衛生管理者となる資格・要件




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※ イメージ図(©photoAC)

衛生管理者になるための資格・要件を一覧表の形で示しています。

なお、これは衛生管理者試験にもよく出題されます。

柳川に著作権があることにご留意ください。



衛生管理者となるための資格・要件

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一部修正:

1 衛生管理者になれる者

衛生管理者になれる者は、安衛則第7条第1項第三号の規定により、業種によって以下のように定められている。

表1:衛生管理者になれる者
  業種
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 その他の業種
第二種衛生管理者免許を有するもの
第一種衛生管理者免許を有するもの
衛生工学衛生管理者免許を有するもの
医師
歯科医師
労働衛生コンサルタント
労働安全衛生規則第10条第四号の規定により厚生労働大臣の定める者

ただ、衛生管理者は、原則として事業場に専属の者でなければならず、中小規模の事業場では、医師や歯科医師を専属にすることは通常は困難である。また、衛生コンサルタントの試験は衛生管理者の試験よりも高度である。

このため、医療機関や一部の大規模事業場を除けば、現実には、衛生管理者免許を有する者が衛生管理者となっていることがほとんどである。

また、安衛則第7条第1項(第六号)の規定により、以下の場合には、少なくとも1名は衛生工学衛生管理者免許を受けた者でなければならないとされているが、それは別稿に示す。

  • 常時五百人を超える労働者を使用する事業場で、以下の業務のいずれかに常時三十人以上の労働者を従事させるもの
    • 坑内労働
    • 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
    • ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
    • 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
    • 異常気圧下における業務
    • 鉛、水銀、クロム、素、黄りん、ふつ素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務

なお、同条第1項(第五号)の規定により、以下の場合には、少なくとも1名は専任の衛生管理者でなければならないとされている。

  • 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
  • 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務に常時30以上の労働者を従事させるもの

2 衛生管理者免許を受けることができる者

では、衛生管理者免許を受けることができる者とは、どのようなものであろうか。これについては、安衛則第62条(別表第四)によって定められている。第1種と第2種のそれぞれについてみてみよう。

(1)第1種衛生管理者免許を受けることができる者

まず、第1種衛生管理者免許を受けることができる者は、安衛則別表第4に、表2の通り定められている。

1は免許試験に合格した者で、2以下は、医学士や、特定の大学の講座を修了した者、保健師、薬剤師などである。保健師で第1種衛生管理者免許を受ける者も多いが、通常の事業場では、1の免許試験に合格した者が衛生管理者に就任していることがほとんどであるといってよい。

表2:第1種衛生管理者免許を受けることができる者

1 第一種衛生管理者免許試験に合格した者

要受験資格

受験資格及び試験科目等

2 学校教育法による大学又は高等専門学校において、医学に関する課程を修めて卒業した者(大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該課程を修めた者に限る。)又はこれと同等以上の学力を有すると認められる者を含む。)

3 学校教育法による大学において、保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者(大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該学科を専攻した者に限る。)若しくはこれと同等以上の学力を有すると認められる者又は当該学科を専攻して専門職大学前期課程を修了した者を含む。)で労働衛生に関する講座又は学科目を修めたもの

該当する大学、学科等

4 その他厚生労働大臣が定める者(衛生管理者規程第2条)

1 保健師助産師看護師法第7条の規定により保健師免許を受けた者(同法第51条第3項の規定により当該免許を受けた者を除く。)

(保健師)

2 医師法第11条第二号及び第三号に掲げる者

(※1)

3 歯科医師法第11条各号に掲げる者

(※2)

4 薬剤師法第2条の規定により薬剤師の免許を受けた者

(薬剤師)

5 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者

(未制定)

※1【医師法第11条】

第11条 医師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。

 (略)

 医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後一年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練を経たもの

 外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者で、厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有し、かつ、適当と認定したもの

※2【歯科医師法第11条】

第11条 歯科医師国家試験は、次の各号の一に該当する者でなければ、これを受けることができない。

 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学(略)において、歯学の正規の課程を修めて卒業した者

 歯科医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後一年以上の診療及び口腔衛生に関する実地修練を経たもの

 外国の歯科医学校を卒業し、又は外国で歯科医師免許を得た者で、厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有し、かつ、適当と認定したもの

(2)第2種衛生管理者免許を受けることができる者

次に、第2種衛生管理者免許を受けることができる者は、安衛則別表第4に、表3の通り定められている。

すなわち、第2種については、免許試験に合格したもののみであり、現時点においては例外は設けられていない。

表3:第2種衛生管理者免許を受けることができる者

1 第二種衛生管理者免許試験に合格した者

要受験資格

受験資格及び試験科目等

2 その他厚生労働大臣が定める者

(未制定)

(3)衛生工学衛生管理者免許を受けることができる者

最後に、衛生工学衛生管理者免許を受けることができる者についての規定である安衛則別表第4及び衛生管理者規程第4条をまとめると、表4の者であって都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習を修了したものとなる。

要は、理工系の大学を修了した者であれば、衛生工学衛生管理者講習を修了すれば、衛生工学衛生管理者にはなれるのである。このように言うと、だったら第1種、第2種の衛生管理者免許試験など受けなくても、こちらの講習を受ければよいではないかと思うかもしれない。しかし、講習の最後には試験があり、この試験に合格しなければ修了はできないのである。

しかも理工系の大学を卒業した者の講習日程は5日間である。はっきりいって、第1種の免許試験を受ける方が、この講習を修了するよりも、はるかに簡単である。

なお、衛生工学衛生管理者講習は、中央労働災害防止協会が実施している。

表4:衛生工学衛生管理者講習を修了することにより、衛生工学衛生管理者免許を受けることができる者

1 学校教育法による大学又は高等専門学校において、工学又は理学に関する課程を修めて卒業した者

 

2 その他厚生労働大臣が定める者(衛生管理者規程第4条)

1 労働安全衛生法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験に合格した者

要受験資格

受験資格及び試験科目等

2 労働安全衛生規則別表第4第一種衛生管理者免許の項第一号及び第三号に掲げる者(※3)

第三号に該当する大学、学科等

3 作業環境測定法第5条に規定する作業環境測定士となる資格を有する者

要受験資格

受験資格及び試験科目等

※3【労働安全衛生規則別表第4第一種衛生管理者免許の項】

 第一種衛生管理者免許試験に合格した者

 (略)

 学校教育法による大学において、保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者で労働衛生に関する講座又は学科目を修めたもの

四及び五 (略)

3 労働安全衛生規則第10条第四号の規定により厚生労働大臣の定める者

安衛則第10条第四号の規定により衛生管理者になれる者は、衛生管理者規定第1条により、以下のように定められている。要は、学校について特例を設けたわけである。

  • 教育職員免許法第4条の規定に基づく保健体育若しくは保健の教科についての中学校教諭免許状若しくは高等学校教諭免許状又は養護教諭免許状を有する者で、学校教育法第1条の学校に在職する者(常時勤務に服する者に限る。)
  • 学校教育法による大学又は高等専門学校において保健体育に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務に服する者に限る。)

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