※ イメージ図(©photoAC)
無償の情報提供を行っているWEBサイトの主な収益方法には、アフリエイトとGoogle社の運営するアドセンスなどがあります。
アフリエイトは基本的に商品の宣伝・販売を行うもので、純粋に読者のための情報提供とはいいがたい面があります。一方、Googleアドセンスは、広告の出稿をしたい企業と、広告を載せるWEBサイトの運営者の橋渡しをGoogle社が行うものです。どのような広告が載るかをWEBサイト運営者側が選ぶことはできません。
そのため、サイト運営者は特定の企業の意向を受けた記事を書く必要はないのですが、その一方で好ましくない広告が載り、場合によっては閲覧者が不快感を受けるおそれもあります。
Googleアドセンスでは、特定の広告や広告主をブロックして広告が載らないようにすることができます。本稿では、どのような広告をブロックするべきかの考え方をお示ししています。
- 1.Googleアドセンスを利用させて頂くこととした
- (1)Googleアドセンス合格後の広告の表示
- (2)審査合格後の初期に表示される広告
- 2.どのような広告をブロックするか
- (1)ブロックする基準
- (2)具体的なブロックの対象
- (3)ジャンル別のブロック
- 3.最後に
1.Googleアドセンスを利用させて頂くこととした
執筆日時:
最終改訂:
(1)Googleアドセンス合格後の広告の表示
ア Googleアドセンスの審査請求と広告の表示
※ イメージ図(©photoAC)
Googleアドセンスは、Google社が募集した広告をWEBサイトに配信して、クリックされると広告主から広告料を徴収し、手数料等を差し引いて、WEBサイトの運営者に支払うシステムである(※)。
※ 2024年1月までGoogleは広告がクリックされると課金する方式(クリック単価広告 CPC)をメインにしていたが、同年2月以降は広告が表示されると課金するシステム(インプレッション単価 CPM)に改めた。従って、WEBサイト管理者はクリックされることを意識する必要がなくなり、よりよいコンテンツの作成に注力できることとなる。
このサイトも開設から最近まで広告なしで運営していたのだが、諸般の事情から広告を掲載させていただくこととした。もちろん、広告が表示されるだけで、これまで通り無償で本サイトを利用することができる。
Googleアドセンスは、サイト運営者が Google 社に申請して、審査に合格しなければ利用はできない。そこで、当サイトでも1週間で平均すると1日当たり1万ページ以上が閲覧される(※)ようになったことから、審査請求を行ってみたのである。
※ 2022年5月の中頃からGoogleアナリティクスによるアクセス解析の結果、平均して1日に1万PV(ページビュー)を超えるようになっている。詳しくは、本サイトの「Googleアナリティクスの活用法」を参照して頂きたい。
イ 審査請求した日のうちに広告が掲載された
審査の請求には、広告の自動配信に必要なスペースを自分のサイトに確保する必要がある(※)。そして、審査に合格すると、Google 社はそのサイトに広告を自動的に配信する。そのため、サイト運営者は広告が配信されるのを見て合格したことに気づくことがある。もちろん、別途、メールも来るのだが、私はこのサイトに広告が表示されているのを見て合格したことを知った。
※ この広告スペース確保のためには、サイトのすべてのページに2行のタグを書き込む。これは、Google の自動広告機能を利用する気がなければ、審査合格後に削除してしまってかまわない。私は、少なくとも審査合格後の数か月は自動広告で様子を見ようと思ったので、そのまま残している。なお、スクリプトを残したままでも自動広告の機能をオフにすれば自動広告は掲載されないが、サイトの表示速度が遅くなる可能性がある。
審査の請求から合否の判定までの期間は、ネットや書籍などの情報によれば、数週間かかるのが普通だとされている。私のサイトは、審査請求の段階で数千ページのサイトになっていたので、合否判定までかなりの期間が必要だろうと思っていた。また、最近は審査が厳しくなっているとのことなので、不合格になる可能性もあると覚悟していた。
ところが、実際には、朝の6時頃に審査請求を(ダメモトで)出したところ、昼には広告が表示されていた。後でメールを確認してみたところ、11時には承認されていたので5時間で承認されたことになる。
ウ 自動広告を用いるならデザインの手直しが必要となるケースも
正直なところ、まさか審査請求した日に合格するとは思ってもいなかったので、少し慌てた。しかも、広告がないことを前提としてcssを設定していたので、ページのトップへ戻るボタンや、モーダルウインドウなどが広告の後ろに隠れたりしていた(※)のである。
※ これは、広告を載せる場所をGoogleの自動広告にまかせる場合に問題となることで、自動広告の機能をオフにして、自分で広告を設定するのであれば問題は起きないようにできる。当サイトでは、いくつか css の軽微な修正が必要になったが、致命的なものではなかった。
なお、当サイトでサイドメニューに広告が掲載されたときもデザインが乱れるようだ。これも早急に原因を解明して修正する必要がある。
(2)審査合格後の初期に表示される広告
ア 審査合格後の数日間に掲載される広告の種類
閑話休題、最初に広告を見たときに慌てた最大の理由は、表示された広告の内容が問題だと感じたことである。
どうも、私の感触では、一般の企業の広告は、審査合格直後のサイトには載らないようである。普通の企業は、事前にサイトの検証を行う必要があるからか、数日から数週間を経ないと広告を載せないような印象を受けた。企業としても、どのような内容のサイトかも分からないところへ、いきなり自社の広告を載せることはリスクがあるから当然のことだろう。
審査合格後の数日間に限って言えば、掲載された広告の多くは、マンガやゲームなど企業イメージを気にしそうにないところが多かった。通常の BtoB 企業はもちろんのこと、BtoC 企業でも一般の企業の広告は数日間は掲載されず、ECサイトやアフリエイトでさえあまり載っていなかった。
イ 好ましくない広告が掲載されるデメリット
※ イメージ図(©photoAC)
もちろん、マンガやゲームだから問題だというわけではない。普通の雑誌に掲載されているようなものであれば問題はない。しかし、ネット広告のマンガは、ほとんどがあまり好ましいとは思えない内容のものなのである。
広告を出稿して頂いたことはありがたいし感謝もする。しかし、このような広告が掲載されていたのでは、閲覧者の方が不快な思いをされるだろう。また、一般の企業の担当者の方が広告を出稿することを躊躇されるかもしれない。
そこで、私の感覚で好ましくないと思える広告は謝絶することとした。言葉を換えればブロックすることにしたのである。
2.どのような広告をブロックするか
(1)ブロックする基準
まず、ブロックする基準については以下の通りとすることとした。
【ブロックする広告の基準】
- Googleのアドセンスプログラムポリシーに反している
- 食事をとっているときに見たくないような画像が用いられている
- 職場で見ているときに後ろから上司に覗かれると困るおそれがある
- 広告を利用する方に損害を及ぼすリスクがある
- 一般の企業が広告を出すとき、自社の広告の隣にあって欲しくないと感じる
Google のアドセンスプログラムポリシー以外は、かなり抽象的な基準だが、あくまでも私が閲覧者だったり、広告を出そうとしている企業の担当者だったりしたときにどう感じるかで決めることとした。
自分が見たくない画像や、人前で見ることが憚られるような内容の広告はブロックするということである。
なお、あまり広告をブロックすると、出稿される他の広告の単価が下がるという指摘もあるが、そこは閲覧者ファーストの原則を堅持することとした。せっかく訪問して頂いた方に不快な思いをして頂きたくはないからだ。
(2)具体的なブロックの対象
ア 具体的なブロックの基準
※ イメージ図(©photoAC)
具体的なブロックの対象は次の通りである。なお、出稿される広告の種類は膨大なので、個別に広告をブロックすることは事実上不可能である。ひとつでもブロックすべき広告を見つけたときは、その広告を出しているアカウントをすべてブロックせざるを得ない。
これは、優良な広告をブロックしてしまうおそれもあるが、そのアカウントが同種の広告を出稿する恐れがある以上、やむを得ない措置だと思う。
【具体的なブロックの対象】
- 性的な内容のマンガ及びゲーム(いわゆる「萌え」系を含む)の広告
- 疾患・患部の画像、皮膚・体系の醜状を強調した画像、人体のレントゲン写真・解剖図などを用いた広告
- 医療機関・製薬会社ではない団体等による医療的な内容の広告
- 極端に高率の配当を確約するような表現を用いた投資系の広告
- 出会い系のサイト、及び、アフリエイトサイト
- 似非科学、フェイク等の信頼性の低い内容を発信する団体等の広告
- ヘイトクライム、レイシズム(排外主義)、歴史修正主義、ファシズム、軍国主義、シオニズム、テロリズム、侵略戦争、反社会的なカルト等について肯定的な発信をする団体等の広告
イ 好ましくない内容のマンガ
審査合格した日から数日間に出稿された性的なマンガの広告は、画像が気味の悪いものが多く(※)、審査に合格した日から数日は、真っ先にブロックした。正直、あまり見たくない広告がほとんどだった。
※ 朝日新聞2019年10月10日記事「「エログロ」漫画広告、野放しの謎 露骨で不快…対策は」など参照。
なお、私はマンガそのものを否定するものではない。ただ、内容的に問題のあるものがあり、そのような内容のものを出稿している以上、その企業のものはすべてブロックせざるを得ないということなのである。
一例だが、自分のサイトを確認しているとき、気味の悪い怪談のマンガが表示されたことがある。ゾッとしてすぐにブロックしようとしたのだが、Googleアドセンスの広告ブロック機能で探しても見つけることができなかった。自己クリックするわけにもいかないので、他のサイトなどで1時間近く調査した結果、小学館のマンガワンというサイトだと分かったので、やむを得ずサイト全体をブロックしたことがある。
これは、Googleアドセンスの「ブロックのコントロール」の「広告レビューセンター」で「マンガ」で検索し、ヒットしたものをブロックした。一応、内容は確認したが残すべきと感じるものはなかった。
ウ 好ましくない内容のゲーム
※ イメージ図(©photoAC)
ゲームには、気味が悪い画像のものは多くはないが、内容的に女性を性の対象としかみていないものや、女性の体の一部を強調した絵柄のものはすべてブロックした。
どうみてもセクシズム、ルッキズムの範疇のもので、不快な思いをされる方もおられるだろう。私のサイトは安心して閲覧して頂きたいので、このような広告はブロックせざるを得ない。
なお「萌え」系のゲームについては、これもひとつのわが国の文化とする考えもあるようだ。しかし、未成年と思われる女性の露出度の大きい画像が使用されているものが多く、「児童を性的対象とした表現物」と区分することは困難(※)と判断し、これも未成年者と思われる画像を使用しているものは原則としてブロックした。
※ 日本では地方自治体や一流企業でもこの種のアニメの広告を流しているところもあるようだが、国際的に受け入れられる状況ではない。例えば、国連女子差別撤廃委員会「Concluding observations on the combined seventh and eighth periodic reports of Japan」、国連「Report of the Special Rapporteur on the sale of children, child prostitution and child pornography on her visit to Japan」、サンドラ・ヘフェリン「環境省「萌えキャラ」動画騒動 なぜニッポンの公的機関のPRは炎上するのか」などを参照されたい。
なお、私は、例えば、竹宮恵子氏の「風と樹の詩」、篠原千絵氏の一連の作品、テレビアニメ「プリキュア」や「キューティハニー」等を問題にするものではない。「プリキュア」は、もちろん性的な内容は含んでいない。また、ここに挙げた他の作品には未成年者の裸体が描かれることはあるが、子供を性的な搾取の対象とする視点はない。これは、欧米の美術館や博物館に未成年者を思わせる男女の裸体の彫像や絵画が展示されているのと同じであろう。
エ YMYL
またYMYL(Your Money Your Life = 閲覧者の財産や健康に影響する内容。投資や医療など)に関する内容は、怪しげなものは原則としてブロックした。ただし、医療機関、製薬会社、銀行、信託会社などの広告はブロックしていない。もしかすると、正当な広告もブロックしているかもしれないが、やむを得ないと考えることにした。
かなりの高利回りと元本保証を保証するような投資の広告は、ブロックしている。一例として、サブプライムローン(※)を彷彿とさせるような投資の広告が出稿されたので、ただちにブロックした。
※ リーマンショックの原因となったローン。不動産を購入する民間人の住宅ローンを細分化して、多数のローンを組み合わせて証券化したもの。不動産の価格が上昇を続けることを前提としたもので、不動産価格の凋落によって価値が暴落した。
さらに、医療・美容の分野で、疾患・患部の画像、皮膚・体形の醜状を強調した画像等を用いた広告がある。この種のものは、私が個人的に苦手なので、医療機関のものを含めてブロックした。これは個人の判断だと思う。
ブロックの方法としては、「水虫」「爪」「毛穴」「たるみ」「脂肪」「ほうれい線」「ブヨブヨ」などで検索し、ヒットしたもののうち画像が嫌だと思ったものをブロックさせてもらった。
オ 似非科学や霊感商法
似非科学については、タロットなど占いのサイトをすべてブロックした。タロットなどの占いがすべて悪いとは言わない。しかし、「無料」を強調したサイトや複数のドメインを持っているサイトなどが多く、「先祖からのメッセージ」などという怪しげな言葉を用いたりしており、霊感商法の可能性が否定できない(※)ためである。
※ 国民生活センター「それって占い?!占い師や鑑定士を名乗る者から次々とメッセージが届いてやめられない」参照。
Googleアドセンスの「広告レビューセンター」で「占い」「タロット」で検索し、占い関係のサイトをすべてブロックした。タロットなどの講座のサイトもブロックしている。もちろん、霊感商法の被害者を救済する立場の弁護士事務所のサイトはブロックしていない。
カ その他
出会い系のサイトは、未成年者が被害に遭う可能性が否定できないのでブロックした。ただし、結婚紹介業の企業広告などはその心配がないのでブロックしていない。
迷ったのはアフリエイトだが、一般の閲覧者がトラブルに遭う可能性が否定できないので当初は原則としてブロックしたが、その後、問題のなさそうなものについてはブロックを見合わせている。
アの項に示した表の最後のヘイトクライムなどの項目は、Googleがブロックしているのか、ほとんど掲載されたのを見たことはない。当サイトでは、アパホテル、DHC、フジ住宅の3社の URL をブロックした。
(3)ジャンル別のブロック
また、Googleアドセンスではデリケートな内容についてはジャンル別にブロックが可能となっている。私は以下の内容をブロックした。
【ジャンル別広告ブロックの対象】
- 出会い系
- 性に関する内容
- 消費者金融
- 誇大広告
- アルコール
- ギャンブル、賭博(18歳以上)
なお、「アルコール」と「ギャンブル、賭博(18歳以上)」は、Googleがディフォルトでブロックしている。解除することも可能なのだが、あえて解除する必要を感じなかったのでそのままにしてある。
もし、ディフォルトでブロックされていなければ、「アルコール」はブロックしなかったかもしれない。しかし、解除したところで、Google がディフォルトでブロックしている以上、そもそも広告が出稿されないだろうから意味はないだろう(※)。
※ なお、「喫煙」は Google のポリシーに反しておりそもそも出稿される可能性がないからか、ジャンル別のブロックの対象にさえなっていない。その意味では「アルコール」の広告は出稿されることがあり得るのかもしれない。
3.最後に
Google アドセンスの広告そのものは Google 社が独自のアルゴリズムに基づいて載せる(※1)ものである。しかし、私のサイトに載せて多くの方の目に触れる以上、その内容にはやはり道義的な責任がある(※2)。
※1 このページには「投資」、「医療」などの文字があるためか、かえって、やや怪しげな投資や医療行為の広告が掲載されることがある。最近も、医師ではない人物が患者に対して「あなた〇〇が悪いね」と尋ね、患者が「えっ、そうなんですか」と答えている画像を用いた広告が載っていた。医師法違反の疑いがあり、ただちにブロックしたが、新しい広告はどうしても載ってしまうのでご留意頂きたい。
※2 なお、当サイトの「利用規約」には「当サイトのリンクによって他のサイトに移動した場合、移動先サイトの情報、サービス等について、当サイトの運営者は一切の責任を負わない」とさせて頂いている。
やはり、YMYL の内容の広告が掲示されることには慎重にならざるを得ないし、出会い系のサイトで未成年者が犯罪被害に遭うようなことも避けなければならない。
また、レイシズムやファシズムを肯定する広告が載っていれば、サイト運営者が意図的に載せていると閲覧者は感じるだろう。誰も、Googleアドセンスの仕組みなど知りはしないのだ。
Googleアドセンスは、個人のサイト運営者やブロガーが容易に収入を得る手段である。しかし、自ら多くの人の目に触れるようにする以上、広告だから内容は知らないとはいえないのである。
もちろん、すべての広告について内容を詳細に審査することは不可能であるし、新しく配信されるものをすべてチェックすることも不可能である。しかし、個人レベルでもできることはするべきであろう。Googleアドセンスの審査に合格した後、最初にするべきことは、問題のある広告のブロックではないだろうか。
【関連コンテンツ】
Googleアドセンスは優良サイトの証明
WEBサイトにおいて広告が表示される必要性と、Googleアドセンスが閲覧者にとっても役に立つ指標であることを解説しています。