労働衛生コンサルタント試験 健康管理 2025年 問2

最近の労働衛生に関する課題




トップ
Lets Study の文字

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「健康管理(記述式)」問題の解説と解答例を示しています。

 各小問をクリックすると解説と解答例が表示されます。もう一度クリックするか「閉じる」ボタンで閉じることができます。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行いました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2025年度(令和7年度) 問 2 最近の課題という情報の豊富な分野なので、答えやすい問題だったのではないか。
最近の課題
2025年11月05日執筆

問2 最近の労働衛生に関する課題として、作業態様因子に関連する職業性疾病や労働者の高齢化、就労形態の変化等への対応が求められている。これらに関して、以下の設問に答えよ。

  • (1)職場における腰痛予防対策について、次の問に答えよ。
    ① 人力のみによる重量物の取扱いにおいて、職場における腰痛の防止のため、取り扱う物の重量はどのように制限すべきか、満 18 歳以上の男性労働者、満 18 歳以上の女性労働者(妊娠している者を除く。)のそれぞれについて述べよ。また、重量物の重量がこの制限を超える場合に、やむを得ず人力のみで取り扱う場合はどのようにすべきか述べよ。

    • 【解説】
      本小問は、厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(以下「腰痛予防指針」という。/平成 25 年6月 18 日基発 0618 第1号「職場における腰痛予防対策の推進について」)に従って答えればよい。なお、女性については、人力で取り扱う荷の重量が、労基法及び女性則によって制限されていることに留意すること。
      腰痛予防対策指針は、別紙の「作業態様別の対策」において、重量物取扱い作業について、満 18 歳以上の男性労働者、満 18 歳以上の女性労働者が取り扱う荷の重さについて、次のように定める。
      【取り扱う物の重量の制限】
      別紙 作業態様別の対策
      Ⅰ 重量物取扱い作業
      2 人力による重量物の取扱い
      (1)(略)
      (2)満 18 歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね 40 %以下となるように努めること。満 18 歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことのできる重量の 60 %位までとすること。
      (3)(2)の重量を超える重量物を取り扱わせる場合、適切な姿勢にて身長差の少ない労働者2人以上にて行わせるように努めること。この場合、各々の労働者に重量が均一にかかるようにすること。
      ※ 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成 25 年6月 18 日基発 0618 第1号)
      ただし、18 歳以上の女性労働者については、女性則第 24 条第一号による次の規定を上回ることができないことに留意すること。。
      【労働基準法】
      (危険有害業務の就業制限)
      第64条の3 使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、育等に有害な業務に就かせてはならない。
      ②及び③ (略)
      【女性労働基準規則】
      (危険有害業務の就業制限の範囲等)
      第2条 法第64条の3第1項の規定により妊娠中の女性を就かせてはならない業務は、次のとおりとする。
       次の表の上欄に掲げる年齢の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる重量以上の重量物を取り扱う業務
      年齢 重量(単位 キログラム)
      断続作業の場合 継続作業の場合
      満16歳未満 12
      満16歳以上満18歳未満 25 15
      満18歳以上 30 20
      二~二十四 (略)
       (略)
      閉じる
    • 【解答例】
      ① 満 18 歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね 40 %以下となるようにする。また、満 18 歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことのできる重量の 60 %位までとする。
      ② ただし、満 18 歳以上の女性の場合は、断続作業の場合は 30 kg、継続作業の場合は 20 kg 以上の重量物を扱わせてはならない。
      やむをえず、上記1の重量を超える重量物を取り扱わせる場合、適切な姿勢にて身長差の少ない労働者2人以上にて行わせるように努める。この場合、各々の労働者に重量が均一にかかるようにする。
      閉じる
  •   ② 介護・看護作業において、「抱え上げ」などの移乗介助は介助者の腰部に著しく負担がかかる。この場合、腰部への負担を軽減するための措置を三つ挙げ、それぞれ留意すべき事項を説明せよ。

    • 【解説】
      腰痛予防指針は、別紙の「作業態様別の対策」において、介護・看護作業における腰痛予防対策について定めている。本小問は、「3 リスクの回避・低減措置の検討及び実施」の「(3)作業姿勢・動作の見直し」の「イ 抱上げ」についての出題であろう。
      【介護・看護作業における留意事項】
      別紙 作業態様別の対策
      Ⅳ 福祉・医療分野等における介護・看護作業
      3 リスクの回避・低減措置の検討及び実施
       2で評価したリスクの大きさや緊急性などを考慮して、リスク回避・低減措置の優先度等を判断しつつ、次に掲げるような、腰痛の発生要因に的確に対処できる対策の内容を決定する。
      (1)対象者の残存機能等の活用
        対象者が自立歩行、立位保持、座位保持が可能かによって介護・看護の程度が異なることから、対象者の残存機能と介助への協力度等を踏まえた介護・看護方法を選択すること。
      (2)福祉用具の利用
        福祉用具(機器・道具)を積極的に使用すること。
      (3)作業姿勢・動作の見直し
      イ 抱上げ
        移乗介助、入浴介助及び排泄介助における対象者の抱上げは、労働者の腰部に著しく負担がかかることから、全介助の必要な対象者には、リフト等を積極的に使用することとし、原則として人力による人の抱上げは行わせないこと。また、対象者が座位保持できる場合にはスライディングボード等の使用、立位保持できる場合にはスタンディングマシーン等の使用を含めて検討し、対象者に適した方法で移乗介助を行わせること。
        人力による荷物の取扱い作業の要領については、「Ⅰ 重量物取扱い作業」によること。
      ロ 不自然な姿勢
        ベッドの高さ調節、位置や向きの変更、作業空間の確保、スライディングシート等の活用により、前屈やひねり等の姿勢を取らせないようにすること。特に、ベッドサイドの介護・看護作業では、労働者が立位で前屈にならない高さまで電動で上がるベッドを使用し、各自で作業高を調整させること。
        不自然な姿勢を取らざるを得ない場合は、前屈やひねりの程度を小さくし、壁に手をつく、床やベッドの上に膝を着く等により身体を支えることで腰部にかかる負担を分散させ、また不自然な姿勢をとる頻度及び時間も減らすこと。
      ※ 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成 25 年6月 18 日基発 0618 第1号)
      閉じる
    • 【解答例】
      「抱え上げ」などの移乗介助業務における腰部への負担を軽減するための措置には以下のようなものがある。
      ① 全介助の必要な対象者には、リフト等を積極的に使用することとし、原則として人力による人の抱上げは行わせないこと。
      ② 対象者が座位保持できる場合にはスライディングボード等を使用、対象者に適した方法で移乗介助を行う。
      ③ 対象者が立位保持できる場合にはスタンディングマシーン等を使用し、対象者に適した方法で移乗介助を行う。
      閉じる
  •   ③ 腰痛の発生には様々な発生要因が複合的に関与しており、その一つに、職場における環境要因があるとされている。環境要因に該当するものを三つ挙げ、それぞれが腰痛につながる理由を具体例を示して説明せよ。

    • 【解説】
      腰痛予防指針によれば、腰痛に関与する作業環境の要因として、温度、照明(明るさ)、作業床面、作業空間や設備、荷の配置等及び振動の5つが挙げられている。
      このうちの3つを答えればよい。なお、「振動」については、振動病の原因となる「局所振動」と区別するため「全身振動」としてもよいだろう。
      また、指針に添付されている「職場における腰痛予防対策指針及び解説」では、腰痛予防指針の上記部分に、下記のような解説を付している。
      【腰痛に関与する職場環境要因】
      3 作業環境管理
      (1)温度
        寒冷ばく露は腰痛を悪化させ、又は発生させやすくするので、屋内作業場において作業を行わせる場合には、作業場内の温度を適切に保つこと。また、冬季の屋外のように低温環境下で作業させざるを得ない場合には、保温のための衣服の着用や暖房設備の設置に配慮すること。
      (2)照明
        作業場所、通路、階段等で、足もとや周囲の安全が確認できるように適切な照度を保つこと。
      (3)作業床面
        労働者の転倒、つまずきや滑りなどを防止するため、作業床面はできるだけ凹凸がなく、防滑性、弾力性、耐衝撃性及び耐へこみ性に優れたものとすることが望ましい。
      (4)作業空間や設備、荷の配置等
        作業そのものや動作に支障をきたすような機器や設備の配置や整理整頓が不十分で雑然とした作業空間、狭い作業空間は、腰痛の発生や症状の悪化につながりやすいことから、作業そのものや動作に支障がないよう十分に広い作業空間を確保し、2の(2)のように作業姿勢、動作が不自然にならないよう、機器・設備、荷の配置、作業台や椅子の高さ等に配慮を行うこと。
      (5)振動
        車両系建設機械の操作・運転等により腰部と全身に著しく粗大な振動、あるいは、車両運転等により腰部と全身に長時間振動を受ける場合、腰痛の発生が懸念されることから、座席等について振動ばく露の軽減対策をとること。
      職場における腰痛予防対策指針の解説
      「3 作業環境管理」について
      (1)温度
        温度の設定が適切でない作業環境では、筋骨格系組織が良好に活動できないため、腰痛を悪化・発生させるおそれがある。温度の設定に当たっては、作業強度によって体熱の発生量が異なることから、立って行う軽作業に比べ、座作業ではやや高めに、重量物取扱い作業では低めにするよう配慮すること等が必要である。また、部屋の中の位置(床面からの高さ、壁からの距離、空調との位置関係等)によって、温度が異なることにも注意することが必要である。
        とりわけ、気温が低すぎると、寒冷反射により血管収縮が生じ、腰部の筋肉や軟部組織等が硬くなって、腰痛の誘因になることから、寒冷時の屋内作業場では暖房設備により適切な温度環境を維持することが望ましい(なお、適切な温度環境は作業能率の向上にもつながる)。労働者が工場内に点在し、又は工場全体の暖房が困難である場合には、労働者のいる付近を局所的に暖房する。また、冬季の屋外のような低温環境下で作業を行わせる場合には、保温のための衣服を着用させるとともに、適宜、暖が取れるよう休憩室等に暖房設備を設けることが望ましい。
      (2)照明
        適切な照度のもと、安全な視認環境で作業することは、各種労働災害の防止の観点だけでなく、腰痛の発生防止の観点からも重要である。具体的には、作業場所、通路、階段などで、足もとや周囲の安全が確認できるようにすることで、作業者の滑り、腰痛の原因となる転倒、階段の踏みはずし等を防止することができる。また、適切な照度のもと、安全な視覚情報で作業することは、取り扱う機器や設備を適切に操作することを可能にし、誤操作等をしたことで慌て、咄嗟に腰を痛める動作をしてしまうことによる腰痛の発生防止にもつながる。
      (3)作業床面
        作業床面に凹凸・段差がある場合や、作業床面が滑り易い状態の場合は、転倒、つまずき、滑り等のリスクが高まる。このため、作業床面はできるだけ凹凸・段差がなく、滑りにくいものとすることが望ましい。
      (4)作業空間や設備、荷の配置等
        不自然な作業姿勢、動作を避けるため、作業場、事務所、通路等の作業空間を十分に確保する必要がある。
        十分な広さがない、動作や移動の際の作業動線の妨げとなるものがある等の場合には、あらかじめ適切な作業手順を検討できるよう、作業開始前に作業空間を十分認識しておくことが必要である。また、作業場そのものが整理整頓されておらず、雑然とものが置かれている状態では転倒等の危険があるため、日頃から整理・整頓・清潔に心がけるべきである。
        機器や設備、作業台等を設置したり変更したりする場合は、労働者が機器や設備等に合わせて作業するのではなく、労働者に機器や設備等を合わせることにより、適切な作業位置、作業姿勢、高さ、幅等を確保することができるよう人間工学的な配慮を行う。
        倉庫等では、搬出入が頻繁な荷物を戸口に近いところや運搬する際に抱えるのと同じ高さに配置して、歩行距離をできるだけ短くしたり、腰を伸ばしたり、かがめたりする動作を避ける等の配慮をする。
      (5)振動
        車両系建設機械等の操作・運転により腰部と全身に著しく粗大な振動を受ける場合、車両運転等により腰部と全身に長時間振動を受ける場合は、腰痛の発生が懸念されることから、振動ばく露の軽減に配慮する。具体的には、座席の座面・背もたれやその角度の改善、振動を減衰する構造を持つ座席への改造、小休止や休息をはさむなどによる粗大な振動の軽減や振動の連続した長時間ばく露の回避等の配慮を行うことが必要である(詳細は、別紙「作業態様別の対策」Ⅴの3の(1)及びその解説を参照)
      ※ 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成 25 年6月 18 日基発 0618 第1号)
      閉じる
    • 【解答例】
      腰痛の発生には関与する職場の環境要因には、以下のもの等がある。また、それぞれが腰痛につながる理由については、以下の通りである。
      ① 温度
      寒冷ばく露する業務などでは、筋骨格系組織が良好に活動できないため、腰痛を悪化・発生させることがある。とりわけ、気温が低すぎると、寒冷反射により血管収縮が生じ、腰部の筋肉や軟部組織等が硬くなって、腰痛の誘因になる。
      ③ 照明
      暗い場所における作業では、作業者の滑り、腰痛の原因となる転倒、階段の踏みはずし等によって腰痛を発症することがある。
      ② 作業床面
      作業床を歩行する業務であっても、床面に凹凸・段差ががあったり、滑りやすい材質でできていると、転倒、つまずき、滑り等のリスクが高まり、労働者が転倒したりつまずいたりして腰痛となることがある。
      閉じる
  •   ④ 腰痛の発生には、③の環境要因の他に、職場における心理・社会的要因も関連するとされている。心理・社会的要因とはどのようなことか、150 字程度で説明せよ。

    • 【解説】
      これについても、腰痛予防指針の「職場における腰痛予防対策指針の解説」に端的に記述されている。この字数は、末尾のカッコ内を除けば 127 文字であるが、十分な文字数である。
      【腰痛に関与する職場環境要因】
      1 はじめに
        (前略)
        腰痛の発生要因には、腰部に動的あるいは静的に過度の負担を加える動作要因、腰部への振動、温度、転倒の原因となる床・階段の状態等の環境要因、年齢、性、体格、筋力、椎間板ヘルニア、骨粗しょう症等の既往症又は基礎疾患の有無等の個人的要因、職場の対人ストレス等に代表される心理・社会的要因がある。
        (後略)
      職場における腰痛予防対策指針の解説
      「1 はじめに」について
      (2)腰痛の発生要因
        腰痛の発生要因は、次のイ~ニのように分類され、動作要因、環境要因、個人的要因のほか、心理・社会的要因も注目されている。職場で労働者が実際に腰痛を発生させたり、その症状を悪化させたりする場面において、単独の要因だけが関与することは希で、いくつかの要因が複合的に関与している。
      ニ 心理・社会的要因
        仕事への満足感や働きがいが得にくい、上司や同僚からの支援不足、職場での対人トラブル、仕事上の相手先や対人サービスの対象者とのトラブル等。また、労働者の能力と適性に応じた職務内容となっておらず、過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、責任等が生じている等(ロも影響することがある。)。
      ※ 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成 25 年6月 18 日基発 0618 第1号)
      閉じる
    • 【解答例】
      腰痛の発生に関連する心理・社会的要因とは、仕事への満足感や働きがいが得にくい、上司や同僚からの支援不足、職場での対人トラブル、仕事上の相手先や対人サービスの対象者とのトラブル等である。また、労働者の能力と適性に応じた職務内容となっておらず、過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、責任等が生じている等も関係する。
      閉じる
  • (2)情報機器作業は、視覚や上肢を始めとする心身の負担を伴う作業である。情報機器作業において心身の負担を軽減するための留意事項について、照明・採光に関して二つ、情報機器に関して二つ、作業時間に関して一つ、挙げよ。

    • 【解説】
      本小問は「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(以下「情報機器ガイドライン」という。/令和元年7月 12 日基発 0712 第3号「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」)からの出題であろう。
      以下は、情報機器ガイドラインから、必要事項を抜き出したものである。この中から、解答すればよい。なお、「情報機器に関して二つ」が選びにくいが、情報機器ガイドラインの内容に従っていれば合格点は取れるものと思われる。
      【心身の負担を軽減するための留意事項】
      4 作業環境管理
        作業者の心身の負担を軽減し、作業者が支障なく作業を行うことができるよう、次により情報機器作業に適した作業環境管理を行うこと。
      (1)照明及び採光
       室内は、できる限り明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
       ディスプレイを用いる場合の書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とし、作業しやすい照度とすること。
        また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
       ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。
       間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること。
       その他グレアを防止するための有効な措置を講じること。
      (2)情報機器等
      イ 情報機器の選択
        情報機器を事業場に導入する際には、作業者への健康影響を考慮し、作業者が行う作業に最も適した機器を選択し導入すること。
      ロ デスクトップ型機器
      (イ)ディスプレイ
        ディスプレイは、次の要件を満たすものを用いること。
       目的とする情報機器作業を負担なく遂行できる画面サイズであること。
       ディスプレイ画面上の輝度又はコントラストは作業者が容易に調整できるものであることが望ましい。
       必要に応じ、作業環境及び作業内容等に適した反射処理をしたものであること。
       ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整できるものであることが望ましい。
      (ロ)入力機器(キーボード、マウス等)
       入力機器は、次の要件を満たすものを用いること。
      (a) キーボードは、ディスプレイから分離して、その位置が作業者によって調整できることが望ましい。
      (b) キーボードのキーは、文字が明瞭で読みやすく、キーの大きさ及びキーの数がキー操作を行うために適切であること。
      (c) マウスは、使用する者の手に適した形状及び大きさで、持ちやすく操作がしやすいこと。
      (d) キーボードのキー及びマウスのボタンは、押下深さ(ストローク)及び押下力が適当であり、操作したことを作業者が知覚し得ることが望ましい。
       目的とする情報機器作業に適した入力機器を使用できるようにすること。
       必要に応じ、パームレスト(リストレスト)を利用できるようにすること。
      ハ ノート型機器
      (イ)適した機器の使用
        目的とする情報機器作業に適したノート型機器を適した状態で使用させること。
      (ロ)ディスプレイ
        ディスプレイは、上記ロの(イ)の要件に適合したものを用いること。ただし、ノート型機器は、通常、ディスプレイとキーボードを分離できないので、長時間、情報機器作業を行う場合については、作業の内容に応じ外付けディスプレイなども使用することが望ましい。
      (ハ)入力機器(キーボード、マウス等)
        入力機器は、上記ロの(ロ)の要件に適合したものを用いること。
        ただし、ノート型機器は、通常、ディスプレイとキーボードを分離できないので、小型のノート型機器で長時間の情報機器作業を行う場合については、外付けキーボードを使用することが望ましい。
      (ニ)マウス等の使用
        必要に応じて、マウス等を利用できるようにすることが望ましい。
      (ホ)テンキー入力機器の使用
        数字を入力する作業が多い場合は、テンキー入力機器を利用できるようにすることが望ましい。
      ニ タブレット、スマートフォン等
      (イ)適した機器の使用
        目的とする情報機器作業に適した機器を適した状態で使用させること。
      (ロ)オプション機器の使用
        長時間、タブレット型機器等を用いた作業を行う場合には、作業の内容に応じ適切なオプション機器(ディスプレイ、キーボード、マウス等)を適切な配置で利用できるようにすることが望ましい。
      ホ その他の情報機器
        ロからニまで以外の新しい表示装置や入力機器等を導入し、使用する場合には、作業者への健康影響を十分に考慮して、目的とする情報機器作業に適した機器を適した状態で使用させること。
      ヘ ソフトウェア
        ソフトウェアは、次の要件を満たすものを用いることが望ましい。
      (イ)目的とする情報機器作業の内容、作業者の技能、能力等に適合したものであること。
      (ロ)作業者の求めに応じて、作業者に対して、適切な説明が与えられるものであること。
      (ハ)作業上の必要性、作業者の技能、好み等に応じて、インターフェイス用のソフトウェアの設定が容易に変更可能なものであること。
      (ニ)操作ミス等によりデータ等が消去された場合に容易に復元可能なものであること。
      ト 椅子
        椅子は、次の要件を満たすものを用いること。
      (イ)安定しており、かつ、容易に移動できること。
      (ロ)床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。
      (ハ)複数の作業者が交替で同一の椅子を使用する場合には、高さの調整が容易であり、調整中に座面が落下しない構造であること。
      (ニ)適当な背もたれを有していること。また、背もたれは、傾きを調整できることが望ましい。
      (ホ)必要に応じて適当な長さの肘掛けを有していること。
      チ 机又は作業台
        机又は作業台は、次の要件を満たすものを用いること。
      (イ) 作業面は、キーボード、書類、マウスその他情報機器作業に必要なものが適切に配置できる広さであること。
      (ロ)作業者の脚の周囲の空間は、情報機器作業中に脚が窮屈でない大きさのものであること。
      (ハ)机又は作業台の高さについては、次によること。
       高さの調整ができない机又は作業台を使用する場合、床からの高さは作業者の体形にあった高さとすること。
       高さの調整が可能な机又は作業台を使用する場合、床からの高さは作業者の体形にあった高さに調整できること。
      5 作業管理
        作業者が、心身の負担が少なく作業を行うことができるよう、次により作業時間の管理を行うとともに、4により整備した情報機器、関連什器等を調整し、作業の特性や個々の作業者の特性に合った適切な作業管理を行うこと。
      (1)作業時間等
      イ 一日の作業時間
        情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。
      ロ 一連続作業時間及び作業休止時間
        一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に 10 分~ 15 分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けるよう指導すること。
      ハ 業務量への配慮
        作業者の疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。
      ※ 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月 12 日基発 0712 第3号)
      閉じる
    • 【解答例】
      1 照明・採光
      (1)室内は、できる限り明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
      (2)ディスプレイを用いる場合の書類上及びキーボード上における照度は 300 ルクス以上とし、作業しやすい照度とすること。
      また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
      2 情報機器
      (1)情報機器を事業場に導入する際には、作業者への健康影響を考慮し、作業者が行う作業に最も適した機器を選択し導入すること。
      (2)ディスプレイは、目的とする情報機器作業を負担なく遂行できる画面サイズとし、画面上の輝度又はコントラストは作業者が容易に調整できるようになっていること。また、必要に応じ、作業環境及び作業内容等に適した反射処理をしたものであることが望ましい。さらに、ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整できるものであることが望ましい。
      3 作業時間
      (1)一日において情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないようにすること。また、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に 10 分~ 15 分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること。
      閉じる
  • (3)近年の就労者の高齢化に伴い、事業場において、高年齢労働者の加齢による心身の機能低下に配慮した取組が求められている。次の問に答えよ。
    ① 人間の各種機能には、加齢により大きく低下する機能がある。次のア〜コの機能のうち、加齢により大きく低下する機能を五つ挙げよ。
     ア 分析と判断力
     イ 屈腕力
     ウ 薄明順応
     エ 全身跳躍反応
     オ 夜勤後体重回復
     カ 高音域の聴力
     キ 短期の記憶力
     ク 平衡機能
     ケ 背筋力
     コ 動作速度

    • 【解説】
      本小問は、厚労省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(以下「エイジフレンドリーガイドライン」という。/令和2年3月 16 日基安発 0316 第1号「「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の策定について」)を念頭に置いた出題であろう。もっとも、エイジフレンドリーガイドラインに、「加齢により大きく低下する機能」がどのようなものかが記載されているわけではない。

      20~24歳ないし最高期を基準としてみた55~59歳の各機能水準の相対関係(%)

      図のクリックで拡大します

      ※ 斉藤一他「高齢者の労働能力(労働科学業書53)」(労働科学研究所 1980年)より

      本小問は、おそらく、斎藤他(※)に記載されている図を念頭に置いた問だと思われる。この図は、20~24 歳ないし最高期を基準としてみた 55~59 歳の各機能水準の相対関係を表したものである。
      ※ 斉藤一他「高齢者の労働能力(労働科学業書53)」(労働科学研究所 1980年)
      加齢による機能の衰えを表すチャートとして、よく引用されている図であり、また、本図の項目と本小問の選択肢がほぼ一致しているので、この中から数字の低い順に5つを選べば正答になるという趣旨であろう。
      なお、本図の「聴力」は本小問では「高音域の聴力」、本図の「記憶力」は本小問では「短期の記憶力」となっているが、いずれも本小問の方が高齢者で低下しやすいものであるから問題を解くに当たっては問題とはならない。
      本小問の各選択肢に、本図の「機能の低下率」を当てはめると次の表のようになる。従って、正答は「薄明順応」「夜勤後体重回復」「高音域の聴力」「短期の記憶力」及び「平衡機能」ということになるのであろう。

      項目 低下率
      分析と判断力 77
      屈腕力 80
      薄明順応 36
      全身跳躍反応 85
      夜勤後体重回復 27
      高音域の聴力 44
      短期の記憶力 53
      平衡機能 48
      背筋力 75
      動作速度 85
      もっとも、加齢による機能の低下には個人差もかなりあるだろうし、この種の調査は、調査によってかなり異なる結果が出ることもあることが多い。また、斎藤他の調査はよく知られており、公的機関のパンフレットなどにも引用されることが多いことも事実であるが、1980 年の調査結果を、そのまま正しいものとの前提で出題するのには、問題の方にいささか無理があるのではなかろうか。

      壮年者と前期高齢者の比較(動態・視覚・聴覚)

      図のクリックで拡大します

      ※ (社)人間生活工学研究センター「高齢者向け生産現場設計ガイドライン」より

      厚労省の資料にも「現在の高齢者においては、10〜20 年前と⽐較して、加齢に伴う⾝体・⼼理機能の変化の出現が5~10 年遅延しており、「若返り」現象が⾒られている。特に、65~74歳のいわゆる「前期高齢者」においては、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めている(※)とされている。
      図は、(社)人間生活工学研究センターの「高齢者向け生産現場設計ガイドライン」(※)の調査結果であり、厚労省の資料にも引用されている。こちらの調査項目は、斎藤他とはかなり異なっているが、こちらもよく引用される図である。今後、こちらが出題の対象となることも考えられるので、参考までに載せておく。
      ※ 本図の「明順応」とは暗いところから明るいところへ行って目が慣れることであり、本小問の「薄明順応」とは逆に暗い所に入ったときに暗さに順応して物が見えるようになる能力である。全年齢で「暗順応」は「明順応」に比べて時間がかかるが、高齢者は明順応よりも暗順応の方が大きく低下する。
      また、本問の問題文にもかなりあいまいな表現があり、この問題文から斎藤他の調査からの解答を導き出せと言うのは、いささか無理があるように思える。問題文の「大きく低下」とはどのような意味であろうか?
      例えば、斎藤他の調査で「夜勤後体重回復」が 27 %とされているが、何をもって 27 %と評価したのかが問題となるのである。斎藤他は、もちろん調査結果の中でそこは明らかにしている。しかし、それを問題として出題するのであれば、問題文中でそのことを明確にしておかない限り、他の項目と比較できるようなものではない(※)
      ※ さらにいえば、知的能力と身体能力の衰えを比較して、どちらが「加齢により大きく低下」しているのかを決められるようなものなのかについても疑問を感じなくもない。

      年齢別の夜勤後の体重回復の変化

      図のクリックで拡大します

      ※ 岩崎明夫「高年齢労働者の安全・健康確保とその対策」(産業保健21 No.96 2019.4)より

      本図は、岩崎(※)からの引用であるが、夜勤からの体重の回復は、一定の期間を経て起きるものであろう。高齢者の機能低下を壮年者等と数字で比較するには、何らかの定義をする必要がある。例えば、体重が夜勤前の何パーセントに戻る前の期間を比較するとかである。
      ※ 岩崎明夫「高年齢労働者の安全・健康確保とその対策」(産業保健21 No.96 2019.4)
      そのような定義も何も示さずに、加齢により大きく低下する機能を五つ挙げよという本問の問題の適正さには疑問を感じざるを得ないと指摘しておく。

      閉じる
    • 【解答例】
      選択肢のア〜コの機能のうち、加齢により大きく低下する機能は、「薄明順応」「夜勤後体重回復」「高音域の聴力」「短期の記憶力」及び「平衡機能」の5つである。
      閉じる
  •   ② 高齢者の就労に当たって留意すべき事項を 100字程度で説明せよ。

    • 【解説】
      本小問も、具体性がなく何を問いたいのか不明瞭な内容となっている。なお、エイジフレンドリーガイドラインには、メンタルヘルス指針のような留意すべき事項をまとめた記述はない。
      まさしくどうとでも解答できる問題である。冗談で、Copilot にお伺いを立てたところ、次のように解答してきた。
      【Copilot による高齢者の就労に当たって留意すべき事項】
      ○ 高齢者の就労では、転倒・腰痛防止のための作業環境改善、健康管理、柔軟な勤務体系の導入、加齢に配慮した安全衛生教育の実施が重要です。
      ※ Copilot による回答から
      なかなか魅力的チャーミングな解答ではあるし、また、まさに正しい内容なのだが、試験官はそれは「実施するべき事項」であって、「留意するべき事項」ではないと考えるだろう。試験問題文にはまさに整合する正しい答えなのだが、これは一般論ではあっても出題意図に合っているとは思えない。
      労働衛生コンサルタント試験の問題は、生成 AI のように問題文に正面から答えたのでは、加点されないようになっている問題が多いのである。それに正答するこは、労働衛生分野に通じた専門家が持つ感覚的なもの(ああ、これはあのことを聞いているのかという)が必要になるのである(※)
      ※ 私はそのことを肯定するつもりはない。このようなことは望ましいことではない。しかし、そのような現状がある以上、それに対応せざるを得ないのである。
      このような場合、行政が何を求めているかが重要になる。そこで、エイジフレンドリーガイドラインの中から「留意」という文字のある部分を書き出してみた。この部分が、行政が「留意するべき事項」として問題意識を持っていることが表出しているところなのである。
      【高齢者の就労に当たって留意すべき事項】
      第2 事業者に求められる事項
      1 安全衛生管理体制の確立等
      (2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
        (前略)
        これらの事項を実施するに当たっては、以下の点を考慮すること。
       (略)
       サービス業のうち社会福祉施設、飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うため危険を認識しにくいが、作業頻度や作業環境の違いにより家庭生活における作業とは異なるリスクが潜んでいることに留意すること
       (略)
      3 高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
      (3)健康や体力の状況に関する情報の取扱い
        健康情報等を取り扱う際には、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成 30 年9月7日労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号)を踏まえた対応をしなければならないことに留意すること
        (後略)
      4 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
      (1)個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置
        (前略)
        就業上の措置を講じるに当たっては、以下の点を考慮すること。
       (略)
       業務の軽減等の就業上の措置を実施する場合は、高年齢労働者に状況を確認して、十分な話合いを通じて当該高年齢労働者の了解が得られるよう努めること。また、健康管理部門と人事労務管理部門との連携にも留意すること
      (2)高年齢労働者の状況に応じた業務の提供
        (前略)
        個々の労働者の状況に応じた対応を行う際には、以下の点を考慮すること。
       業種特有の就労環境に起因する労働災害があることや、労働時間の状況や作業内容により、個々の労働者の心身にかかる負荷が異なることに留意すること
       危険有害業務を伴う労働災害リスクの高い製造業、建設業、運輸業等の労働環境と、第三次産業等の労働環境とでは、必要とされる身体機能等に違いがあることに留意すること。例えば、運輸業等においては、運転適性の確認を重点的に行うこと等が考えられること。
       (略)
      5 安全衛生教育
      (1)高年齢労働者に対する教育
        (前略)
        併せて、加齢に伴う健康や体力の状況の低下や個人差の拡大を踏まえ、以下の点を考慮して安全衛生教育を計画的に行い、その定着を図ることが望ましいこと。
       (略)
       高年齢労働者にみられる転倒災害は危険に感じられない場所で発生していることも多いため、安全標識や危険箇所の掲示に留意するとともに、わずかな段差等の周りの環境にも常に注意を払うよう意識付けをすること。
       (略)
      ※ 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(令和2年3月 16 日基安発 0316 第1号)
      この中から、特定の分野に限定された事項を除いて「作文」をすると正答になる(少なくとも行政の文書にそのように書かれているのであるから減点はできないはずである。)。「そんなばかな」と思えるかもしれないが、残念ながらそれがこの試験に合格するために必要なことなのである。
      閉じる
    • 【解答例】
      高齢者の就業上を配慮するときは、労働者の個人差に留意すること。また、配慮に当たっては健康管理部門と人事労務管理部門との連携にも留意する必要がある。
      さらに、個々の労働者の健康情報等を取り扱う際には、生データは医療職のみが扱い、上司等には加工された情報のみを提供する等が必要となる。
      閉じる
  • (4)近年は、治療が長期化する疾病に患している場合でも、就業を継続できる職場環境を整えることが求められている。治療と仕事の両立の支援となる勤務制度を三つ挙げて、その制度が両立支援に資することとなる理由をそれぞれ述べよ。

    • 【解説】
      本小問はいうまでもなく「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(以下「治療と仕事の両立支援ガイドライン」という。/2024年3月改訂版)(※)が念頭にあって出題されたものである。
      ※ このガイドラインは、平成28年2月23日基発第0223第5号等によって、2016 年(平成 28 年)2月版が各都道府県知事あてに送付されている。このとき、都道府県労働局長に対する文書も発出されているはずだが、厚労省の関係サイトには公開されていない。
      また、2024 年(令和6年)3月の改定に当たっても、新たな通達が発出されなかったのか、少なくとも公開されていない。このガイドラインは、労働基準行政としては、安衛法第9条に基づく勧告又は要請という位置づけではないのかもしれない。
      いずれにせよ、治療と仕事の両立支援ガイドラインには、治療と仕事の両立の支援となる勤務制度が4つ、その制度が両立支援に資することとなる理由を含めて記されているので、そのうちの3つを答えればよい。
      【高齢者の就労に当たって留意すべき事項】
      4 両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)
      (4)両立支援に関する制度・体制等の整備
      ア 休暇制度、勤務制度の整備
        治療と仕事の両立支援においては、短時間の治療が定期的に繰り返される場合、就業時間に一定の制限が必要な場合、通勤による負担軽減のために出勤時間をずらす必要がある場合などがあることから、以下のような休暇制度、勤務制度について、各事業場の実情に応じて検討、導入し、治療のための配慮を行うことが望ましいこと。
      ① 休暇制度
        (略)
      ② 勤務制度
      【時差出勤制度】
        事業者が自主的に設ける勤務制度であり、始業及び終業の時刻を変更することにより、身体に負担のかかる通勤時間帯を避けて通勤するといった対応が可能となる。
      【短時間勤務制度】 ※ 育児、介護休業法に基づく短時間勤務制度とは別のもの
        事業者が自主的に設ける勤務制度であり、療養中・療養後の負担を軽減すること等を目的として、所定労働時間を短縮する制度。
      【在宅勤務(テレワーク)】
        事業者が自主的に設ける勤務制度であり、パソコンなどの情報通信機器を活用した場所にとらわれない柔軟な働き方。自宅で勤務することにより、通勤による身体への負担を軽減することが可能となる。
      【試し出勤制度】
        事業者が自主的に設ける勤務制度であり、長期間にわたり休業していた労働者に対し、円滑な復職を支援するために、勤務時間や勤務日数を短縮した試し出勤等を行うもの。復職や治療を受けながら就労することに不安を感じている労働者や、受入れに不安を感じている職場の関係者にとって、試し出勤制度があることで不安を解消し、円滑な就労に向けて具体的な準備を行うことが可能となる。
      ※ 厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(2024年3月改訂版)
      閉じる
    • 【解答例】
      1 時差出勤制度
      始業及び終業の時刻を変更する勤務制度であり、そのことにより身体に負担のかかる通勤時間帯を避けて通勤するといった対応が可能となる。
      2 短時間勤務制度
      所定労働時間を短縮する制度であり、療養中・療養後の負担を軽減すること等が可能となる。
      3 在宅勤務(テレワーク)
      パソコンなどの情報通信機器を活用した場所にとらわれない柔軟な働き方を可能とする勤務制度である。自宅で勤務することにより、通勤による身体への負担を軽減することが可能となる。
      閉じる