※ イメージ図(©photoAC)
あるレンタルサーバー会社でドメインを取得した場合でも、通常は、他のレンタルサーバーの WEB サイトに用いることが可能です。あるドメインを管理する会社と、それを用いる WEB サイトのサーバーの管理会社は、必ず同じにしなければならないわけではありません。
そのため、WEB サイトの移転を行った場合でも、ドメインの管理は元の会社のままにすることも可能です。元の会社がドメインの移転を認めていなければ移管はできませんし、ドメインの管理費用が極端に安い場合も移管しないという判断はあり得ます。しかし、通常は、そのようなことはありません。
新しい会社で、ドメイン無償の特典が得られる場合もあり、そうでなくても移管した方が何かと便利です。そこで、さくらのレンタルサーバーからエックスサーバーへドメインを移管する方法を解説します。
ドメインを移管することを検討しておられる方の参考になれば幸いです。
- 1.メインの移転と移管の違い
- (1)ドメイン管理会社とレンタルサーバー会社
- (2)ドメイン移管をすべき理由
- 2.ドメイン移管の方法
- (1)基本的なドメイン移管の流れ
- (2)移管(転出)依頼とオースコードの受信
- (3)移管の申請と承認
- (4)移管の完了と特典の申請
- 3.最後に
1.ドメインの移転と移管の違い
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(1)ドメイン管理会社とレンタルサーバー会社
WEB サイトを製作する場合、レンタルサーバー会社を通してドメインを取得して、そのままその会社に管理を依頼しているケースがほとんどだろう。そのため、とくに意識せずに、WEBサイトのサーバーを管理する会社とドメインを管理する会社は同じでなければならないと思っておられる方も多いようだ。
※ イメージ図(©photoAC)
実は、ある WEB サイトを運営するとき、サーバーを管理する会社とドメインの取得と管理をする会社は、同じにする必要はないのである。
これを意識するのは、何らかの理由で WEB サイトのサーバーを移転しようとするときだろう。独自ドメインで運用しているサイトを移転するときは、DNS の設定を変更して、そのドメインで表示するサイトのサーバーを変更する(※)のである。
※ これが、WEBサイトのサーバーを移転するということの意味である。
しかし、DNS の設定を変更するのは、あくまでもそのドメインで表示するべき WEB サイトが、どのサーバーにあるのかの情報を変更するということである。そのドメインを管理する会社を変更するということではない。ドメインを管理する会社も新しいサーバーの運用会社に変更するのであれば、別途、ドメイン移管の手続きをする必要がある。
(2)ドメイン移管をすべき理由
ア 移管しないと管理の事務が煩雑になる
サーバーの移転を行って、ドメインの管理会社の移管をしなくても WEB サイトはとくに問題なく、表示される。
だったらそのままでもかまわないと思われるかもしれない。しかし、そのままでは、サーバーの運用会社とドメインの管理会社が異なってしまい、事務が煩雑になる。そのため、ドメインの管理会社も移管することが多い。
万一、ドメインの更新手続きを忘れると、そのドメインを失う可能性がある。サーバーの運用会社とドメインの管理会社を同じにする方が、更新忘れの可能性を低くすることもできる。
イ 移管できない場合
ただし、ドメインの移管ができない場合もある。そのひとつが、元のドメインの管理会社がドメインの移管を認めていない場合である。その場合は、そのままにせざるを得ない(※)。
※ 元のドメイン管理会社のドメインを廃止して、新しいサーバーの運用会社で改めて同じドメインを取得すればよいと思うかもしれない。しかし、ドメインを廃止すると、その後、一定期間(凍結期間)は本人が元の管理者を通して復活(再取得)することしかできないのである。そのため、その間は本人であってもそのドメインが使えなくなる。
しかも、凍結期間を経過して、少しでも手続きが遅れれば、そのドメインが第三者に取得されてしまう可能性がある。従って、廃止して再取得するということはするべきではない。
また、次のような場合も移管はできないルールとなっている。
【ドメインの移管ができない場合】
- 移管元が、ドメインの移管を禁止している場合(先述)
- ドメイン取得後、60 日間以内の場合
- ドメインの有効期間が残り少ない場合
- プレミアムドメイン(※)などのため、移管先が取扱わない場合
※ プレミアムドメインとは、希少価値が高い文字列などのため、高額で取引されるドメインのこと。例えば、本稿執筆時に、oshms.com は約 70 万円、ohsas.com は約 170 万円で販売されている。なお、当サイトの osh-management.com はもちろんプレミアムドメインではない。
余談だが、気候変動による水没の危険のあることで知られるツバルが、同国に割り当てられた ccTLD(Country Code Top Level Domain=国別トップレベルドメイン)である.tv を海外のテレビ報道会社に貸出し、その利益でツバルへ運航している航空会社の株式を購入して、航路を確保したという話がある。
ウ ドメイン管理費用
なお、ドメインの管理費用は、管理会社によって異なる。また、レンタルサーバー会社によっては、ドメイン無償サービスを行っているケースもある。因みに、2023年1月15日時点での.com の各社の管理費用は、次表のようになっている。
管理会社 | 取得 | 移管(転入) | 管理(年額) |
---|---|---|---|
エックスサーバー | 1個目 :1円 2個目以降:770円 (24ヶ月以上の契約で無料) |
5個目まで:1円 5個目以降:1,298円 (24ヶ月以上の契約で無料) |
1,298円 (24ヶ月以上の契約で無料) |
さくらのレンタルサーバー | 2,614円 | 2,614円 | 2,614円 |
ムームードメイン | 1,370円 | 1,728円 | 1,728円 |
ConoHa WING | 1,408円(WINGパックで無料) | 1,408円(WINGパックで無料) | 1,408円(WINGパックで無料) |
mixhost | 1,210円(12ヶ月以上の契約で無料) | 1,210円(12ヶ月以上の契約で無料) | 1,760円(12ヶ月以上の契約で無料) |
お名前.com | 1個目 :0円 2個目以降:750円 |
1,012円 | 1,287円 |
※ すべて Whois 代行価格を含む。なお、キャンペーン期間中の契約や、取得時期によって更新価格が異なる場合がある。なお、ロリポップはドメインの管理を行っていない。
エックスサーバーとConoHa WINGは、ドメインが2個まで無料となるが、2個目は.com は対象とならない。
ドメインの管理金額は、各社、かなり異なるものの、それほど大きな違いがあるわけではない。なお、私がエックスサーバーに移転した時点では、常にドメイン2個の料金が無料になったわけではなく、サーバーの 12月 以上の新規契約でドメインを永久無償にするキャンペーンが行われていたので、そのキャンペーンを利用した。
2.ドメイン移管の方法
(1)基本的なドメイン移管の流れ
さくらのレンタルサーバーからエックスサーバーへ移管する場合を例に挙げると、基本的なドメイン移管の流れは次のようになる。
ドメイン移管の手順
- 1 さくらのレンタルサーバーの会員メニューで移管(転出)依頼をする(※)。これには費用はかからない。
- 2 さくらのレンタルサーバーからメールで「オースコード」が、Whois 情報のメールアドレスに送付されてくる。(3営業日以内)
- 3 エックスサーバーのXserverアカウントへログインして、移管の申請を行う。(このとき、オースコードを入力し、移管(転入)の費用を支払う。)
- 4 エックスサーバーから Whois 情報のメールアドレスへ「移管申請への承認依頼」のメールが届くので承認する。
- 5 エックスサーバーから「移管完了のお知らせ」のメールが届く。これで移管は完了である。
- 6 必要に応じ、独自ドメイン永久無料特典の申し込みを行う。
※ さくらのレンタルサーバーの場合、レジストラロックを解除する必要はない。
では、次章から、順に手続きを解説しよう。
(2)移管(転出)依頼とオースコードの受信
まず、最初に移管元の管理会社に対して、移管(転出)依頼を行う。
さくらのレンタルサーバーの会員メニューにログインし、「契約中のドメイン一覧」をクリックする。上図の該当するドメインの右下にある「 手続き 転出」の「転出」の文字がリンクになっているのでクリックする。
「メールでのお問合せ」のページが立ち上がるので、必要事項を入力した後、メールを送信する。
数日後に、さくらのレンタルサーバー社から、「ドメインの他社転出について承りました」という内容のメールが、Whois 情報に登録してあるメールアドレス宛に送られてくる。ここに、オースコードが含まれているので、メールをなくさないように注意する必要がある。
(3)移管の申請と承認
次に、移管先に管理会社に対して移管の申請を行う。エクスサーバーの「Xserverアカウント」にログインし、「 ドメイン移管」をクリックする。
独自ドメイン一覧の欄に、移管したいドメインを記入して、「ドメインを検索する」をクリックする。そのドメインが移管可能であれば、オースコードの入力を求められるので、さくらのレンタルサーバーから通知があったオースコードを入力する。
さらに手数料の支払いを求められるので、必要な手続きを行う。
手数料の支払いをすると、エックスサーバーから「ご利用料金お支払い確認のお知らせ」のメールが送付されてくる。このときは何もする必要はない。
数日後に「新しいレジストラの規約に同意」を求めるメールがエックスサーバーから送信されてくる。このメールも Whois 情報に登録してあるメールアドレスへ送付されてくる。
このメールの中にある URL をクリックして、「承認」をクリックすると、手続きはすべて終了する。
(4)移管の完了と特典の申請
最後に、エックスサーバーから「ドメイン移管完了のお知らせ」のメールが送付されてくる。このメールはエックスサーバーに登録したメールアドレス宛に送信されてくる。
なお、ドメイン無料特典がある場合は、この後で、申請をすればよい。なお、この特典は、ドメイン移管の前に、ドメイン移管の申請と併せて行うこともできるようだ。そうすれば、移管(転入)の手数料(1円)の支払いは不要だったのかもしれない(未確認)。
ところで、筆者(柳川)は、ドメインの移管をしたら、元の管理者のときのドメインの有効期間の残りは無効になると思っていた。しかし、エックスサーバーのメールによると、新しい管理者に引き継がれている(※)。
※ 考えてみれば、さくらのレンタルサーバーから.com のレジストリ(管理会社)に使用料を支払っているだろうから、その期間について重ねてエックスサーバーに料金を払う必要はないわけだ。なお、どちらにしても「独自ドメイン永久無料特典」の対象として申請したので、意味はないのだが。
また、意外なことに移管した後に確認したところ、移管元のさくらのレンタルサーバーの契約中のドメイン一覧からも削除されていなかった。もちろん、数日後には削除されている。
3.最後に
※ イメージ図(©photoAC)
筆者は、エックスサーバーのキャンペーン期間中にサーバーの新規契約申し込みをしたため、「独自ドメイン永久無料特典」の対象となっていた(※)。
※ なお、現在は、レンタルサーバー各社の競争が激化しているためか、エックスサーバーは常に独自ドメインを2個まで無料(12月以上の契約で1個無料、24月以上で2個無料)にしている。
このため、ドメインを移管することで、ドメインの更新費用を節約することができた。また、エックスサーバーのドメイン移管費用は1円なので、さくらのレンタルサーバーの2,614円/年に比してかなりの節約ができることになる。
さくらのレンタルサーバーの使用料金が年額 5,100 円(3年更新)に対し、エックスサーバーは 11,880 円(3年更新:キャンペーン終了後)であるから、かなり割高感はある。しかし、.comを用いる場合、ドメイン更新費用を合わせると、さくらのレンタルサーバーの年額は 7,714 円となる。エックスサーバーは、ドメインが無料であるから差額は年額 4,166 円、月当たりにすれば 347 円である。
※ そればかりか、エックスサーバーは3年契約をすると、半額がキャッシュバックされるキャンペーンをよく行っている。これを利用すると実質的な年額が 5,940 円である。
この場合、エックスサーバーはドメイン更新料が永久無償となり、サーバーの初期費用もかからないので、最初の3年間に限れば、さくらのレンタルサーバーと料金が逆転してしまうのである。
こうなってくると、もはやレンタルサーバーは料金で選ぶ時代ではなく、性能や使いやすさで選ぶべきといえよう。
また、新規契約の特典を連続して受けるために、若いブロガーの中には3年ごとにレンタルサーバーを移転するようなケースも出てくるかもしれない。
そのことも併せて、サーバーを移転するのは、普通のことになる時代が来るのかもしれない。サーバーの移転やドメインの移管の方法を熟知することは、今後ますます必要になってくるだろう。最近は、新規契約者に対する優遇キャンペーンが多くのレンタルサーバー会社で行われている。この機会に一度経験してみても良いかもしれない。
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