スレッド:言葉の使い分け
言葉の使い分け 投稿者:寛由 投稿日:2017/08/26(Sat) 09:12:46 No.114
柳川様

先日、SDSについて掲示板で質問させていただいた寛由と申します。
別件で質問させていただきたく思います。

労働衛生に関する安衛法の施行規則のうち、、以下のようなもの
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・有機溶剤中毒予防規則
・鉛中毒予防規則
・四アルキル鉛中毒予防規則
・特定化学物質障害予防規則
・電離放射線障害防止規則
・酸素欠乏症等防止規則
・粉じん障害防止規則
・石綿障害予防規則
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このなかで使われている言葉の中で「中毒」と「障害」、「予防」と「防止」の言葉
の使い分けが良く分かりませんでした。

何かご存じであれば、教えていただけると幸いです。
宜しくお願いいたします。
Re: 言葉の使い分け 投稿者:寛由 投稿日:2017/08/26(Sat) 20:15:27 No.115
補足です。

いきなり一方的に質問するのもどうかと思いましたので、
私なりの言葉からくるイメージについて、下に示してみます。
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障害:対象の物質そのものが人に対して物理的に損傷を与え、悪影響を及ぼす。
(例)放射線を浴びるとDNAの鎖を切断し損傷を与える。

中毒:対象の物質そのものは人に対して物理的に損傷を与えない。
   生体内反応を阻害する要因として、間接的に人に悪影響を及ぼす。
(例)一酸化炭素を吸うと、体内のヘモグロビンと強力に結びつき、酸素が
   運ばれにくくなって酸欠に陥る。

予防:対象の物質のある特性a(その物質を用いる目的)以外の特性bが人に
   対して悪影響を及ぼすため、特性bの影響を人が受けないようにする。
(例)ベンゼンの特性a:化学物質製造の基本材料で多用途的。
   ベンゼンの特性b:造血器系の傷害(白血病等)。

防止:対象の物質のある特性a(その物質を用いる目的)が、人に対して悪影
   響を及ぼすため、特性aの影響を人が受けないようにする。
(例)放射線の特性a:放射線が発生する過程で莫大なエネルギーが発生。
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当然、間違っているところもあるかと思います。
ご指導いただければ幸いです。
Re: 言葉の使い分け 投稿者:柳川行雄 投稿日:2017/08/26(Sat) 20:57:05 No.116
寛由 様

正直なところ、あまり気にされる必要はないと思います。

法令を策定したり改正したりするときは、名称のみならず条文についても、その用語や言葉遣いについて、法律的な審査を受けることとなっています。
かなり厳密に行い、法律用語についてはこの審査によってかなり正確なものとなるのですが、法律用語以外の用語の使用方法については、やや「机上の空論」的な審査が行われることがあります。

つまり、法令を策定したり改正したりするとき、用語を使い分けるのであれば、審査を受けるときに法律家が満足するような「理屈」で説明しないと法令が作れないことになります。ところが、過去に作られた法令の用語を、統一的な理屈で説明しようとしても難しく、やや非現実的な説明をして、かえって実務上は問題の多い法令になることさえあるのです。

実質的には「中毒」とは、化学物質を取り入れることによって、体内のなんらかの正常な機能が阻害されることを言います。昔、アルコール依存のことを、俗に「アル中」といったりしていましたが、これは正確な言葉ではありません。依存症があっても、肝臓やその他の正常な機能が阻害されていなければ「中毒」とはいえないからです。
安全衛生法令においては、この「中毒」のことを「健康障害」という用語で表します。そして、その他に中毒という用語も用いています。どう使い分けているのかはよくわかりませんが、法令の名称を付けるにあたっては「がん」、「生殖障害」、「じん肺」などの重篤な慢性毒性によるものを「障害」という言葉で表し、それへの対策が省令の中の重要な要素となっているときに、名称に「障害」とつけたのかもしれません。

予防と防止ですが、化学物質そのものの有害性によるもの防ぐことをを「予防」と言い、電離放射線や粉じん、酸欠など化学物質そのものの有害性によるとはいえないもの防ぐことを「防止」と言ったのだろうと思います。

いずれにせよ、各省令を策定したときには、なんらかの説明をして用語を使い分けたはずですが、はっきり申し上げて、たぶん、現職の安全衛生部の職員や労基署の監督官も気にしていないと思います。
最後に策定したのは石綿障害予防規則ですから、そのときの担当者に聞けば何か分かるかもしれませんが・・・


Re^2: 言葉の使い分け 投稿者:寛由 投稿日:2017/08/27(Sun) 09:27:08 No.118
柳川様

回答ありがとうございました。
今後も何か質問させていただくかもしれませんが、宜しくお願いいたします。

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