 倍程度となるのである。
なお、次項で示す訪問数(Visits)に比して、PV 数が多ければ、閲覧者がサイト内をあちこち移動したことを示しているので、一応はサイトに関心を持たれたものと考えてよい。ただし、必要なコンテンツがどこにあるのか分かりにくいサイトでもページ閲覧数(Pages)は増えるので、必ずしもこの数値が増えることはよいことばかりではない。
2.エックスサーバー解析ツールによる分析
(1)訪問数
次に「訪問数」を調べてみよう。これは、Webalizer の Visits を用いているものと思われる。Visits の本来の定義は PV から 30 分以内の同一 IP アドレスやリモートホストからのアクセスを除いたものである(※)が、エックスサーバーでは 30 分ではなく 60 分としている。Googleアナリティクスでは、セッション数に近いだろうか。
※ 要するに、Visits の考え方は、1人のユーザーが 30 分以内に複数のページを閲覧しても、これを1回の訪問として数えるということである。これは、エックスサーバーの訪問数では 60 分となっているので、Visits よりもやや少なめになる。
エックスサーバー解析ツールによる当サイトへの 2023 年の訪問数は、1,577,809 回である。なお、Google アナリティスクのセッション数は、1,197,865 回となっている。
エックスサーバーと Google のどちらが正しいのかという議論には、ほとんど意味はない。双方の訪問数とセッション数は、異なる方法で算定しているので、それを前提に考えるしかない。なお、ボットによるアクセスをどのように除いているかも重要な要素であるが、両社ともボットによるアクセスをどのように除いているのかについては公表していない(※)。
※ 厳密には、エックスサーバー社は、ボットによる訪問を除いているかどうかさえ公表していない。Webalizer を独自に改良したとしか説明していないのである。
なお、上図の測定値に「ヒット数」というのがあるが、これはあまり意味のない数値である。おそらく Webalizer の Hits のことだと思われるが、Hits とは、表示された各ページの各要素へのアクセス数の合計である。例えば、サイト内のあるページに空白の小さな図を100個表示しておくと、そのページが閲覧されれば、ヒット数は100だけ増えることになる。また、Hitsには、Not Foundと表示されたものや閲覧者側のキャッシュへのアクセス数も含んでいる。
また、転送量とあるのは、Webalizer の KBytes に当たる概念である。KBytes は、読んで字のごとく、サイトから閲覧者へのデータ転送量を kByte 単位で表したものである。ただし、エックスサーバーでは単位は柔軟に切り替わるようだ。
(2)各月ごとの基本画面
各月ごとの基本画面は次図のようになっている。これは 2023 年 12 月のグラフである。各日ごとのページビュー数のグラフの他、訪問者数、訪問回数など1月間の各種の情報が示される。
ここで、訪問者数とあるのは、Webalizer の Sites を用いているのであろう。訪問したIPアドレスやリモートホストアクセス数のうち、過去1年間の同一のIPアドレスやリモートホストアクセスを除いたものである。実質的に、新規にサイトを訪問してきた数と考えることができる。
(3)時間別・曜日別
Google アナリティクスの UA では、曜日別・時間別のアクセス分析が簡単にできたのだが、GA4 では時間帯の分析は設定により可能だが、曜日別の分析はできなくなっている。
エックスサーバーでは、これが簡単にできるのである。次図は、時間別に見た当サイトのアクセス状況である。さすがに1時~5時は低迷しているが、6時以降に急増している。そして 11 時まで上昇し、12 時にはいったん低下するものの、15 時まで増加している。その後、低下し 17 時以降は、一定の閲覧がある。
ここから分かることは、当サイトはビジネスにおいて使用されていることが多いということである。また、17 時以降も一定の閲覧数があるが、プライベートでも使用されているということであろう。
また、曜日別にみると次図のようになる。土曜・日曜は低下するものの、ウイークディとそれほど変わらない閲覧数がある。
通常、ビジネス向けのサイトは平日の9時~17時にアクセスが集中し、個人向けのサイトは週末や平日のアフターファイブに集中する傾向がある。当サイトは、内容はビジネス向けだが、コンサルタント試験など国家試験の支援を行っているので、個人によるニーズもあるので、平準化されれのであろう。
(4)IP アドレス別
また、Google アナリティクスでは絶対にできない(※)ものに、IP アドレス別の分析がある。通常の分析で、役に立つものではないが、外部からの攻撃を受けた場合の分析に使うことはできる。
※ 技術的にできないわけではないが、個人情報保護の観点から IP アドレス別の分析を Google が行うことはあり得ない。
当サイトの 2023 年 12 月の分析結果は次図のようになる。なお、IP アドレスの部分はぼかしを入れて読めないようにしてある。
ここで、上位の閲覧者がどの程度の割合を占めているかが分かる。トップの3位で、全体の 6.3 %を占めるのである(※)。なお、私(柳川)のIPアドレスは6位になっている。
※ さすがに上位の3位は、あまりにもページ閲覧数が多すぎる。ボットの可能性が高い。
(5)滞在時間別
また、訪問回数がいくら多くても、すぐに閲覧を止めてサイトから出て行ってしまうようでは、サイトとして意味がない。そこで、各訪問がどの程度の時間になるかを調べたのが次図である。
0秒~3 0 秒の訪問が 75 %程度を占めているが、実は、これはほとんどの WEB サイトで同程度以上となっているのが実態である。
(6)エラーコードその他
また、サイト運営を行う上で重要なものに、エラーコード別アクセス数がある。Googleアナリティクスや Search Console でも一部のエラーを確認できないわけではないが、エックスサーバーの方が簡単に分析できる。
次図で 301 エラーが出ているが、これはあまり気にする必要ない。例えば、当サイトのURL は https で始まるが、これを http で読みに来たときに、恒久的に https に変更(リダイレクト)して表示するように設定されている。これは、そのようにリダイレクトされた回数である。
これに対し、400 番台のエラーは実際にエラーとなってブラウザ上に表示される。404 は、存在しない URL へアクセスされた場合に起きる。リンク元のリンクが誤っていたり、URL の入力ミスなどで起こり得る。
403 はサーバー側でアクセスを拒否されたアクセスのときに表示される。当サイトでは、2023 年 12 月時点でアクセスを拒否している IP アドレスはないので、おそらく会員サイトに、誤ったパスワードを入力したものであろう。
これらのエラーもあまりに多くなるようなら、なんらかの対策を取る必要がある。
また、Webalizer には、Files という概念がある。あまり意味のある数値ではないと考えられたのか、エックスサーバーでは採用されていない。この簡単な説明は本コンテンツの末尾の表「Webalizerの各項目の意味」に示してある。
3.最後に
※ イメージ図(©photoAC)
WEB サイトを運営していくのであれば、アクセス解析は必須であろう。多くの方は、Googleアナリティクスで解析を行っていると思われるが、サーバー側の解析もやはり重要となる。
とりわけ、エラー解析などは、サーバーログによる解析が望ましいと言える。エックスサーバーの解析の難点は、アクセス数が多いサイトでは時間がかかるようになることである。Googleアナリティクスによる解析を中心にして、補助的に1月に1回程度はレンタルサーバーのアクセス解析を行ってみることをお勧めする。
項目 | 意味 | エックスサーバーにおける指標 |
---|---|---|
Hits |
【サイト内のすべてのファイルに対するアクセス数】
|
ヒット数 |
Files |
【サイト内のすべてのファイルに対する有効なアクセス数】
|
|
Pages |
【サイト内のページ(URL)へのアクセス数】
|
ページビュー数 |
Visits |
【実際の閲覧者の延べ人数】
|
訪問回数 |
Sites |
【IPアドレスやリモートホストアクセス数】
|
訪問者数 |
KBytes |
【データ転送量】
|
転送量 |
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