労働衛生コンサルタント試験 健康管理 2023年 問4

過重労働による健康影響




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 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「健康管理(記述式)」問題の解説と解答例を示しています。

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2023年度(令和5年度) 問 4 過重労働対策の基本的な内容。しかし、一部に問題文が不明瞭な箇所もある。
荷重労働による健康影響
2023年11月25日執筆

問4 過重労働による健康影響に関する以下の設問に簡潔に答えよ。

  • (1)職業性疾病と作業関連疾患の違いを述べ、作業関連疾患に該当するものを五つ挙げよ。

    • 【解説】
      職業性疾病とは、労働者が業務に起因して罹患した疾病のことである。業務とその他の要因が複合して発症した場合には、業務上の要因の方がその他の要因よりも相対的に有力でなければ、業務上の疾病とはならないというのが行政の考え方である。具体的には、労基則別表第1の2に定められている。
      これに対し、作業関連疾患(Work-related disorder)は1976年にWHOの総会で提唱された用語であり、「一般住民にもひろく存在する疾患ではあるが、作業条件や作業環境の状態によって、発症率が高まったり、悪化したりする疾患」と定義されている。作業要因と個人的要因が関与して発現する健康障害のことといってよい。
      ほとんどの生活習慣病は作業関連疾患になると考えてよい。なぜなら、生活習慣病のほとんどがストレスに関係しており、ストレスは作業環境等も原因となるからである。うつ病、アルコール依存、胃潰瘍などのストレスと明確に関連のある疾患はいうに及ばず、心疾患・脳血管疾患、高血圧症などの循環器系疾患のほとんどが含まれる。また、近年では、癌、腰痛、肩こりなども作業関連疾患に含まれると考えられている。
      なお、厚生労働省の職場のあんぜんサイトの「こころの耳」の用語解説「作業関連疾患」には、次のような記述がある。
      ※ 厚生労働省「作業関連疾患(こころの耳:用語解説)
      【作業関連疾患】
      職業病が特定の作業によって出現する特有な病気であるのに対して、一般の人がだれでもかかる日常的な病気のうち、特に、職場の環境、労働時間、作業による負荷などの影響によって、進行や発症の危険性が高くなる病気を作業関連疾患とよんでいます。作業関連疾患は、労働に伴うストレスや過労が直接的あるいは間接的に原因になるため、発症時および発症前の作業の状況によっては、労災補償の対象として認定されることもあります。
      ※ 厚生労働省「作業関連疾患(こころの耳:用語解説)
      ただ、本小問では「作業関連疾患に該当するものを五つ挙げよ」となっている。「作業関連疾患」という考え方を提唱した WHO は、公衆衛生の意義を持つものの例示として、つぎの5疾患群をあげている。おそらく、本小問はこれを問うものであろう。
      ○ 問題行動(喫煙、過剰な飲酒、過食など)、心因性疾患(不定愁訴、神経症、うつ状態)
      ○ 高血圧
      ○ 虚血性心疾患
      ○ 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫、気管支端息)
      ○ 運動器系障害(腰痛、頭肩症候群)
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    • 【解答例】
      職業性疾病とは、労働者が業務に起因して罹患した疾病のことである。これに対し、作業関連疾患とは、作業条件や作業環境の状態によって、発症率が高まったり、悪化したりする疾患のことである。
      作業関連疾患の例としては、以下のものが挙げられる。
      ○ 問題行動(喫煙、過剰な飲酒、過食など)、心因性疾患(不定愁訴、神経症、うつ状態)
      ○ 高血圧
      ○ 虚血性心疾患
      ○ 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫、気管支端息)
      ○ 運動器系障害(腰痛、頭肩症候群)
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  • (2)過重労働対策は、どのような健康障害の防止を目的として実施するものか述べよ。

    • 【解説】
      過重労働対策の目的が、過労死と過労自殺の防止であることは当然であろう。
      本小問は、健康障害を問うているのであるから、脳・心臓疾患(脳血管障害及び虚血性心疾患)と精神疾患を挙げておけばよいだろう。
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    • 【解答例】
      過重労働対策は、生活習慣病一般を防止するために行うべきものであるが、とくに脳・心臓疾患(脳血管障害及び虚血性心疾患)と精神疾患の防止が重要な目的となる。
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  • (3)長時間にわたる労働に関する面接指導等に関して、次の問に答えよ。
    ① 医師による面接指導を行わなければならない者については、1か月当たりの時間外・休日労働が 80 時間を超える者などの要件が設けられている。これを超えると一般的に労働者の生活サイクルにどのような影響があるのか述べよ。

    • 【解説】
      この 80 時間の根拠は、平成 13 年 11 月 15 日に公表された「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」にある。まず、同専門検討会は、当時の標準的な労働者の1日の生活時間に関する調査結果(※)を用いて、労働者の1日の労働時間が8時間であれば、標準的な生活時間は次表のようになると考えた。
      ※ 総務省「平成13年社会生活基本調査報告」及び NHK の「2005年国民生活時間調査報告書」。なお、これらによれば、標準的な労働者の1日の生活時間では、睡眠時間は 7.3 時間となるとされていた。
      睡眠 7.3時間
      食事等(食事、身の回りの用事、通勤等の時間) 5.5時間
      仕事(拘束時間=法定時間+休憩1時間) 9.0時間
      余暇 2.2時間
      そして、1日の労働時間が8時間を超えると、食事等(食事、身の回りの用事、通勤等)の時間を削減することは簡単にはできないので、労働者は、まず余暇の時間を削減し、さらに労働時間が延長されると、次は食餌等の時間もわずかに削減するが主に睡眠時間を削減するとの仮説(モデル)を設定した。
      そして、この仮説の下では、時間外労働が2時間程度になると睡眠時間は 7.5 時間となり、時間外労働が4時間程度になると睡眠時間が 6.0 時間まで削減され、さらに労働時間が5時間程度になると睡眠時間は 5.0 時間となる(※)としたのである。
      ※ なお、検討会報告書は、各日の睡眠時間がこのようになるとしたわけではない。残業時間が1ヶ月継続した状態での、労働者の平均の睡眠時間がこのようになるとしている。
      そして、1ヶ月間の時間外労働時間数は、1日の労働時間に平均勤務日数(休日労働日は含まない。)21.7日を乗じて、概ね45時間、80時間及び100時間と計算したわけである。
      1日の
      睡眠
      1日の
      時間外労働
      1ヶ月間の
      時間外労働
      7.5 時間 2 時間 45 時間
      6.0 時間 4 時間 80 時間
      5.0 時間 5 時間 100 時間
      一方、脳・心臓疾患のり患率などと睡眠時間の関係で、睡眠時間が6時間未満では狭心症や心筋梗塞の有病率が高い、睡眠時間が5時間以下では脳・心臓疾患の発症率が高い、睡眠時間が4時間以下の人の冠[状]動脈性心疾患による死亡率は 7 ~ 7.9 時間睡眠の人と比較すると 2.08 倍であるなど、長期間にわたる1日4~6時間以下の睡眠不足状態では、睡眠不足が脳・ 心臓疾患の有病率や 死亡率を高めるとする報告があるとした。
      そのため、睡眠時間が 6.0 時間以下になる場合には労働者の健康に問題があるとして、1月当たり 80 時間(※)と定められたのである。
      ※ 制度策定の当初は、100 時間で義務、80 時間では努力義務だった。後に働き方改革関連法令改正の中で、80 時間で義務が課せられた。
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    • 【解答例】
      1月当たりの時間外労働時間が80時間を超えると、1日当たりの平均で睡眠時間が6時間よりも短くなると言われている。
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  •   ② ①の1か月当たりの時間外・休日労働の時間の算出について、適切な方法を述べよ。

    • 【解説】
      意図がつかみにくい問題である。労働時間の適切な把握の方法というならともかく、単純な算出であれば次のようにすればよいだけのことである。
      1ヶ月の総労働時間数=労働時間数+延長時間数+休日労働時間数
      である。従って、
      時間外・休日労働時間数=1ヶ月の総労働時間数-(計算期間(1ヶ月間)の総暦日数/7)×40
      として算出すればよい。なお、この式は、厚労省の労働時間管理に関する資料に乗っているものと同じである。おそらく、出題者はこれが正答であるとしているものと思われる。
      なお、労働時間が1日8時間で1週 40 時間の勤務形態の場合、祝日(振替休日を含む)に休む場合は、休んだ祝日数に8を乗じた数を、他の日の「時間外・休日労働の時間」から減じる必要がある。また、出勤した場合は、そのうち1日につき8時間については「時間外・休日労働の時間」に含まれないことに留意されたい。
      また、有給休暇など休業した場合についても同様である(※)
      ※ 日本では労働時間の統計では有給休暇等で休んだ時間は含まれないが、多くの先進国家ではこれを含んでいる。すなわち、諸外国の労働時間と日本の労働時間の統計を単純に比較することはできない。
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    • 【解答例】
      1か月当たりの時間外・休日労働の時間の算出は以下の式によって求める。
      時間外・休日労働時間数=1ヶ月の総労働時間数-(計算期間(1ヶ月間)の総暦日数/7)×40
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  •   ③ 正しく労働時間を把握する方法を述べよ。

    • 【解説】
      労働時間を把握するための措置については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に次の記述がある。
      【労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン】
      4 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
      (1)始業・終業時刻の確認及び記録
        使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
      (2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
        使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
       使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
       タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
      (3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
        上記(2)の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。
       自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
       実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
       自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
        特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
       自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
        その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。
       自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
        また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
        さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。
      (4)賃金台帳の適正な調製
        使用者は、労働基準法第 108 条及び同法施行規則第 54 条により、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこと。
        また、賃金台帳にこれらの事項を記入していない場合や、故意に賃金台帳に虚偽の労働時間数を記入した場合は、同法第 120 条に基づき、30 万円以下の罰金に処されること。
      (5)労働時間の記録に関する書類の保存
        使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第 109 条に基づき、3年間保存しなければならないこと。
      (6)労働時間を管理する者の職務
        事業場において労務管理を行う部署の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること。
      (7)労働時間等設定改善委員会等の活用
        使用者は、事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用し、労働時間管理の現状を把握の上、労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと。
      このうち、(3)の自己申告制については、次の小問で問われているので、ここで答える必要はない。また、(4)~(7)は直接的な「労働時間を把握する方法」ではないので、省略してもよいだろう。
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    • 【解答例】
       始業・終業時刻の確認及び記録
      労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録する。
       始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
      始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
       使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
       タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
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  •   ④ やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合、どのようなことに留意すべきか述べよ。

    • 【解説】
      自己申告制で労働時間を把握する場合については、前小問で紹介した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の次の記述がある。
      【労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン】
      4 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
      (1)及び(2) (略)
      (3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
        上記(2)の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。
       自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
       実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
       自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
        特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
       自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
        その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。
       自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
        また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
        さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。
      (4)~(7) (略)
      これに従って解答すればよい。
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    • 【解答例】
      自己申告制により労働時間の把握を行わざるを得ない場合、次の措置を講ずるべきである。
       自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
       実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
       自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
      特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
       自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
      その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。
       自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
      また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
      さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。
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  •   ⑤ 医師による面接指導について、本人の申出の有無にかかわらず実施が義務づけられている労働者はどのような者か述べよ。ただし、高度プロフェッショナル制度適用者を除く。

    • 【解説】
      長時間労働者に対する面接指導は、安衛法第66条の8の場合は「要件に該当する労働者の申出により行うものとする」とされているが、安衛法第66条の8の2及び第66条の8の4の場合は、このような規定がない。従って、安衛法第66条の8の2及び第66条の8の4の場合について解答すればよい。
      【労働安全衛生法】
      (面接指導等)
      第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
       労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
      3~5 (略)
      第66条の8の2 事業者は、その労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超える労働者(労働基準法第三十六条第十一項に規定する業務に従事する者(同法第四十一条各号に掲げる者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。)に限る。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。
       前条第二項から第五項までの規定は、前項の事業者及び労働者について準用する。この場合において、同条第五項中「作業の転換」とあるのは、「職務内容の変更、有給休暇(労働基準法第三十九条の規定による有給休暇を除く。)の付与」と読み替えるものとする。
      第66条の8の4 事業者は、労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者であつて、その健康管理時間(同項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。
       第六十六条の八第二項から第五項までの規定は、前項の事業者及び労働者について準用する。この場合において、同条第五項中「就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等」とあるのは、「職務内容の変更、有給休暇(労働基準法第三十九条の規定による有給休暇を除く。)の付与、健康管理時間(第六十六条の八の四第一項に規定する健康管理時間をいう。)が短縮されるための配慮等」と読み替えるものとする。
      【労働安全衛生規則】
      (面接指導の対象となる労働者の要件等)
      第52条の2 法第六十六条の八第一項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり八十時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前一月以内に法第六十六条の八第一項又は第六十六条の八の二第一項に規定する面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて法第六十六条の八第一項に規定する面接指導(以下この節において「法第六十六条の八の面接指導」という。)を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。
      2及び3 (略)
      (面接指導の実施方法等)
      第52条の3 法第六十六条の八の面接指導は、前条第1項の要件に該当する労働者の申出により行うものとする
      2~4 (略)
      第52条の7の2 法第六十六条の八の二第一項の厚生労働省令で定める時間は、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間について、一月当たり百時間とする。
       (略)
      第52条の7の4 法第六十六条の八の四第一項の厚生労働省令で定める時間は、一週間当たりの健康管理時間(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四十一条の二第一項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が四十時間を超えた場合におけるその超えた時間について、一月当たり百時間とする。
       (略)
      【労働基準法】
      第41条の2 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者(以下この項において「対象労働者」という。)であつて書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、この章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。ただし、第三号から第五号までに規定する措置のいずれかを使用者が講じていない場合は、この限りでない。
      一及び二 (略)
       対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(この項の委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(第五号ロ及びニ並びに第六号において「健康管理時間」という。)を把握する措置(厚生労働省令で定める方法に限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
      四~十 (略)
      ②~⑤  (略)
      なお、例外規定や除外規定をどこまで書くかは問題だが、減点のリスクを避けるためにはできるだけ書き込んでおいた方がよいだろう。
      これをまとめた図が厚生労働省のパンフレット「長時間労働者への医師による面接指導制度について」に載っているので参考とされたい。
      【長時間労働者への医師による面接指導制度について】
      ● 各労働時間制度に係る医師の面接指導の要件
      各労働時間制度に係る医師の面接指導の要件

      図をクリックすると拡大します

      ※ 厚生労働省のパンフレット「長時間労働者への医師による面接指導制度について
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    • 【解答例】
      下記の労働者については、本人の申出の有無にかかわらず実施が義務づけられている。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合であって、他の医師の行う法定の面接指導と同等のものを受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときを除く。
      ● 研究開発業務に従事する労働者であって、休憩時間を除き一週間当たり 40 時間を超えて労働させた労働時間が1月当たり 100 時間を超えた場合。
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  •   ⑥ 1か月当たりの時間外・休日労働が80 時間を超えた労働者に対して行う医師による面接指導等に関して、当該時間外・休日労働が行われてから事業者が行う事項を七つ、労働者が行う事項を二つ、産業医が行う事項を二つ挙げよ。

    • 【解説】
      やや意図のはっきりしない設問である。その気になれば、なんでも答えられるだろう。どう採点するつもりなのだろうか。この種の設問は、採点の基準を推測して解答しないと加点されないので留意しなければならない。
      考えられることは厚生労働省のパンフレット「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」の4ページの図だろうか。
      これによると、事業者が行うべきことは以下の通りである。
      ① 労働時間に関する情報の産業医への提供
      ② 面接指導対象者の選定
      ③ 面接指導実施の労働者への通知
      ④ 事前問診票の面接指導対象者への配布
      ⑤ 面接指導対象者に関する情報の産業医への提供
      ⑥ 医師からの意見に基づく面接指導後の事後措置の実施
      ⑦ 実施した事後措置の記録・保存
      ⑧ 事後措置に関する情報の産業医への提供
      また、面接指導の対象となる労働者の実施事項は以下の通りとなる。
      ① 事業者から配布された事前問診票への記入
      ② 面接指導の受診
      ③ 面接指導で指導を受けた事項を実践
      産業医が面接指導を行う場合に、実施するべきことは以下の通りである。ただ、必ずしも産業医が面接指導を行うとは限らないので、面接指導の実施に関するものは除いておいた方がよいだろう。
      ① 事業者から受けた労働時間に関する情報に基づき、長時間労働者の把握
      ② 事業者から受けた面接指導対象者に関する情報に基づき、面接指導前の健康リスク評価
      ③ 面接指導の実施(対象者への個人指導)
      ④ 面接内容の記録・保存
      ⑤ 事後措置に関する意見の事業者への提供
      ⑥ 事業者が行った事後措置の確認
      解答例に示したように答えておけば、加点されるだろう。
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    • 【解答例】
      事業者が行うべきことは以下の通りである。
      ① 労働時間に関する情報の産業医への提供
      ② 面接指導対象者の選定
      ③ 面接指導実施の面接指導対象者への通知及び事前問診票の配布
      ④ 面接指導対象者に関する情報の産業医への提供
      ⑤ 医師からの意見に基づく面接指導後の事後措置の実施
      ⑥ 実施した事後措置の記録・保存
      ⑦ 事後措置に関する情報の産業医への提供
      面接指導の対象となる労働者が行うべきことは以下の通りである。
      ① 事業者から配布された事前問診票への記入及び面接指導の受診
      ② 面接指導で指導を受けた事項を実践
      産業医が実施するべきことは以下の通りである。
      ① 事業者から受けた労働時間に関する情報に基づく長時間労働者の把握
      ② 事後措置に関する意見の事業者への提供と事業者が行った事後措置の確認
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  •   ⑦ 面接指導において、医師が労働者の状況を把握するために参考となる自記式質問票を二つ挙げよ。

    • 【解説】
      厚生労働省の「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」には、心身及び生活の状況の調査の手段として、「疲労蓄積度自己診断チェックリストなどの自記式調査」「ストレスチェック結果」及び「CES-D、GHQ、K6などのうつ病等のスクリーニング調査」が記載されている。
      これらはすべて自記式の質問票であるが、本問の場合「疲労蓄積度自己診断チェックリストなど」の「疲労蓄積度自己診断チェックリスト」と「など」で2つ挙げよという趣旨のようにも思える。その意味では、「職業性ストレス簡易調査票」や「CES-D、GHQ、K6などのうつ病等のスクリーニング調査」を挙げるのは得策ではないかもしれない。
      しかし、「疲労蓄積度自己診断チェックリストなど」の「など」が何かを示した公的な文書は見当たらない。一方、2007年の下光他(※)の研究など、職業性ストレス簡易調査票が広範に用いられていることも事実である。ここは、解答例のように記しておけばよいだろう。
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    • 【解答例】
      職業性ストレス簡易調査票及び疲労蓄積度自己診断チェックリスト
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  •   ⑧ 産業医の選任義務のない事業場において、面接指導を行う医師はどのような医師が望ましいか述べよ。

    • 【解説】
      厚生労働省の「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」に、次のような記述がある。
      【医師による長時間労働面接指導実施マニュアル】
      1.面接指導の実施前の準備
      (1) 面接指導の実施者
       医師
        事業場に選任されている産業医が実施することが望まれます。産業医が選任されていない事業場においては、地域産業保健センターの登録医、健康診断機関(労働衛生機関)の医師、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師が実施しましょう。
       産業看護職
        産業看護職がいる事業所では、補助的な面談を依頼し連携することもできます(P.7(4)産業看護職面談を参照)。
      (2)及び(3) (略)
      ※ 厚生労働省「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル
      解答は、医師による長時間労働面接指導実施マニュアルに示された医師について解答すればよいだろう。
      なお、厚生労働省ではオンラインで「面接指導実施医師養成講習会」を実施している。
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    • 【解答例】
      産業医が選任されていない事業場においては、以下に示す医師が行うことが望ましい。
      ① 地域産業保健センターの登録医
      ② 健康診断機関(労働衛生機関)の医師
      ③ 産業医の選任の要件を満たす労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師
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  •   ⑨ 面接指導を実施した医師から、その結果の報告を受けた事業者は、当該結果をどのように取り扱うべきか述べよ。また、当該結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について医師に聴いた意見について、衛生委員会に報告するときの留意点について述べよ。

    • 【解説】
      Ⅰ 面接指導の結果をどのように取り扱うべきか
      本小問の前段について、情報の取扱い方法(セキュリティ)を問うているのか、情報を用いてどのような措置(事後措置等)を行うべきかを問うているか、どちならのだろうか(※)。本問はこの点が、ややあいまいであるが、問題文が「当該結果」となっており「その情報」となっていないことから、その「内容」をどう扱うかということであって、「情報」そのものの扱いを問うているのではないと思われる。おそらく後者であろう。
      ※ ただし、本小問後段はプライバシーに関する設問だと思われ、その関係では前者の可能性もある。前者だとすれば、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成 30 年9月7日 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号)に基づいて解答することとなる。
      労働安全衛生コンサルタント試験は、このような問題の本質とは異なる部分で受講者が迷うような設問が多い。とりわけ本年はその傾向が強いが、試験協会には苦言を呈しておきたい。
      であれば、厚生労働省の「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」に、次のような記述がある。なお、引用文中の図にある(1)の医師からの意見聴取は、本問の結果報告とは別に行うべきものである。本問の結果報告は「面接指導の実施」の一部として行われるものである。
      【医師による長時間労働面接指導実施マニュアル】
      1.面接指導の実施前の準備
      面接指導後の流れ

      図をクリックすると拡大します

         医師が長時間労働者に対する面接指導を実施した後、図のように事業者は、①医師からの意見聴取、②事後措置、③産業医に対する事後措置に関する情報提供、を実施します。本マニュアルに添付している「長時間労働者に対する面接指導報告書」の様式(様式4)は、①~③の内容が含まれるように構成されています。様式4の記載方法は『P.30 長時間労働者に対する面接指導報告書 記入の仕方』をご参照ください。
      (1) (略)
      (2)事後措置
       事業者は、医師の意見を勘案して適切な事後措置を決定し、実施します
       事業者は実施内容について記録し、5年間保存します。
       労働者への事後措置を講じた後、健康状態の改善が見られない場合には、再度、医師による面接指導を実施し、適切な措置を講じます。
       事後措置を効果的に実施するために労働者の主治医と連携することが有効であると考えられる場合、産業医は主治医へも事後措置の内容を伝えることが望ましいでしょう。産業医が事業場に選任されていない場合は、他の医療職か衛生推進者が主治医へ事後措置の内容を伝えるとよいでしょう。
      ※ 厚生労働省「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル
      これに基づいて解答例のように答えればよいであろう。
      Ⅱ 衛生委員会に報告するときの留意点
      また、後段の衛生委員会に報告するときの留意点についても、同マニュアルの次の記述を参考に解答例のように回答すればよいであろう。
      【医師による長時間労働面接指導実施マニュアル】
      * 衛生委員会の関与について
       衛生委員会で面接指導の対象者数及び実施者数、事後措置に関する医師の意見等の報告を行うことで、事業場における長時間労働の状況を把握でき、対策に結びつけることができます。ただし、個人が特定されないよう注意することが必要であり、どのような情報を共有するか事前に衛生委員会で決めておくとよいでしょう。
       面接指導対象者が多い職場や事業場が明らかとなり(継続して面接指導対象者が多い部署など)、組織的な対応や職場環境改善が必要と考えられる場合、必要に応じて衛生委員会で改善策を審議することが大切です。衛生委員会で審議された後は、管理監督者へ通知し、職場環境改善や面接指導対象者への事後措置へつなげることが必要です。
      ※ 厚生労働省「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル
      なお、本小問が「衛生委員会に報告するときの留意点」とされていることから、最初の項目のみを記し、2番目と3番目は書かなくても問題はないだろう。
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    • 【解答例】
      〇 面接指導を実施した医師から、面接指導の結果の報告を受けた場合は、その結果を用いて、①医師からの意見聴取、②事後措置、③産業医に対する事後措置に関する情報提供を行う。このうち、事後措置については以下のことを実施する。
       医師の意見を勘案して適切な事後措置を決定し、実施する。
       実施した内容を記録し、5年間保存する。
       事後措置を講じた後、健康状態の改善が見られない場合には、再度、医師による面接指導を実施し、適切な措置を講じる。
       事後措置を効果的に実施するために労働者の主治医と連携することが有効であると考えられる場合、産業医は主治医へも事後措置の内容を伝えることが望ましい。
      〇 衛生委員会に報告するときの留意点については、次のようなものがある。
       個人が特定されないよう注意することが必要であり、どのような情報を共有するか事前に衛生委員会で決めておく。
       面接指導対象者が多い職場や事業場が明らかとなり、組織的な対応や職場環境改善が必要と考えられる場合は、必要に応じて衛生委員会で改善策を審議する。
       衛生委員会で審議された後は、管理監督者へ通知し、職場環境改善や面接指導対象者への事後措置へつなげる必要がある。
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  • (4)長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図る対策の樹立に関して、衛生委員会で調査・審議すべき事項を五つ挙げよ。

    • 【解説】
      厚生労働省のパンフレット「長時間労働者への医師による面接指導制度について」に、衛生委員会等での調査審議事項のうち、「長時間にわたる労働による労働者の値康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること」として、以下の6項目が示されている。
      【長時間労働者への医師による面接指導制度について】
       衛生委員会等の調査審議事項
       過重労働による健康障害防止対策について、衛生委員会等では以下の事項を含め調査審議します。
        衛生委員会等での調査審議事項
        長時間にわたる労働による労働者の値康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
      ① 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止対策の実施計画の策定等に関すること
      ② 事業場で定める必要な措置に係る基準の策定に関すること
      ③ 面接指導等の実施方法及び実施体制に関すること
      ④ 労働者の申出が適切に行われるための環境整備に関すること
      ⑤ 申出を行ったことにより当該労働者に対して不利益な取扱いが行われることがないようにするための対策に関すること
      ⑥ 事業場における長時間労働による健康障害の防止対策の労働者への周知に関すること
      ※ 厚生労働省「長時間労働者への医師による面接指導制度について
      この中から5つを選んで解答すればよいだろう。
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    • 【解答例】
      長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図る対策の樹立に関して、衛生委員会で調査・審議すべき事項には以下のものがある。
      ① 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止対策の実施計画の策定等に関すること
      ② 事業場で定める必要な措置に係る基準の策定に関すること
      ③ 面接指導等の実施方法及び実施体制に関すること
      ④ 労働者の申出が適切に行われるための環境整備に関すること
      ⑤ 申出を行ったことにより当該労働者に対して不利益な取扱いが行われることがないようにするための対策に関すること
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  • (5)労働時間以外に、過重労働により引き起こされる健康障害の発症に関連する職場における業務上の負荷要因を三つ挙げよ。

    • 【解説】
      本小問は「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準」(以下、本問の解説中で「認定基準」という。)中の第4の2の(2)のウの(ウ)に「業務の過重性の具体的な評価に当たっては、以下に掲げる負荷要因について十分検討すること」として挙げてある7項目からaの「労働時間」を除いた6項目を挙げればよい。
      この問題は、この認定基準を知っているかどうかを試すものとみて間違いないだろう。
      (1)不規則な勤務
      (2)拘束時間の長い勤務
      (3)出張の多い勤務
      (4)交代制勤務・深夜勤務
      (5)作業環境(温熱環境・騒音・時差等)
      (6)精神的緊張を伴う業務
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    • 【解答例】
      (1)不規則な勤務
      (2)出張の多い勤務
      (3)精神的緊張を伴う業務
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