医療機器工場で、化学物質管理を担当している者で、化学物質管理に関するQ1~Q6について、何卒、ご教授頂きたくお願い致します。
①「主として一般消費者の生活の用に供されるための製品」について、
表示・通知義務及びリスクアセスメント義務は除外(ただしリスクアセスメントは努力義務)と認識しています。
現状、接着剤/潤滑剤/マジックなども、すべてリスクアセスメントを行っているが、品数が多く、必要なものに絞ることを検討中です。
Q1) 考え方として、ホームセンター等で購入でき、一般消費者が通常使用する方法での使用の場合は、
リスクアセスメント義務は除外(努力義務は残る)で正しいでしょうか。
Q2) ケースとして、市販の油性ペン(キシレン等の通知義務物質を含む)を、生産時の製品ラベルへの記載に使用する場合、
リスクアセスメント義務ではないが、努力義務は残るとの認識で正しいでしょうか。
②皮膚等障害化学物質等への保護具等の義務・努力義務について
Q3) 「主として一般消費者の生活の用に供されるための製品」を除外できる条件はなく、すべての化学物質について
SDS等で確認が必要との認識で正しいでしょうか。
Q4) 保護具等の義務について、少量使用かつ飛散が考え難く、皮膚・目等への付着のリスクが非常に少ないと判断できれば、
保護具等は不要と判断することはできるか。
若しくは、完全自動化で、リスクがないレベルでないと、保護具等は、不要と判断できないでしょうか。
③表示・通知義務対象物質について
Q5) 現状 、表示・通知義務対象物質には、GHS分類がありSDSが適切であれば
GHS分類で「分類できない」「分類対象外」になる場合はないと認識するが、正しいでしょうか。
Q6) 表示・通知義務対象物質であっても、含有量等により、SDSでは、GHS分類が、「区分に該当しない」となる場合があるでしょうか。
主として一般消費者の生活の用に供されるための製品については、安衛法の対象から外れると思ってかまいません。
リスクアセスメントの努力義務もかかっていません。
Q1 主として一般消費者の生活の用に供されるための製品に該当するかどうかの基準は、
ホームセンター等で購入できるかどうかではなく、また、一般消費者が通常使用する方法での使用かどうかでもありません。
一般消費者の使用を主な目的としているかどうかが基準となります。
接着剤と潤滑剤は、やや微妙ですが、マジックは主として一般消費者の生活の用に供されるための製品ですね。
Q2 市販の油性ペン(キシレン等の通知義務物質を含む)を、生産時の製品ラベルへの記載に使用する場合、リスクアセスメントは義務もなく努力義務もないと考えます。
Q3 「主として一般消費者の生活の用に供されるための製品」はSDSの対象とはなりません。
Q4 化学的に根拠のあるリスクアセスメントの結果、少量使用かつ飛散が考え難く、皮膚・目等への付着のリスクが非常に少ないと判断できれば、保護具等は不要と判断することはできるでしょう。
ただし、CMR物質の場合、付着のリスクが低いのみならず、発症の可能性が十分に低い(2000年に1度とか)でなければ、なんらかの対策は必要かもしれません。
それと、感作性物質の場合も十分な留意が必要でしょう。
Q5 すべての危険有害性の区分が「分類できない」又は「分類対象外」となっているものは、通知対象物質にはなっていません。
Q6 含有量ではなく、濃度によって、通知対象物となるかならないかが定められています。きわめて濃度が低ければ「区分に該当しない」となる可能性はあり得ます。
「一般消費者の使用を主な目的としているかどうかが基準」基準、理解できました。 ただ、マジックと接着剤の境界は、難しいと感じました。さらに考察してみます
お世話になります。
>Q2 市販の油性ペン(キシレン等の通知義務物質を含む)を、生産時の製品ラベルへの記載に使用する場合、リスクアセスメントは義務もなく努力義務もないと考えます。
について、以下の記載から、油性ペンでも、リスクアセスメントの努力義務はのこりそうですが、いかがでしょうか?
厚労省
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 労働基準 > 安全・衛生 > 化学物質対策に関するQ&A(リスクアセスメント関係)
「リスクアセスメントの実施義務は、ラベル表示又はSDS通知対象物に対して課せられています(安衛法第57条の3第1項)。そのため、ラベル表示・SDS交付の義務から除外される「主として一般消費者の生活の用に供されるための製品」については、リスクアセスメントの実施対象からも除外されます。
ただし、リスクアセスメントの努力義務(安衛法第28条の2の対象ではあるため、必要に応じて、SDSを入手し、リスクアセスメントを実施するようにしてください。」
ttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11389.html#anc-10
確かに安衛法第28条の2から条文上は「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」は除かれていません。
しかし、カッコ書きで(第五十七条第一項の政令で定める物及び第五十七条の二第一項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等を除く。)と記されています。
厚生労働省のQandAは、この除かれるものに「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」は含まれていないという解釈のようです。
しかし、第57条と第57条の2の条文を普通に読めば、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」も含めて除かれるとしか読めないのではないでしょうか。
すなわち、第57条の政令で定めるもの及び第57条の2の通知対象物には、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」が含まれるけれども、第57条と第57条の2の義務からは外れているという意味です。
(表示等)
第五十七条 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあつては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
(文書の交付等)
第五十七条の二 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物(以下この条及び次条第一項において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。
まあ、このように解釈すると第28条の2の努力義務には、第57条の政令で定めるもの及び第57条の2の通知対象物以外のものについては、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」も含めて努力義務の対象ということになってしまうので、やや常識に反します。
しかし、条文がそうなっている以上、そう解釈するしかないように思います。
なお、いずれにせよ、市販の油性ペン(キシレン等の通知義務物質を含む)について、(ご質問のような方法で使用しているのであれば)リスクアセスメントを行う必要はないと思いますが・・・
お世話になります。
「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」かなり、理解ができるようになりました。確かに、安衛法第28条の2のカッコ書きを認識できていませんでした。 一般消費者用の油性ペン(キシレン入り)には、努力義務もないと認識しました。
実は、この質問の経緯ですが、生産で、キシレン入りの油性ペンを利用はできるか?となり、会社の安全管理部署に、労基署へ立ち話程度で聞いたもらったところ、”有機則への対応が必要”と聞いて、使用を取りやめた経緯があります。(この経緯から通知対象物はすべて、リスクアセスメントが必要と勘違いしていた。)
追加の質問ですいません。
追加質問1)
一般消費者用の油性ペンでキシレン入(有機溶剤に該当する濃度)の場合、有機則への対応の要否は、どのようになりますでしょうか。
(有機則への対応が必要となると、実際には生産使用は、困難で、何か除外規定はないかと考えるも、根拠が見つからない次第です。)
確かに、特化則は使用料が微量な場合の適用除外の規定がないのですが、有機則の場合第2条と第3条の適用除外(一部除外されない規定がある)の規定があり、しかも第2条は労働基準監督署長の認定を受ける必要もありません。
油性マジックでマークを付ける程度のことであれば、間違いなく第2条及び第3条による適用除外があると思います。
労基署から”有機則への対応が必要”について、弊社の安全管理部署を経由のため、実際にどのレベルのコメントかは不明です。
有機則の第2条と第3条の適用除外について、一応、認識はあったのですが、『第2条では適用除外にならない項目(健康診断など)がある、第3条では認定が必要などがある。』『』についてが”有機則への対応”と認識します。『』の対応のため、労基署も弊社の安全管理部署も、法律に沿うと、有機則への対応は不要とは言えなかったと思っています。
ただ一般的に、油性マジックなどは、有機則自体に非該当と認識したいと思います。また、より明確な適用除外根拠などあれば、ご教授頂きたく、お願いいたします。
詳しい回答、本当にありがとうございます。
義務 or 努力義務 という法解釈からではなく、運用面からのコメントです。
表示・通知に関して、「主として一般消費者の用に供される製品」の範囲を明確化するために、
令和3年7月19日の『職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 報告書~化学物質への理解を高め自律的な管理を基本とする仕組みへ~』をうけて、
令和4年2月24日に基発0224第1号『労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行について』が発出されています。
カ 家庭用品品質表示法(昭和37年法律第104号)に基づく表示がなされている製品、その他一般消費者が家庭等において私的に使用することを目的として製造又は輸入された製品。いわゆる業務用洗剤等の業務に使用することが想定されている製品は、一般消費者も入手可能な方法で譲渡又は提供されているものであっても、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」、「主として一般消
費者の用に供される製品」には該当しないこと。
これが追加された形なのでさらに悩ましい状況になったとの感想です。
運用上、弊社ではNISHIHARA様の例示のように製品ラベルへの記載は製品含有化学物質の管理と位置付けています。
そのためSDSなど組成情報を収集しています。
化学物質の情報として蓄積することになるので、便宜上リスクアセスメントを行っています。
ただし、本来の製品の用法 & 想定される使用状況に即していることを確認して、メーカーがリスクアセスメントしたうえで販売している製品であるとみなすなど簡便化してはいます。
もしラベルにペンで書く作業を一日中するような極端な状況ならば、ばく露時間がペンメーカーの想定を逸脱するので、そういった作業状況が想定されないことなどもアセスメントされることになります。
個人的な感想としては、文具などを文具として使うような場合はリスクアセスメント済みとして扱い、作業工程で使用する場合はシチュエーションチェック含めてリスクアセスメントする内部ルールとするのが現実的な対応だと思います。
労基署も自分たちがオフィスで使う筆記具をリスクアセスメントしているはずがないので、法的にどうであれ法的責任を負うことは無いと考えるからです。